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『(な…長かった…!)』
あの後応急処置を受け、警察に事情聴取をされたのだが…
非常に長い拘束時間だったため、一言で言うと疲れてしまった。
『あ、切島くん』
「モカ…」
部屋を出た所で、壁に凭れ掛かっている切島くんが目に入る。
なんだかぼうっとして、だいぶ参ったような様子の彼を見ていられず私は彼の手を取った。
『喉乾かない?何か飲み物買いに行こう!』
「あぁ…」
私は彼の手を引いて歩く。
その間、彼は珍しく何も言葉を発しなかった。
しばらくして自販機の隣にあるベンチに彼を座らせ、私は適当に飲み物を二つ購入する。
『お疲れ様!これ、はい!』
「ワリィ…」
『いやいや、全然悪くな…』
「救けに行けなくて、ワリィ…!」
座った状態の切島くんにガバッと腰に抱き着かれ、私は立ったまま飲み物を落とすまいと両手に力を込める。
そんな私に構わず、切島くんはゆっくりと口を開いた。
「俺、何も出来なかった…!爆豪が、モカが敵に狙われてるって知ってて…何もしなかったんだ…!先生に言われるがまま、施設でみんなが戻って来るのを黙って待ってただけなんだ!」
切島くんが、ギリッと歯を食いしばっているのが見ていて分かる。
『そんな…あの状況だと施設で待機するのが正しかったと思うよ、だから…』
「さっきさ。傷だらけのモカの姿見て、頭ん中真っ白になった…」
『…』
私が虎さんと共に施設へ戻った時のことを言っているのだろう。
あの時の切島くんの表情は、"顔面蒼白"と言う言葉そのものだった。
応急処置をしてもらったため、寝る前までは"個性"を使わずに居ようと思っていたのだけれど、知らない内にこの傷が切島くんを追い詰めていたとは…。
私は包帯でぐるぐると巻かれた自身の首元に目線を落とす。
「ごめんな…こんなになるまでモカは戦ってたのに…あの時無理矢理にでも施設出てりゃあ、もしかしたら爆豪を救けられたかもしんねェのに…何もしなくて、ごめんな…!」
私は両手に持っていた飲み物をテーブルに置いた。
「悔しい!!俺、情けねェ…みっともねェ…!俺…俺、こんなの…こんなのっ…!!」
『落ち着いて、切島くん』
切島くんは感情のままにその想いを私にぶつける。
きっと頭の中が自責の念でぐちゃぐちゃになっているのだろう。
『そんなに自分を責めないで。大丈夫だよ…大丈夫だから…』
切島くんの悔しさや辛さが痛いほど伝わってきて、私はゆっくりと彼を抱き締め返す。
『泣かないで、切島くん…』
私の腹部に顔を埋めて男泣きする切島くんの頭を、私は出来る限り優しく撫で続けた。