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切島くんを少しずつ避け始めた私と彼の間には、やはり距離ができたように思う。
必ず一緒に居るのはお昼ご飯の時…
爆豪くんも交えて三人で居る時くらいじゃないかな。
クラスメイトのみんなは私達の間に距離ができたことに気付いているようだったけれど。
気を遣ってくれているのか何も言ってこなかった。
毎日の特訓も"同じ相手とばかり戦うと変に癖がつくから"と、今更過ぎる言い訳をして断っているため切島くんとは帰りが別々だ。
寂しいけれど、これも切島くんのためだ。
『(これで良いんだ…あんまり考えるな、私!)』
「カフェさん!」
『わっ!?』
突然尾白くんの声が聞こえてきて、顔を上げると同時に私は尻もちをついた。
そう、切島くんと特訓をしない代わりに、私は尾白くんと居残り練習をしていたのだ。
「ごめん、大丈夫?」
『大丈夫!私こそ、ぼけっとしちゃってごめんね』
手を引いて立ち上がらせてくれる尾白くんに謝罪の言葉を口にする。
以前たまたま、尾白くんも帰ってから自主トレをしているということを知り、こうして放課後特訓に付き合ってもらっているのだ。
『尾白くん、今のどうやったの?こう?』
見たことのない動きだったため、興味が湧いて適当に真似てみる。
「今のは柔道の動きだよ。ここをこうして…こう!」
『えっと…こう、して…』
一つ一つ丁寧に教えてくれる尾白くんだが、私にとっては柔道の動きが難しく、上手く真似できずにいた。
「ちょっと触るね。ここ、もっと右足を前に出して、左腕は引くんだ」
『こうして…こう、か!…あ!出来た!』
私の隣に立って腕や足を誘導してくれる尾白くん。
彼の教え方は天才的に上手くて、とても助かる。
私は触れられている箇所を眺めた。
『(………なんか、違う…)』
尾白くんの手は大きい。
『(でも…切島くんの手は…もっとゴツくて、あったかくて…)』
また無意識に切島くんのことを考えてしまっている私が居て内心呆れる。
尾白くんがせっかく練習に付き合ってくれているのに、なに余計なこと考えてるんだ私は。
こんなの尾白くんに失礼だ。
『…おっし!尾白くん、もっかい手合わせお願い!』
「よし!とことん付き合うよ!」
私達はその日、学校が閉まるギリギリの時間まで特訓に没頭したのだった。