10
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「さて、全員のヒーロー名が決まった所で話を職場体験に戻す」
いつの間にか起きた相澤先生が今度は話を進めていく。
「期間は一週間。肝心の職場だが…指名のあった者は個別にリストを渡すから、その中から自分で選択しろ。指名の無かった者は予めこちらからオファーした、全国の受け入れ可の事務所40件…この中から選んでもらう。それぞれ活動地域や得意なジャンルが異なる」
「例えば13号なら、対敵より事故災害等の人命救助中心、とかね!」
13号先生の元で職業体験ができるなら非常に興味がある。
「よく考えて選べよ」
「「『はい!』」」
回されてきたプリントに早速目を通す。
「俺ァ都市部での対・凶悪犯罪!」
「私は水難に関わる所が良いわ!あるかしら?」
みんな自分の希望があるようだ…
ふむふむ、いっぱいあるんだなぁ、ヒーロー事務所って。
「今週末までに提出しろよ」
「あと二日しかねぇの!?」
「効率的に判断しろ、以上だ」
ミッドナイトが手を振って教室を出る。
それに続いて相澤先生も出て行った。
『(後二日目で決めなくちゃいけないのか…)』
私は再度プリントに目を通した。
***
お昼休み、切島くんと爆豪くんと私はいつものように三人でご飯を食べていた。
「職場体験楽しみだなー!もう行くとこ決めたのか?爆豪!」
「まだリスト見てねェ」
『爆豪くんめっちゃ指名来てたもんねぇ』
赤黒い物体を口に運ぶ爆豪くん…もう見慣れたので一々ツッコまないでおこう。
爆豪くんへの指名は確か3500件超えてたような…流石だ。
そう言えば最近気付いたことがある。
爆豪くんは最初の頃に比べて、私達に対して"死ね"やら"殺す"やらの暴言を吐くことが少なくなってきたのだ。
いや、暴言を吐くことは吐くのだけれども…だいぶ落ち着いてきたんじゃないかなと思う。
爆豪くんとの距離が少しだけ縮まった気がして嬉しかった。
たぶん切島くんも同じように思っているだろう。
『切島くんはもう決めたの?』
「あぁ!都心のフォースカインド事務所にする!」
拳を揮って気合いを入れる切島くんに、そっかぁと相槌を打つ。
フォースカインドって凄いゴリゴリなイメージあるけど、なんか切島くんっぽいな。
「モカは決めたのか?」
『んーん、まだ決めてないんだよねぇ』
「ふーん!」
私はいそいそと食事を口へ運ぶ。
切島くんとは、こうして昼食こそ一緒に取っているが、体育祭後の話をしたあの日から二人で話す機会はだいぶ減った。
と言うか、私が切島くんを少しだけ避けていたのだ。
切島くんと私の距離が今まで通り近過ぎると彼の恋の妨げになるし、私自身の精神が保たない。
かと言って、あからさまに避けるのは嫌な感じだし。
…少しずつ少しずつ、距離を置いていくことにしたのだ。
今までなら体育祭の振り替え休日も一緒に過ごして、休憩時間もたくさん話をしていただろう。
ずっと一緒に居たんだから、今すぐに彼から離れることは出来ない。
だからこうして自然に、少しずつ。
「ま、二人とも良いとこ見つかるといーな!」
ニッと笑顔を浮かべる切島くんから私は目を逸らした。
勝手に自惚れて勝手に傷付いて。
そんな今の私には、真っ直ぐな切島くんが眩し過ぎる。