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緑谷くんと爆豪くんの勝利に歓喜したのも束の間、保健所内は深刻な空気で溢れていた。
運ばれてきた二人は全身ボロボロだった。
『(緑谷くんの意識は割とハッキリしてるな…爆豪くんは気絶してるか…)』
「す、凄いや!カフェさんが看てくれるの…!?」
『うん、今回はそれが私の試験なんだ』
緑谷くんは自分の身体がボロボロなのにも関わらず、私の方を見て凄い凄いと感動しているようだ。
まだ凄いことは何もしてないんだけどなぁ。
「今回、アタシがまず爆豪の治癒をする。その後アンタの"個性"で回復させてやんな!アンタは先に緑谷から回復、頼んだよ!」
『あ、はいっ!』
リカバリーガールは爆豪くんに治癒を施している。
私はリカバリーガールと短くやり取りを交わし、緑谷くんの患部に手を翳した。
『失礼します…』
「うっうん…!」
『(緑谷くん…全身傷だらけ…)』
今まで、"個性"を使う度こんなふうになってたのかな…?
それにしては、ここまで見てきた大怪我に免疫が無いようにも感じるけど…
『(まぁ今はその辺はいいや。集中集中…)』
「…」
『…』
「…」
『(やり辛い…)』
緑谷くんにこうもガン見されてしまっては少しやり辛い。
いや、見られるのは全然良いんだけどそのキラキラした瞳をなんとかして欲しい。
めっちゃ光ってるもん。
目からビーム出そうだよ。
『…私が粗方回復させた後はリカバリーガールが治癒してくれるから、数日で怪我は治ると思うよ』
怪我した箇所が広く多いため、回復には時間が掛かる。
私は"個性"を発動しながら緑谷くんに話し掛けてみた。
「えっと…カフェさんありがとう…なんかごめんね、仕事増やしちゃって…」
『ふふ。こういう時は"ありがとう"だけで良いと思うよ?』
「あ、ありがとうっ…!」
少し照れ気味に言う緑谷くんに軽く笑みを向ける。
すると後ろの方から"チユー!"と独特の声が聞こえてきた。
「さ、今度は爆豪を看てやんな。緑谷はアタシが看る」
『分かりました。あ、そうだリカバリーガール、緑谷くんの腰の治りが悪くて…』
「…あの時の、か…分かった。看してみんさい」
リカバリーガールは緑谷くんの服を捲り、腰の様子を確認していた。
私はそれを見届け、爆豪くんのベッドの前に立つ。
「…」
『(これは…しばらく起きないだろうな)』
私は爆豪くんの頬に手を翳した。
たくさん殴られて、吐いて、大変だったんだ。
私はポケットからハンカチを取り出し、吐いたせいで汚れてしまった彼の口元を拭った。
『…』
それだけ勝ちたかったんだ…。
勝ちにこだわったんだ。
『(爆豪くん、泣いてたな…)』
顔に掛かる髪を避けてみる。
そこには涙の乾いた跡が残っていた。
『(瞼も…腫れないように…)』
爆豪くんの全身に"個性"を使っていると、段々と眠気がやってきた。
うぅ、ここで眠気に負ける訳にはいかない。
私は気を引き締め直す。
今度は緑谷くんの方から"チユー!"と聞こえてきた。
オールマイトは端っこの方から、心配そうにそれを見守っている。
「ありがとうございますリカバリーガール…」
「アンタ本当に加減を知らないね!もう少し強く打ってたら取り返しのつかんことになってたよ!特に緑谷の腰!これギリギリだったよ!」
リカバリーガールが大声を出して怒るのを初めて聞いた私は驚きつつも、爆豪くんへの回復を続けた。
「爆豪の方はしばらく目覚めないだろう…とりあえず二人とも校舎内のベッドで寝かしておきな。轟達もそっちで休んでもらってる」
「あの…リカバリーガール、僕…ここで見てちゃだめですか?」
緑谷くんは横になりながらもモニターを見上げてリカバリーガールに問うていた。
「フラフラだろう、しっかり寝とかんと…」
「あ、いや…!でもっ…その、大丈夫です!こんなじっくりプロやみんなとの戦い見れる機会あまり無いので…」
「んー…まぁ駄目とは言わんが無茶なさんな」
「ありがとうございます!」
緑谷くんは嬉しそうに笑った。