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『なんかせっかくのお休みだったのに、変な感じで終わっちゃったね~…』
「そーだな~…」
切島くんと肩を並べて帰路につく。
『緑谷くん、大丈夫かな…』
「緑谷なら大丈夫だ、きっと!アイツ結構アツいし!」
『あはは、そっか…そうだよね!』
拳を前に突き出して言う切島くんに私は苦笑する。
するとその時。
自分の踵に嫌な痛みが走り、私は膝から崩れ落ちた。
『いっ!』
「モカ、大丈夫か!?」
『ん…へーき!ありがと』
私は座り込んだまま、自身の足元を覗き込んだ。
『…うーん、靴擦れっぽい…ヒール履くの久し振りだったから…』
久し振りに気合いを入れてヒールを履き、モール内を歩き回っていたせいで靴擦れを起こしてしまったようだ。
『ちょっと待ってね、すぐ回復するから…』
尻もちをついたまま"個性"を発動しようとすると。
「…」
切島くんが私の隣にしゃがみ込む。
『ん?…うわあっ!?』
「よっ…と!とりあえずそこの公園行くぞ!」
突然、切島くんに俵抱きにされたかと思えば、何を言う間も無く彼は歩き出した。
『ちょっと待って!?は、恥ずかしいよこんなの!みんな見てるって…!』
「みんな見てんなら余計に、道端に座ったままにさせてられっか!」
『ゔっ!そ…それはそうだけどっ…』
そうは言っても恥ずかしいもんは恥ずかしい。
自分の顔に熱が集まるのが分かる。
…普段はどちらかが怪我をしても私の"個性"ですぐに治してしまうため、こんなのは初めてだ。
なんだかドキドキしてしまう…。
「ほらよっ」
『あ、ありがとう…!』
公園のベンチに降ろされ、私は赤くなった顔を隠すように俯いた。
そしてすぐに自身の踵に回復手当てを施す。
切島くんはそんな私の隣に腰を降ろした。
「そーいや、モカは結局何か買えたのか?」
『うん、水着買ったよ!可愛いのあったんだ~!』
えへへと笑いながらショップバッグに目を遣る。
「そっか、良かったな!」
『切島くんは結局、何買ったの?』
「んー?ワックスと、ヘアカラーと~…」
『ヘアグッズばっかりだね~、ていうかまた髪色変えるの?』
「いーや、林間合宿行く前に気合い入れ直そうと思って!色はもちろん赤!モカ、頼むからな!」
『えぇ~、しょうがないなぁ…』
次のお休みは久し振りに、切島くんの髪を染めることになりそうだ。
どうやったら上手く染まるのか、帰ったら調べておこう。
そこまで考えたタイミングで靴擦れが回復したため、私はふぅと一息つく。
すると切島くんが、あ、と小さく声を漏らした。
「後はさ、モカにプレゼント!」
『え?』
思わず聞き返す。
隣に座る切島くんが自身のバッグを漁っていた。
その中から、小さく上品な紙袋が取り出される。
「ほら!」
紙袋を手渡され、私は驚いた。
『な、えっ…?これどうしたの!?』
「そういうのは後で良いだろ。とりあえず開けてみろって!」
切島くんに促されて私は紙袋からボックスを取り出し、丁寧にラッピングを解いていく。
「…」
『…』
二人して、ボックスの中を覗き込んだ。
すると。
そこには、キラキラと輝く綺麗なネックレスが顔を覗かせていた。
『わぁ…!これ、ショーウィンドウに飾ってあったやつだよね…!?』
「そ!モカ、見てただろ?」
ニッと笑う切島くんに、なんだか感極まって泣きそうになった。
『か、可愛い~…!!けど、こんな高価な物、貰えないよ…!』
「俺の感謝の気持ちだ!受け取ってくれたら嬉しいんだけど」
珍しく目線を外してそう言われ、私は戸惑った。
「…いつもありがとな!」
そう言いながら笑い掛けられれば、私は頷くことしかできなかった。
『…ありがとう切島くん、ほんとに嬉しい…!ずっとずっと、大切にするね!!』
大きな声を出した私を切島くんは一瞬驚いたような表情をしていた。
「紅頼雄斗のマスコットの礼もまだだったしな!」
『えぇぇ、そんなの釣り合わなさ過ぎるよ…!』
「おいおい、紅ナメんなよ!」
切島くんはいつもの笑顔を見せてくれた。
『(これは絶対、毎日身に着けよう。制服の下にも、戦闘服の時も)』
そう誓い、私は手中のネックレスに再度視線を落とした。