14
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「お前等、挨拶しろ」
「「『よろしくお願いします!』」」
相澤先生の言葉に、私達は口を揃えて挨拶する。
「ここら一帯は私等の所有地なんだけどね…アンタ等の宿泊施設は、あの山の麓ね」
「「『遠っ!』」」
彼女が指差す方向は遥か彼方だ。
「えぇ?じゃあ何でこんな半端な所に…?」
「これってもしかして…?」
「いやいや…」
「…バス、戻ろうか…な?早く…」
嫌な予感がした私達は、信じたくない一心で後ずさる。
「今は午前9時30分。早ければ~…12時前後かしらん」
追い打ちを掛けるようにそう言われ、私達A組生徒はサァッと顔が青ざめていく。
「ダメだ…おい!」
「戻ろう!」
「バスに戻れ、早く!」
切島くんの声に合わせて、みんな揃ってバスへと駆け出した。
だって無理だもん、この距離をバス無しで自力で辿り着くなんて酷過ぎる。
「12時半まで掛かったキティは、お昼抜きね~!」
「悪いね諸君、合宿はもう…始まってる」
突然、バスの前にピクシーボブが現れたかと思うと…
「なんだぁああ!?」
「土が盛り上がって…!?」
「「『わぁあああ!!』」」
突如現れた土流によって、私達は宙へと放り出された。
「くっ…!」
『!』
そんな中、空中で私の手を掴み身体を抱き寄せてくれたのは切島くんだ。
そして何を考える間もなく、私達は崖の下へと投げ落とされたのだった。
『んっ…』
然程衝撃は無く、閉じていた目を開ければ目の前には真っ白な制服。
切島くんが私を抱きかかえてくれていたため、怪我は一つも無かった。
『うわっ…ごめん切島くん、大丈夫…!?』
「おう、大丈夫だ!」
私は恥ずかしくなり慌てて身体を離すが、切島くんは特に気にしていないようだった。
『み…みんなも大丈夫…?』
周りに居るクラスメイト達に声を掛ける。
「うん…!」
「大丈夫…」
「おーい!」
ふと頭上から声がしたので見上げてみると、マンダレイがこちらに向かって手を振っていた。
「私有地につき、"個性"の使用は自由だよ!今から三時間!自分の足で施設までおいでませ!この"魔獣の森"を抜けて!!」
「『"魔獣の森"…!?』」
緑谷くんと共に、マンダレイの言葉を繰り返す。
「なんだそのド○クエめいた名称は…」
「雄英こういうの多過ぎだろっ…」
「文句言ってもしゃーねェよ、行くっきゃねェ!」
制服についた土を叩き落としながら切島くんがそう言う隣を、峰田くんが全力で森の方へと走って行った。
『あっ…峰田くん!?』
今"魔獣の森"と言われたばかりなのに、何をそんなに張り切っているのだろうか。
峰田くんを追い掛けようとした先で、何やら物音がする。
恐る恐る顔を上げると…
「…ま、」
「「『魔獣だー!!』」」
上鳴くんと瀬呂くんと私は揃って叫んだ。
峰田くんの目の前に巨大な魔獣が現れたのだ。
「静まりなさい、獣よ!下がるのです!」
口田くんが魔獣の元へと走り出すが、魔獣は止まらない。
『(動物を従える口田くんの"個性"が通じてない…!?土塊…そうか、さっきの…ピクシーボブの"個性"で…!)』
魔獣が峰田くんに向かって振りかぶった瞬間、緑谷くんが飛び出してきて峰田くんを救い出した。
緑谷くんに続いて轟くん、飯田くん、爆豪くんが魔獣の元へと飛び出し攻撃を仕掛ける。
「あの魔獣を瞬殺かよ!」
「やったな!」
瀬呂くんと砂藤くんが轟くんの元へ駆け寄るのと同時に、切島くんと私は爆豪くんの元へと駆け寄った。
「流石だぜ、爆豪!」
『やったね!』
「まだだ!」
「『…え?』」
爆豪くんの見据える先からは、先程のものよりも更に大きな足音が聞こえる。
「おいおい、一体何匹居るんだよ…」
「どうする?逃げる?」
「冗談!12時までに施設に行かなきゃ昼飯抜きだぜ…!」
「なら、ここを突破して最短ルートで施設を目指すしかありませんわ!」
『だね!』
「ケロッ!」
私達はヤオモモの言葉に頷く。
「よし!いくぞA組!」
「「『おう!!』」」
飯田くんの言葉に、みんな揃って声を上げた。
『(みんなが…仲間が居るのが、こんなにも頼もしいなんて)』
目の前には魔獣が居るのに、私は口角を釣り上げた。