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梅雨ちゃんにアドバイスをもらったその日の夜。
『(結局話せなかった…!)』
スマホを手にして、切島くんの電話番号を表示し、タップしようとするも指を引っ込めてしまう…
というのを繰り返していただけで、気付いたら寝てしまっていた。
そして…問題は何も解決せず、今日は職場体験当日。
みんなで学校に集合した際に切島くんにはもちろん会った。
が、朝からこんな話をするのも気が引けると思い、私は結局何も出来なかったのだ。
「戦闘服(コスチューム)持ったな?本来なら公共の場じゃ着用禁止の身だ、落としたりするなよ」
「はーい!」
相澤先生の言葉に、三奈ちゃんが元気良く返事をする。
「伸ばすな!"はい"だ、芦戸」
「はい…」
落ち込んだ様子の三奈ちゃんに、私達は苦笑した。
「くれぐれも失礼のないように!じゃあ行け」
「「『はい!』」」
返事をした私達はそれぞれのヒーロー事務所へ向かうために別れ始める。
「楽しみだなあ!」
「お前九州か、逆だぁ」
私も乗車券を持ち、その場を離れようとした時。
パシッと後ろから腕を掴まれた。
『ひゃっ…き、りしま、くん』
途切れ途切れに言葉を発する私。
「…」
切島くんは私と目が合うとパッと手を離した。
『えっと…?』
触れられた箇所が熱を持っている気がする。
彼に触れられるのが酷く懐かしく感じて、私は腕に視線を落とした。
「お前が何考えてんのか知らねーけどよ…これから一週間会わなくなる訳だが」
『!』
私が切島くんを避けてたことを言っているんだろう。
避け始めてから彼は今まで何も言ってこなかったから気付いてないのかなとも考えたけど、流石に気付いていたようだ。
「辛くなったり寂しくなったらさ…電話して来いよ。俺達、"相棒"だろ」
ガシガシと頭を撫でられ、私は目を瞑る。
そして手を離された感覚にゆっくり目を開けると、彼はそのまま私の顔も見ずに先の方へと歩いて行った。
私はそんな切島くんの背中を見つめる。
『(一週間も切島くんに会えないなんて、出会ってから今まで一度も無かった…)』
改めてそう考えると、私の胸の中は寂しさでいっぱいになる。
『切島くん…』
話をしたい、謝りたい。
でもこんな出発間際に話すことじゃない…
タイミングを見るべきだと梅雨ちゃんにも言われた。
『(今は考えないでおこう…職場体験に集中しよう、切り替えが大事っ…!)』
爆豪くんと話をしている切島くんを見たのを最後に、私は自分の体験先へと向かう電車のあるホームへと向かった。
(職場体験!頑張るぞ…!)