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『つ、着いた…!』
やっとの思いで施設に辿り着き、時計を見ると午後5時20分とのこと。
「やーっと来たにゃん、とりあえずお昼は抜くまでもなかったねぇ」
「何が"三時間"ですかぁ!」
誰かが文句を言うが、正直もう誰の声か理解出来ない。
私達はみんなボロボロでフラフラ…
そのため、みんな揃って地面にへたり込んだ。
泣き叫ぶ峰田くんを抱えながらアホの上鳴くんの手を引き、たまに来る魔獣を攻撃し、怪我人の回復をさせて苦手なランニングを続ける…
そんな状態の私が施設に辿り着けたのは奇跡だと思う。
「悪いね。私達ならって意味、あれ」
「ねこねこねこ!でも正直、もっと掛かると思ってた!私の土魔獣が思ったより簡単に攻略されちゃった!良いよ、君等…特にそこ4人!」
ピクシーボブに指差されたのは緑谷くん、飯田くん、轟くん、爆豪くんだ。
「躊躇の無さは経験値によるものかしらん?3年後が楽しみ!唾つけとこー!」
「うわっ!」
「やめろ!」
言いながら物理的に唾をつけるピクシーボブに対して、4人は全力でガードの体勢を取っている。
「彼女あんなんでしたっけ」
「彼女焦ってるの。適齢期的なアレで」
「あっ!適齢期と言えばあのっ!」
「…と言えばって?」
素早く緑谷くんの顔面を掴むピクシーボブ。
彼女の顔には影が差しており、少しコワイ。
「ずっと気になってたんですが、その子はどなたのお子さんですか!?」
緑谷くんの指差す方向には、プッシーキャッツの登場シーンで冷めた目をしていた男の子が立っていた。
「あぁ違う、この子は私の従甥だよ。洸汰!ほら挨拶しな、一週間一緒に過ごすんだから…」
"洸汰"と呼ばれた男の子が全く動こうとしないため、そんな洸汰くんの元へ緑谷くんが歩み寄る。
「あ…えっと僕、雄英高校ヒーロー科の緑谷。よろしくね」
柔らかな笑顔を浮かべながら、緑谷くんは洸汰くんに手を差し出した。
次の瞬間、洸汰くんは思いっ切り緑谷くんの股間を殴った。
「~~~ッッ…!!」
色々な意味でショックを受け、声にならない叫びを上げ石化する緑谷くん。
そんな緑谷くんの元へと飯田くんが駆け寄り、大丈夫かと声を掛けている。
「緑谷くん…!おのれ従甥、何故緑谷くんの陰嚢(いんのう)を!!」
『ブフッ』
飯田くんの言葉に、私は思わず吹き出してしまった。
いや、飯田くんが本気で怒っているのは分かるし、緑谷くんが死にそうになっているのも分かる。
笑う雰囲気ではないのも分かるんだけど…
ダメだ、笑いが止まらない。
陰嚢て。
私は肩を震わせながら口元を手で覆った。
「ヒーローになりたいなんて連中とつるむ気はねぇよ!」
「つるむ!?いくつだ君!」
飯田くんの言葉に特に何も返さず、洸汰くんはそっぽを向いた。
「…マセガキ」
「お前に似てねェか?」
轟くんが爆豪くんに言葉を掛ける。
正直私もそう思ったが、今もし爆破されたらたぶん息絶えてしまうので言わないでおこう。
「あ?似てねェよ!つーかテメェ喋ってんじゃねェぞ舐めプ野郎!!」
「悪い(似てる…)」
素直に謝る轟くんに、爆豪くんはそれ以上何も言わなかった。
「茶番はいい、バスから荷物降ろせ。荷物を運んだら食堂にて夕食、その後入浴で就寝だ。本格的なスタートは明日からだ。さァ早くしろ」
相澤先生の声に私達はしんどいながらも返事をした。