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さて、私達爆豪くん救出隊はさっそく駅に向かって歩いている。
ここから発信機の示す場所に行くには、新幹線に乗って移動する必要があるからだ。
「緑谷くん…」
「?」
黙々と歩いていた中で、飯田くんが緑谷くんに呼び掛ける。
緑谷くんは不思議そうに首を傾げた。
「暴力を振るってしまったこと…陳謝する。ごめん…」
道の真ん中で頭を下げる飯田くん。
それにしても相変わらず言い方が堅苦しい…
そこが飯田くんっぽいのだけれど。
「カフェくんも、昼間はすまなかった。病院で大声を上げる俺を嗜めようとしてくれていたのに…」
「本当ですわ飯田さん。同行する理由に対し、説得力が欠けてしまいます」
頭を下げる飯田くんに、ヤオモモがまさかの追い打ちをかけている。
「大丈夫だよ!気にしてないから!」
『う、うんっ私も!大したことないし!』
緑谷くんと私は飯田くんに顔を上げてもらうように言った。
「俺は…君達の行動に納得出来ないからこそ同行する。少しでも戦闘の可能性を匂わせれば、即座に引き戻すからな…!言わば監視者!そう、"ウォッチマン"!」
「ウォッチマン 飯田…」
『(ツッコミがなっちゃいないよ、轟くん…)』
ぼそっと言う轟くんに私は内心でツッコんでおいた。
「私もですわ。これはプロの仕事…傍から見れば貴方方が出張る必要は一切ありません。しかし、お気持ちが良く分かるからこその妥協案と言うこと、お忘れなきよう」
「あぁ」
『うん!』
「分かってる!」
ヤオモモの言葉に、私達は大きく頷いた。
***
所変わって新幹線内。
チケットの席順の関係で、私は飯田くんの向かいの席に座っている。
緑谷くんとヤオモモの傷を回復させたせいで、少し眠い。
「良いですか?発信機の示した座標は、神奈川県横浜市神野区。長野からの出発ですので約二時間…10時頃の到着です」
『結構掛かるんだね~…』
私はそう言いながら、もぐもぐと晩ご飯代わりのサンドイッチを頬張った。
「あの…今夜出発とか、そういうのみんなに伝えてるの?」
「あぁ。言ったら余計止められたけどな」
「あの後、麗日がダメ押しでキチいこと言ってくれたぜ」
『あれは結構…キツかったね…』
"爆豪くんきっと、みんなに救けられんの屈辱なんと違うかな…"
俯き加減でそういうお茶子ちゃんの様子がフラッシュバックする。
「…ってよ」
「…」
緑谷くんはそれを聞いて黙り込んでしまった。
そりゃそうだよね…
あの爆豪くんだもん、私達はボロカス言われることだろう。
でもそんなことよりも、爆豪くんを救け出すことの方が大事だ。
後で爆豪くんにどれだけ文句を言われたって、それはその時全部受け止めよう。
「…一応聞いとく。俺達のやろうとしてることは誰からも認められねェエゴってヤツだ。引き返すならまだ間に合うぞ」
轟くんが私達を順番に見回した。
それに一番最初に反応したのは切島くんだ。
「迷うくらいならそもそも言わねェ!あいつァ敵の良いようにされて良いタマじゃねェんだ!」
『うん。私は最初こそ反対したけど…今は違う。私達で絶対に、爆豪くんを救け出そうね!』
切島くんと私が頷き合うのを見て、轟くんは緑谷くんに視線を移す。
「…緑谷はどうだ?」
「僕は…後戻りなんて出来ない…!!」
「そうか、分かった」
改めて意思表示をした私達は、みんなで顔を合わせて頷き合った。