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『な…に、これ…?』
あの後、jk敵から運良く逃れられた私は必死に走り、人気の無い岩場へと出て来た。
そして今目の前では、全身ムキムキの筋肉剥き出しの大男がボロボロで、地面にめり込んだ状態で倒れている。
意識は無いようだ。
『(恐らくコイツは敵…と言うことは、生徒の誰かがやったんだ…)』
私はごくりと生唾を飲んだ。
こんな巨体の男を倒した人物が生徒達の中にいるなんて。
『(いや、流石にそれはないか…先生、もしくはプロヒーローだろうな…)』
それにしてもこんな所に敵を放置しておくのは良くないと思う。
今は気を失ってるとは言え、いつ起きるか分からないし…。
『(でも、拘束具なんて持ち合わせていない…周りにも誰も居ないみたいだし、こんな大男、私一人じゃ担げないし…)』
色々考えた結果、先生をこの場に呼ぶのが一番良いと判断した。
見晴らしの良いこの場から施設の位置を確認する。
『(洸汰くんは無事に施設に戻れたのかな…緑谷くんは洸汰くんを見付けられたのかな…もしまだなら、私も捜さなきゃ)』
私は施設に向けて走り出した。
***
『マンダレイ!虎さん!』
施設に向かう途中で、銃声が聞こえたり物凄い風に襲われたりしたけれど、誰にも遭わずに最初にバラけた地点まで帰って来ることが出来た。
先程の岩場に、気を失っている敵が倒れていることを報告したいのだが…
それどころではなさそうだ。
「アナタは…!失神した洸汰を運んで来てくれた、カフェキティ!」
『運んだのは緑谷くんですけどね…!』
マンダレイの目の前にはスピナー、虎さんの目の前にはマグネと呼ばれた敵がそれぞれ構えを取って立っている。
「んまぁ!その子、カフェキティって…!スピナー!」
「目標からわざわざやって来てくれるたぁ、ラッキーだな!」
無数の刃物を私に向けられ、私は構えの体勢を取る。
「カフェキティ!アナタも狙われてるの…!?」
『よく分からな…うわっ!?』
「チッ!避けられたか…!」
マンダレイと話していた最中にスピナーがこちらに突っ込んで来たのを、虎さんが私を抱えて咄嗟に避けてくれた。
『あ、ありがとうございます!』
「油断するなよ!」
マンダレイと虎さんは私を守るように立ってくれている。
油断していたつもりはないのだが、虎さんに一喝され私は気を引き締め直した。
と、その時、スピナーの装着している無線から何やら声が聞こえた。
《「開闢行動隊、第一目標回収達成だ!第二目標の元へは黒霧が向かうので結構!短い間だったがこれにて幕引き!予定通り5分以内に会衆地点へ向かえ!」》
『…え?』
さっきのマンダレイのテレパスでは、敵の目標は"かっちゃん"と言っていた。
その上、目標回収達成って言うことは…
『(爆豪くんが…捕まったってこと…!?)』
私はその場に立ち尽くす。
「ちょっとスピナー、アンタのせいよ!」
「うるさい!誰かのせいと言うなら、悪事を働いた己のせいだ!」
「そういうことよ、敵のスピナーくん!」
「えぇい離れろ、不潔女!」
虎さんがマグネを、マンダレイがスピナーを動かないようにホールドしている。
「畜生!ステインは蘇る!良いか!?意志が、ここでだ!俺によって!俺はテメェ等生臭ヒーローと眼鏡くんを粛正しなきゃいけねぇんだ!!」
「意味分かんない!それにしてもアンタ、"個性"を一切見せなかったわね…!」
グッとスピナーを捕らえる力を強めるマンダレイに、スピナーは悔しそうにしている。
「うるさい、退け!」
「そう…」
「『!?』」
もう何度も聞いたことのある低い声に、自分の身体がピクリと反応する。
「お二方とも、少し退いて頂きましょう」
『来た…黒霧…!』
私は思わず苦い顔をした。