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翌日。
切島くんと共にみんなのお見舞いに行くつもりだったのだが、警察の人に呼び出しをされた私。
そんな私の目の前には、只今刑事の塚内さんが座っている。
ちなみに、お見舞いには切島くん一人で行ってもらうことになった。
『(切島くん一人で行かせちゃって悪いな…昨日の今日だけど、大丈夫かな…)』
爆豪くんが拉致されたこと、私が傷を負ったこと、何より一番、何も出来なかった自分自身を悔いていた切島くんの姿は、見ていてこちらが泣きそうになるレベルだった。
『(今はあんまり一人にさせたくないんだけどな…)』
「カフェさん?」
『あっはい、すみません…!』
塚内さんと話している内に、いつの間にか切島くんのことを考えてしまっていた。
「いや、こちらこそ身体的にも精神的にも疲れているところ悪いね。休憩するかい?」
『いえ、大丈夫です。身体的にはもうすっかり元気ですから』
私は昨夜、就寝前に"個性"を使って自身の傷を回復させたため、外傷はもう一切無い。
私の傷はもう大丈夫だよ、と早く切島くんに見せて安心させてあげたい。
「ハハ、こりゃ凄いね!確か君の"個性"は"回復"…そりゃ敵も仲間にしたがる訳だ!」
『…』
明るい口調で言う塚内さん。
どれだけ明るい口調で言われても、私は彼の言葉に笑う気にはなれなかった。
急に顔を曇らせた私に、塚内さんは慌てたようにフォローを入れる。
「あぁ、そういう意味じゃなくってね…えぇと…すまない!」
『いえ…』
「では話を元に戻そうか」
居心地が悪くなったのか、塚内さんはコホンと一つ咳払いをした。
「カフェさん、君は以前から敵と面識があった…そうだね?」
『はい。USJ事件の前…登校中に偶然死柄木弔と遭い、彼が怪我をしていたので"個性"を使って回復させました。その時に初めて会いました』
この話は、USJ事件直後の事情聴取の際にも塚内さんに伝えた内容だ。
「それが目を付けられたきっかけだね。その後死柄木は夏休み前、木椰子区ショッピングモールで緑谷くんに接触した。そこでは敵と君の接触は無かったんだったね?」
『はい…』
「そして今回、死柄木は誰の前にも現れず、か…」
『…』
ふむ、と呟きながら塚内さんは腕組みをする。
「今回君が遭ったのは、倒れていたマスキュラー、スピナーとマグネ、黒霧、女子高生の敵だったね。で、この女子高生敵は君のことを知っている口ぶりだった、と。今はもう回復させた上半身の傷も、彼女にやられたんだね?」
『はい…死柄木弔の名前を出していたので、彼から私のことを聞いたんだと思います。傷は彼女にナイフで切り付けられました』
「ふむ。"目標"や"見つけた"とも言われたんだったね…」
『…』
塚内さんは、ぺらりと捜査書類を捲りながら言葉を続けた。
「プッシーキャッツの二人に守られたから無事だったけれど、爆豪くんと共に君を拉致する予定だったのだろう。敵連合…と言うより、死柄木個人が君を欲しているように考えられるな…」
塚内さんの言葉に、背筋がゾクッと寒くなった。
「今後も死柄木が君の前に現れる可能性は非常に高い。これからは出来るだけ一人では行動しないこと。分かったね?」
『は…い』
「怖がらせて申し訳無いが、君はもっと"狙われている"という自覚を持つべきと思ってね。拉致されてからでは遅いんだ」
塚内さんの言葉に対して私は何も返事が出来なかった。
もう既に一度、拉致されたことがあったから。
職場体験中に。
「何かあればすぐに連絡をくれ。今日は以上だ…疲れているところすまなかったね」
私が職場体験中に攫われたことは、切島くんにも、家族にも、クラスメイトにも話していない。
このことを話せば捜査を進めるきっかけになるかもしれないし、話さなければならないのだと思う。
けれど。
『…分かりました。ありがとうございました』
私は表情を変えずに、部屋を出た。