高校生
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帰る場所
―――――― 12月某日。
予定を確認していた怜は、ふと手を止めた。
(リョーガの誕生日、もう直ぐだ)
いつもあちこちを飛び回っている自由な恋人---リョーガ。
最後に会ったのは、いつだったか。
そんなことを考えながら、怜は自身の手首に触れる。
ーーー 小さな石の付いた、シンプルなブレスレット
怜の誕生日に、リョーガから送られたものだ。
以来、彼女の手首にはいつもこのブレスレットがはめられている。
(プレゼント、どうしよう…)
そもそも、当日はこちらに居るのか。
行動の読めない--今は国外に居るだろうリョーガに、怜は小さく溜め息をこぼした。
―――――― 12月23日
「よっ!」
いつも通りに仕事を終え、自宅の最寄り駅を出ようとした怜は、突如聞こえた声に足を止めた。
「・・・・・・リョーガ?」
「何だよ、彼氏さまの顔も忘れちまったのか?」
ガードレールに腰掛け、カッカッカッといつもながら快活に笑うリョーガ。
傍らには、馴染みのテニスバッグが立て掛けられている。
そんな彼の登場に目を瞬いていた怜は、小さく息を吐く。
「元気そうで、何より」
「おかげさんでな。それより、早く行こうぜ」
腹減った~と続けながらリョーガは、自身のバッグを背負うと彼女の手を取って歩き出す。
当然のように繋がれたリョーガの手。
久し振りの温もりに心地好さを覚えながら、怜はリョーガとともに家路へついた。
――――――
「リョーガ?」
食後の片付けをしていた怜は、ソファーで休んでいるリョーガへ声をかける。
しかし、反応がない。
不思議に思いながら覗き込むと、リョーガはソファーにごろりと寝転び、穏やかな寝息を立てている。
(さすがに、お疲れかな)
帰国して直ぐ、彼女の自宅がある駅まで来たと話していたリョーガ。
時差もあるのだ。彼と言えど、疲れが出るのは当然だろう。
普段と違い、あどけなさの残る寝顔。
傍らに座り静かに眺めていた怜は、彼の頭に手を伸ばすと、見かけよりも柔らかい髪を優しく撫でた。
そうしていると、リョーガの目がゆっくり開き、傍らの彼女に視線を移す。
「…ごめん、起こした」
「いや?ちょうど目が覚めた」
言いながら体を起こしたリョーガは、おもむろに彼女の手を掴むと…
--- ぐいっ
「っ!?」
驚く怜を自身の胸に引き寄せると、リョーガはその背に腕を回し、肩に顔を埋めた。
リョーガの突然の行動に、されるがままな怜は戸惑いを隠せない。
「……リョーガ?」
「…………」
呼びかけには答えず、リョーガは彼女へ回した腕に力を込める。
どれほど、そうしていただろうか。
されるがままに抱きしめられていた怜は、自身の頬に触れている柔らかな髪に再び手を伸ばす。
先ほどのように優しく髪を撫でると、リョーガは頭をすり寄せてくる。
もっと撫でろ、とでも言うように。
そんな彼に小さく笑みをこぼし、怜は静かに口を開く。
「・・・・・・おかえり、リョーガ」
「・・・!」
「帰ってきてくれて・・・ ありがとう」
「・・・・・・それは、こっちのセリフだろ」
ぽつりとそうこぼすと、リョーガはゆっくり顔を上げた。
そんな彼の頬に手を添えて、怜は静かに続ける。
「誕生日おめでとう、リョーガ
生まれてきてくれて、ありがとう」
その言葉に目を見開いたリョーガだが、自身に添えられた彼女の手を握ると、笑みをこぼす。
「ありがとな・・・ いつも、待っててくれて」
---- お前がいてくれて、よかった
そんな想いを込めて、再び彼女を引き寄せるとリョーガは優しく唇を重ねた。
街の光の向こう、濃紺の空からは白い花が静かに舞い降り始めていた。
End.