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職場体験に来て三日目。
今日もベストジーニストにヘアセットをしてもらった爆豪くん。
そんな爆豪くんは、礼儀や立場を弁えることの大切さ等を教わっている…
と言うか教え込まれている。
一方私はと言うと、物事の優先順位について考えさせられていた。
爆豪くんのシンキングタイムにベストジーニストは私の所にやってくる。
「君は体育祭の時で言うと、初戦の最終レースでの判断が甘かった」
B組の庄田くんへの手当てのことを言っているのだろうとピンとくる。
『ですが、あの時あの生徒は全身に怪我を負っていて…そんな人を無視して自分が先にゴールするなんて、出来ません』
「なら他に100人倒れていたら、怪我人全員分の回復を施していたのか?」
100人、そんなの全員回復して回れるはずがない…
でも、時間さえあれば…私はきっと…
『…救けます。100人』
「…まぁそのガッツは褒めよう。だが現実的に考えて、無理なものは無理だ。あのレースには制限時間があったし、君の力も100人分の施術に耐えられる程の力はないだろう?」
『うっ…』
ベストジーニストの言葉に何も言い返せない。
「簡単なことだ。"怪我人のために自分の成績が下がったとしても施術を施す"…捨て身なのは一見格好良くも見えるがそれはコミックの中での話だ。自身の損失に繋がるような行為を繰り返していればいずれ身は滅ぶし、周囲の不安を煽り信頼性に欠くこともある」
『…』
「あの時あの状況の最善の選択は、怪我人に声を掛けて安否確認をした後、一度ゴールして自分の成績を記録し、先生に怪我人の報告をする、だ。ゴールは近かったし、あの時の怪我人は致命傷と言う訳ではなかった…自分の成績を下げてまで足を止める必要は無かった」
…それが最善なの?
怪我人を一度放って行き自分の成績をキープしておいて、怪我人への対応はその後なんて…
『そんなの…』
「まだ分からないようだな…君の取った行動と私の言った行動、結果的に違ったのは"君の成績が下がったこと"だけだ」
『!』
「君が何を思い違えているのか知らないが、そこを理解できなければ、このヒーロー社会に…潰されるぞ」
私は思わず俯いた。
『(私の成績が下がっただけ…)』
「どんな時も冷静に思案しろ。感情で動くな」
『…はい…』
「(まぁこの競争社会の中でその真っ直ぐな気持ちを持つことは大事だが、それ故にいつか何者かに利用される日が来る可能性がある…そうなる前に矯正する必要がある、利用されてからでは遅い)」
俯いて何も言わなくなった私を見て、ベストジーニストは爆豪くんの元へと歩いて行った。