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『(お、これ可愛い)』
私が手に取ったのは黒のバンドゥビキニ。
サイズも良い感じだし、何より色とデザインがみんなと被っていない。
ちょっと大人っぽいけど、まぁ上から何か羽織るしね。
「モカ、それにすんの?めちゃくちゃ可愛いね!」
「ホントだ、似合いそう〜!」
『試着してみて合ってたら買おうかな!んじゃ、ちょっと行ってくるね〜』
みんなにひらひらと手を振り、私は試着室へと向かった。
***
「ありがとうございました〜!」
『ふふん、良い買い物したなぁ…♪』
可愛い水着をゲットした私は上機嫌だった。
『切島くんに報告しなきゃね〜』
ん、あれ?
そう言えば切島くんは…?
店内を振り返ったその時。
《「ご来店のお客様にご案内致します…」》
突然アナウンスが流れた。
アナウンスによると、敵が現れたとのこと。
そしてショッピングモールを一時閉鎖するとのことだ。
途端に騒ぎ出す人々。
「うぉっ!?なんかマスコミ事件の時みてぇだな…!?」
私の隣に居た上鳴くんが目を見開いている。
流石に外なので、校内で起きたマスコミ事件の時ほどの密集具合ではないけれど…
上鳴くんの言う通り、人々の混乱している様子はあの時のマスコミ事件を彷彿させられる。
でもあの時と違うのは…
『切島くんが居ない…!』
あのマスコミ事件の時、上鳴くんと私を抱き止めてくれていた切島くんが居ない。
いつから居なかったのだろう…
水着選びに夢中過ぎて気付かなかった。
「うわっちょ…押さないでよ〜!」
「みんな!ひと塊になろう!」
「モカちゃん!逸れないように、手ぇ繋ご!」
きっと透ちゃんはこちらに手を伸ばしてくれているのだろうけれど、姿が見えないために私は手を差し出せずにいた。
それより切島くんは…!?
『み、みんな!居ない…居ないの!切島くんが居なっ…』
「モカ、落ち着け!俺はここに居るって!」
後ろから腕を引かれ、振り返るとそこには切島くんが居た。
『切島くん…!』
「ワリ、少し離れてた!」
切島くんの顔を見て私は安堵の溜め息を漏らした。
「切島くん、戻ったか!とりあえずみんなと合流しよう!」
「飯田!みんなにさっきんとこ集まろうって一斉メール送信しといた!」
「おお!ナイス、響香ちゃん!」
「さぁ急ぎましょう!」
ヤオモモの掛け声と共に私達は集合場所へと向かった。
***
「『緑谷くん!』」
「緑谷!?大丈夫かよ!?」
みんなで合流してから色んなことを知った。
通報したのはお茶子ちゃんだったこと。
狙われたのは緑谷くんだったこと。
モール内に現れた敵が、死柄木弔だったこと…。
『…っ』
死柄木弔が来ていたんだ…
このショッピングモールに。
忘れようと思い込んでいた記憶が蘇る。
登校中に怪我を治したことから始まり、USJで滅茶苦茶され、職場体験先で怪我を治すよう言われ…
今度は緑谷くんに、何をしようと…?
「モカ」
『!』
切島くんに、肩に手を置かれてハッとする。
「大丈夫だ」
いつもの笑みを見せてくれた切島くんの顔を見て、私は安心する。
モールが閉鎖してからヒーローや警察も来たけれど、結局死柄木弔は見つからなかったという。
そして被害者の緑谷くんは、警察に連れられて行ってしまった。