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「…話を掘り返すようで悪ィけどさ」
地面を見つめながら言う切島くんの声はひどく落ち着いていた。
「体育祭の後、なんか誤解招くような真似しちまってごめんな」
『切島くんが謝ることないよ、私が勝手に勘違いしただけだし…!ごめんね、切島くん』
「いや、俺は構わねェさ!正直怖かったけどな!」
彼が"怖い"と口にするのは珍しく、私は申し訳無い気持ちでいっぱいになる。
『ごめん…』
「そんな顔すんなって!あ~…えっと、違ェんだ!俺が言いたかったのはそういうことじゃなくてだな…!」
あたふたしながら目を逸らす切島くん。
私はそんな彼の表情を伺い見ていた。
「まぁ体育祭で自分が負けた時のこととか考えてなかったから、"優勝したら大事な話がある"っつったけど…終わってから聞いた"彼氏居んのか"ってのは本当に俺が言いたかったことじゃなくて…別にそんなの居ても居なくても関係ねェっつーか…」
これまた珍しく歯切れの悪い切島くん。
変な期待をしてしまいそうになり、私は自分の思考を掻き消すために"今日の切島くんは変だな"なんてわざと考えた。
「情けねェ話だが、もっかいチャンスくれ!今度は俺が勝つ。そん時、また大事な話させてくれ!」
私の両肩を掴みながら真っ直ぐにそう言った切島くんに、私は思わず笑った。
『うん、次こそ勝ってね!』
何を言いたいかは大体分かるのだけれど、切島くんはどうしても勝ってからその先のことを言いたいようだ。
それなら私は何も言うまい。
私も彼を守れるくらい強くなりたい訳だから、その猶予ができたと考えよう。
『…とりあえず特訓始める?』
「あぁ…そうだな!」
私達はどちらからともなく準備運動を始めた。