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いつもと違う街並みを眺めながら私は軽く走る。
知らない土地で動き回って帰れなくなったら困るし、今日はほどほどにしておこう。
『…あっ』
しばらく走っていると、少し前方に見慣れた姿を発見した。
『爆豪くーん!』
後ろから声を掛けても爆豪くんは振り返ってくれず、私は彼の隣に並んだ。
彼もジャージを着て走っている。
『お疲れ様!ハァ、爆豪くんもランニング?ハァ…』
「見りゃ分かんだろクソが」
特にこちらを見るでもなく、爆豪くんは前を向き、ペースを変えずに走り続ける。
『は、速いね爆豪くん…いつもこんな感じ?』
「ハッ、こんなのまだまだだろ」
『いや、凄いと思うよ…私、着いてくので、精一杯っ…!』
元々走るのは得意じゃない上に体力オバケの爆豪くんに着いて走るだけで息が上がる。
爆豪くんは私と走る気は無いようで、一切ペースを変えない。
「じゃー着いて来んな、黙って一人で走ってろバーカ」
私は爆豪くんの言葉に闘志が漲り、どこからか力が湧いて…
来れば良いのだが、そう思い通りになる訳も無く。
ぐんぐんと爆豪くんと私の間の差が開き、終いに爆豪くんの姿は見えなくなってしまった。
***
『…迷った』
職場体験が終わってから切島くんに何と謝ろうか考えながら走っていたところ…
いつもより長く走ってしまい、疲れてたまたま見付けた公園で一休みして、さぁ帰ろうとした頃にはどちらから来たのか分からなくなってしまっていた。
スマホも置いてきてしまったし…弱ったな。
『(こういう時は…人に聞くのが一番!)』
そう思ってブランコに乗り、30分程経過するが…
人っ子一人通らず。
『(焦るな焦るな、こういう時は…どうやって来たかを思い返すのが一番!)』
私は必死に記憶を呼び起こし、あちらこちらへと行ってみる。
でもどれも違う気がして結局また公園に戻って来た。
『(大丈夫大丈夫、こういう時は…交番にさえ行ければ…!)』
公園の時計を見ると、もう早夜の時間を指していた。
『(交番に…人は居ない時間、か…)』
諦めてはいけない。
まだ何か方法はあるはずだ。
こういう時は…こういう時は…!
『…』
お わ っ た 。
もう何も手段が思い浮かばない。
『(お腹減ったな…)』
財布も持たずに出て来たから飲み物も何も買えないし。
ぼーっとブランコに座りながら空を眺めていると、流れ星が流れた。
『(切島くんと仲直り、切島くんと仲直り、切島くんと仲直り…!)』
慌てて三回唱えるも、流れ星はとっくに見えなくなっていた。
あ、どうせなら"帰りたい"にすれば良かったな。