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「あ、あの子、雄英体育祭一位の爆豪くんじゃない?」
「うわマジだ雄英生だ!隣に居るの、確か回復の"個性"の子じゃん!」
街を歩けば、市民がこちらを見て話しているのが分かる。
市民は話していることを隠す気も無いようで、その声は私の耳にもしっかりと届いていた。
『爆豪くんはともかく…私、そんなに出番無かったのにちょっとは知名度あったんだ〜…?』
「治癒・回復の"個性"は希少だからな。体育祭のレース中に生徒に回復手当てをするシーンも珍しい。あのシーンは大きくテレビに映し出されていた」
『そうだったんですか…!』
嬉しいけれどなんか複雑な気持ちだ。
ベストジーニストはそのシーンを見て、私の考えが甘いと判断し、こうして指名をくれた訳だから…
他にも甘いと思う人も居るのだろう。
「あーっ!この人テレビで見たことある!」
パトロールを続けていると、今度は男の子達三人が爆豪くんを指差した。
『流石爆豪くん!体育祭の話かな…?』
「…」
確かに体育祭の最後…
表彰式での様子は酷かったが、爆豪くんが一位であることに間違いは無いのだ。
「前に敵に捕まって泣きそうになってたよなぁ!」
「…んだとゴラァアア!!?」
BOMB!!と音を立て、せっかくベストジーニストにセットしてもらった髪が元通りになる爆豪くん。
そしてその怒鳴り声に、子供達が怯えてしまった。
子供達は体育祭の話ではなく、中学時代にヘドロ敵に捕らわれていた時のことを言っていたらしい。
まぁあの事件、有名だからなぁ。
「ひっ…うわぁああん」
「教えたことをもう忘れたのか?きちんと対応したまえ」
「わーったよ!」
苦い顔をしながらも子供たちの方に歩み寄る爆豪くん。
うんうん、成長してる。
「あのなァ!俺はあの時敵に捕まってた訳じゃなくて、野郎を倒す算段を考えてたんだ」
うんうん、成長して…
「決して負けてねェ。俺はNo.1ヒーローになる男だ!お前等みたいなガキに心配される必要なんざ…」
「「「わぁあああん!!」」」
今度は三人揃って子供達が泣き出してしまった。
『わわ、なんかごめんね君達!大丈夫だよ〜泣かないで!』
「ハンッ」
ヒーローが市民を泣かせにかかったと知れ渡れば、ジーニアス事務所に顔が立たなくなる。
爆豪くんは悪びれた様子も無いため、私が子供達を抱き締めて落ち着かせた。
「ふぅ…プライドが高過ぎる。その強い気持ちがヒーローになることに向けられている分には良いが、もしそうでは無くなったら…さて、どうしたものか」
私の後ろでベストジーニストは深い溜め息をついていた。