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第八試合が終了してしばらくすると爆豪くんが観客席へと戻って来た。
「おーう、なんか大変だったな悪人面!」
「組み合わせの妙とは言え、とんでもないヒールっぷりだったわ爆豪ちゃん」
「うぅるっせぇんだよ黙れ!!」
瀬呂くんや梅雨ちゃんが爆豪くんに声を掛けており、その爆豪くんはズカズカとこちらへとやって来る。
そして、爆豪くんは私の隣にドカッと腰を下ろした。
『!』
たまたま入り口から近い席だったからだろうけれど、これには少し驚いた。
「まぁしかし、か弱い女の子によくあんな思い切りの良い爆破できるな!俺はもうつい遠慮しちゃって…」
「完封されてたわ、上鳴ちゃん」
「…あのな梅雨ちゃん…」
上鳴くんと梅雨ちゃんのやり取りを聞いているのか聞いていないのか…爆豪くんは二人に対して特に返事は返さなかった。
「…フン!どこがか弱ェんだよ」
独り言のように小さく呟いた爆豪くん。
そんな彼の手は傷だらけで小さく痙攣していた。
爆豪くんがこんな風に傷を負うなんて珍しい。
それだけお茶子ちゃんが強かったんだ。
『…ねぇ、爆豪くん』
「無理だわボケ死ね」
『まだ何も言ってないんだけど』
まさか本題を言う前に断られるとは思っていなかった。
『…あのね、さっきはありがとう…爆豪くんのおかげで私、後悔しなくて済んだよ』
切島くんの所へ向かおうとする私の背中を、爆豪くんなりに押してくれたことを思い返す。
「…」
爆豪くんは何も言わない。
『それより、爆豪くんの手…痙攣してる』
私が控え目な声で痙攣を指摘すると、明らかに面倒臭そうな顔をされた。
「だから何だ、お前には関係ねぇだろうが」
『リカバリーガールに治してもらった方が良いと思うよ?』
「うるせェ。俺に命令すんな、黙れクソ髪の女」
『カフェね!』
口調こそいつもの調子だが、このままでは後々の試合に響くことは確実だ。
どうにかして回復させてあげたい。
お節介なのは分かっているけれど。
『…』
私は静かに"個性"を発動して指先に"気"を集める。
これで爆豪くんの手にさえ触れれば…回復させられる…。
『ねぇ爆豪く…』
「おいテメェ、余計なことしやがったらぶっ殺すぞ」
『…流石だねぇ~』
私の考えは呆気無く見抜かれていたようだ。
バレてしまったものは仕方が無い。
私は大人しく"個性"を解除する。
『んー。でもさ、せめて"お疲れ様"くらい言わせてよ?』
「ハッ、勝手にしやがれ」
『ん、じゃあ勝手にするね。…爆豪くん、お疲れ様』
私は爆豪くんの両手を取って、"個性"を発動した。
「っ!」
BOOM!!
反射的に爆破されたけれど。
そんな私は一身にその爆撃を受けるが、手加減してくれたのだろうか…
然程痛みは感じない。
それに爆豪くんを回復させることもできたし、上出来だ私。
「テメェ!余計なことしたら殺すっつっただろうがァ!!死ね!!」
『え、だって爆豪くんが勝手にしろって言ったんじゃん!?』
ブンッと腕を振り翳してくる爆豪くんの攻撃を寸前で躱して、必死に言い訳する私。
「うるせェエエ!!黙れ死ね死なないなら殺す殺されないたくないなら今すぐ死ねェ!!」
『それは殺し過ぎ!』
身の危険を感じた私は爆豪くんから少し距離を取った。