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ここは事務所内のとある一室。
今日の体験が終了し、シャワーを浴びてご飯も食べた私はソファーベッドに寝転がっていた。
『今日はなんか色々考えさせられたな〜…』
職場体験中はこの部屋を自分のものとして使って良いそうだ。
爆豪くんもたぶん、この近くに部屋を用意されてるんじゃないかな。
『(ベストジーニストの言うことはもっともだった。確かに私の考えは甘々だ…何が最善か、常に冷静に考えていかないと)』
スマホを手に取る。
職場体験三日目がもうすぐ終わる。
『(切島くん、無理してないかなぁ)』
初日の出発の時に"辛かったり寂しかったりしたら、電話して来いよ"と言ってくれた彼のことを私は思い返した。
『(電話…してみようかな)』
連絡先のページを開き、画面に"切島鋭児郎"の文字を映し出す。
『(…今更何考えてんだって感じだけど…突然避け始めて、いっぱい困らせただろうから…謝って、また毎日一緒に楽しく過ごしたい)』
それは私の本心だが、あれだけ避けていたのに突然電話なんかして、驚かれないかな…。
『(緊張することない!大丈夫だ、私…!)』
恐る恐る、指をスマホの画面に近付けたその時。
ヴヴッとスマホが震え、驚いた私は思わずスマホから手を離してしまった。
スマホはカシャンと音を立てて地面に落ちる。
『うっわ!画面割れてないよね…!?』
すぐにスマホを拾い上げ、液晶の無事を確認した私は安堵の溜め息をついた。
『(緑谷くんからメッセージ…?)』
珍しいなぁなんて思いながら内容を見てみるも、文章は特に無し。
代わりに、とある住所が添付された画像が貼ってあるだけだった。
『…』
メッセージは一斉送信になっており、送信先はクラスメイトのみんなのものだ。
切島くんのも入ってる。
『…考え過ぎだと良いんだけど。無意味にこんなことするような子じゃないしなぁ、緑谷くん』
私はスマホを持ち直し、新たに通話画面を開き直した。
***
私は今、ジーニアス事務所から割と近い所にあるコンビニに居る。
緑谷くんのメールを見た後すぐに私は警察に通報をした。
そしてなぜか無性にスイーツが食べたくなった私がコンビニに行こうと事務所を出た所で、ランニング帰りの爆豪くんに遭遇。
コンビニにスイーツ買いに行くから一緒に行こうと誘うも速攻拒否され、おまけに彼の分も買ってこいと言われてしまった。
つまりパシられたのだ。
でも、普段あんな態度なのにこうしてランニングをしていたり、影での努力を怠らない、そんな爆豪くんが最近はとても好きだ。
『(爆豪くんって甘いの食べるのかな…あ、これで良いや。カラ○ーチョの期間限定、辛さ10倍。私はコッチ)』
パパッと商品を手に取りレジへ向かおうとすると、とある商品棚に目を奪われた。
『("店舗限定!プロヒーロー×新作商品コラボ!"だって。何これ可愛い!昔のから最近のヒーローまで…!結構マイナーなのもある!)』
ミニキャラ化されたプロヒーローのマスコットとお菓子の組み合わせに、私は思わず一つの商品を手に取った。
限定品に弱いのは仕方がない。
『("紅頼雄斗"!切島くん、喜ぶだろうなぁ〜)』
これを渡した時の、興奮する彼の姿を想像しながらレジへと向かった。
「ありがとうございましたー」
お会計を済ませ、コンビニを出た私は事務所に足を向ける。
『(…あれ、また雨でも降るのかな)』
徐々に霧が出ているのを見て、私は事務所に向ける足を早めた。
段々と濃くなってくる霧。
『(………あれ…?この霧、なんか変…っていうか、どこかで見たような…)』
ソレは明らかに天候とは関係無いようで。
霧…いや、黒い靄が私の周りに渦巻く。
『…!』
嫌な予感がして、私は走り出した。
『(嘘でしょ…この靄、まさか…っ)』
「逃しませんよ、カフェモカ」
いつかUSJで聞いた、靄敵の声が自分のすぐ耳元で聞こえた。