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《「…っと、もうこんな時間か!」》
切島くんの声に釣られて時計を見る。
時計の針は、ちょうど日付が変わる頃を指していた。
『結構話し込んじゃったね〜…遅くまでごめん』
《「んや、こっちこそ悪ィな!明日もはえーし、もう寝るか!」》
『あっ…待って!あと少しだけ、いい?』
もうだいぶ遅い時間だし、これ以上は明日に響いてしまう。
それでも、少しだけ。
『切島くんに謝りたくて。…もう少しだけ…だめかな…?』
《「…ダメなわきゃねーよ」》
『ありがとう…!あの、さ』
切島くんは、私が何を言いたいのか分かっているのだろう。
彼の声はとても落ち着いていた。
言いたいことを必死に脳内で整理する。
『なんとなく気付いてたと思うけど…私、体育祭の後から切島くんのこと少し避けてたんだ。それですっごく困らせたと思う』
《「…あぁ」》
『でもそれは切島くんのこと嫌になったとかそんなんじゃなくて。体育祭の後の切島くんの話を聞いてたら、高校に入ってから切島くんに好きな人ができたんだって思って…そしたら悲しくて。でも応援しなきゃって思って…』
《「……、…ぃぅな」》
『切島くんの恋の邪魔にならないようにって思って少しずつ距離を置いてた。でも私、今までずっと切島くんの隣に居たつもりだったから…離れるって考えたら、やっぱりどうしても悲しくて。応援しなきゃいけないのは分かってるんだけど、せめて相棒としてでも…切島くんとまだ一緒に…っ』
《「応援しなきゃとか言うな!!」》
切島くんの大きな声に、私は言葉を呑んだ。
《「俺、マジで焦ったんだからな…!?お前が日に日に俺の隣から離れてくから!休憩時間も休みの日も放課後の特訓も全部…!挙げ句尾白と二人で帰ってんの見ちまうし、緑谷にもなんか色々言われてんの聞いちまうしよ…!俺がお前に何かしたか聞くにも聞けねェ雰囲気醸し出されるし!」》
『うっ…』
尾白くんと遭遇した件に関しては申し訳無いと思う。
切島くんとの特訓を断って尾白くんと特訓していたのだから、切島くんからすれば不快に思うだろう。
《「んで、そのままこの職場体験に来ちまった訳だが、俺は後悔してんだ」》
『…後悔…?』
《「モカとちゃんと話をしてから職場体験に来るべきだった。避けられてた上に会えねェ毎日が続いて、正直さ…めちゃくちゃ寂しかったんだ」》
『!』
だからこうして電話掛けた訳だしな!と電話の向こうで明るく笑う切島くん。
寂しかったって言ってくれた。
勝手に色々思い込んで避けてしまった私に、ちゃんと話をするべきだったって言ってくれた。
《「今までもこれからも…俺の隣はモカ、お前だけだ」》
『切島くん…っ』
《「会いてェよ、モカ」》
切島くんの力強い声が、耳に残った。