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name change
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みんなの発表を聞いていると、気付いた点がある。
"○○ヒーロー △△△△"
と言うのが多いようだ…
語呂良いし分かりやすいもんね。
そこに自分の"個性"やイメージを上手に当て嵌めている。
『うーん…』
先生方の前でスマホを触るのはあまりよろしくないと思い、私は電子辞書を取り出した。
私の"個性"は回復だけど…
戦闘においては、どちらかというと体術の方が使ってるような。
それなら体術系の名前にした方が良いのかな…?
それにリカバリーガールに言われた通り…
私が回復の"個性"持ちだと知られた瞬間、狙われたり危険に遭う可能性は高くなる。
USJの時みたいに。
あれはトラウマになりそうな程怖かった。
もうあんな思いはしたくない、二度と御免だ。
『…』
でもやっぱり、それ以上に私は…
人を"救ける"のをメインとして、ヒーロー活動をしていきたい。
改めてそう思い直した私は、回復系の名前でいこうと決めて思案する。
実名でも良いんだけれど、私の知るプロヒーローはみんな実名は付けていないので、それに沿って私もヒーロー名を考えることにした。
うーんと…"回復"、"治癒"…っと…
cure、recover、recovery、heal、healing…
この辺りが妥当か。
recoverとかrecoveryはリカバリーガールと被ってしまうから辞めておこう。
なら、cure、heal、healing、このへんか…
キュアとヒーリングで"キュアヒーリング"とか…
…プリップリの少女戦士を連想してしまった。
日曜朝8時30分からテレビで放送されてる少女戦士。
…いや、私はあんなキャラじゃないからパスだな、うん。
「思ったよりずっとスムーズ!残ってるのは再考の爆豪くんと…飯田くん、カフェさん、そして緑谷くんね?」
ミッドナイトの声に焦ってしまう。
あぁぁ…早く決めないと。
cure…heal…
キュアヒールとかで良いんじゃないかな、もう。
『…』
うーん、語呂が良いからかな?
思ったよりしっくりきてしまった…!
他に何か考えようとしても"キュアヒール"が頭から離れない…。
また改名するタイミングもあるだろうし、とりあえずこれで良いか。
うん、大丈夫、イタくなんかないぞ。
少女戦士の"キュア"じゃないし、回復の"キュア"だし、うん。
自分を納得させているその間に飯田くんが教壇に立ち、自身の名前の書かれたボードを掲げている。
「…」
「貴方も名前ね?」
…あれ、いつもの飯田くんならカクカクと手を振りながら名前の由来まで説明してきそうなのに。
なんだか大人しいな。
「カフェさんは考え中?」
『え?あ、発表出来ます…!』
私は慌ててボードにペンを走らせて教壇に立った。
みんなの視線が私の手元に集まり、なんだか恥ずかしくなって来た。
『キュアヒール…』
「可愛い!cureとhealで回復系個性の名前なのね!初代プ○キュアは貴女のように体術がメインだし…良いわね~!」
『いやそっちのキュアじゃなっ…』
「恥ずかしがることはないわ!堂々としてなさいッ!」
『は…はい』
ミッドナイトが手を叩いたことによりみんなも拍手をくれる。
『(あぁ、勘違いされたままで話を進められてる…プリ○ュアになりたかった訳じゃないんだ、みんな信じてください…!)』
私はカァッと赤くなる頬を押さえる。
「カフェさぁ、この前から度々可愛くね?」
「上鳴、アンタ黙れ」
上鳴くんと響香ちゃんが小突き合いをしているのが目に入る。
その隣で、切島くんはニカニカと笑いながら拍手をしてくれていた。
ただそれだけのことで嬉しくなり、私はそのまま席へと戻る。
だめだなぁ私、重症だ。
「緑谷くーん、出来た?」
「あ…は、はい!」
ミッドナイトの声に緑谷くんが返事をして前に出て来る。
「えぇ、緑谷…良いのかそれ?」
「一生呼ばれ続けるかもしれねぇんだぜ?」
ボードの文字を見た私達は驚いた。
「うん。今まで好きじゃなかった。けど、ある人に"意味"を変えられて…僕には結構な衝撃で。嬉しかったんだ!これが、僕のヒーロー名です!」
ボードには"デク"と書かれていた。
それを見た爆豪くんは苦い顔をする。
そしてその後、半分ヤケになりながら爆豪くんは新たなヒーロー名を発表しに教壇に立った。
「爆殺卿ー!!」
「違う、そうじゃない」
全員のヒーロー名が決まるまで、もう少し時間が掛かりそうだ。