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name change
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緑谷くんは、ここまでは"個性"を見せていない。
何か策があるんだとしても、飯田くんの言う通りそろそろ大きな記録を残さないと…
『(除籍処分に…)』
私も人の心配してる余裕は無いんだけどね。
「…」
私達の声が聞こえたのか聞こえていないのか、緑谷くんはグッと手に力を込めた。
『お、"個性"使うんじゃない…?』
彼はどんな"個性"を見せてくれるんだろう。
クラスのみんなが視線を送る中投げた、緑谷くんのボール投げの記録は…
「46メートル」
『…』
あれ…意外と…普通、だ…?
いや、私からすれば46メートルも凄いんだけれど。
ていうか緑谷くん、今"個性"使ってた…?
「な…今確かに使おうって…」
「"個性"を消した」
「!?」
「つくづくあの入試は合理性に欠くよ、お前のような奴も入学出来てしまう」
「消した…!あのゴーグル…そうか…!視ただけで人の"個性"を抹消する"個性"!抹消ヒーロー イレイザーヘッド!!」
「イレイザー?俺…知らない」
「名前だけは見たことある!アングラ系ヒーローだよ!」
イレイザーヘッド…
私も、聞いたことはある程度だ。
『(でも何で相澤先生は緑谷くんの"個性"を消したんだろう…?)』
緑谷くんの方をちらりと見てみる。
彼は、何やら相澤先生に注意されているみたいだ。
「…」
「…、…」
何だろう、あまりちゃんと聞こえないな。
「"個性"は戻した…ボール投げは2回だ、とっとと済ませな」
「…」
そこからの緑谷くんは俯き加減。
何やらブツブツと呟き、考え込んでいる様子。
「彼が心配?僕はね…全っ然」
「ダレキミ」
「指導を受けていたようだが」
「除籍宣告だろ」
クラスのみんなに色々言われているけれど…
『(頑張れ!"個性"思いっ切り使っちゃえ!)』
「っ!」
緑谷くんがボールを投げる、その瞬間。
ギリッと歯を食いしばった彼の表情が、私の目にしっかりと焼き付いた。
「SMASH!!」
投げたボールは…一言で言えば、凄かった。
超パワーって、このことを言うんだろうな。
「あの痛み…ほどじゃない!」
『!』
ボールを投げた緑谷くんの右腕…
いや、右手に目が奪われた。
何あの怪我。
"個性"を使った反動だろうか。
あんな一瞬で、血が…滴って…?
「先生…!まだ…動けます!!」
「こいつ…!」
大きな瞳に涙を浮かべながらもニッと笑ってみせる緑谷くんに、クラス中がザワついた。