恋人の胸に
貴女のお名前
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名無しさんは目の前に突き出された呂蒙の掌の、その指先に指先で触れた。
ちょんと軽く触れただけの筈の感触に、呂蒙の肩が大きく跳ねる。
「・・・っ!」
息を飲み、顔を強張らせる呂蒙の様子に名無しさんは慌てて手を引っ込めた。
「嫌・・・でしたか?」
問い掛けて来る声は小さく、呂蒙は追い掛けるように言う。
「嫌ではない!」
と、大声を出してから、しまったと言うような顔をした。
名無しさんがどうしたら良いのか分からない様子で、胸の前で手を重ねている。
その指先に名残惜しさを覚え、触れたいと思うよりも先に手が動かした呂蒙の指先が名無しさんの指先に触れた。
「あ・・・」
今度は名無しさんが体を強張らせる。
しかし、彼女がそうしたように手を引っ込める事はなかった。
そろりと動かして指先をなぞる。
少しでも加減を間違えてしまったら壊してしまいそうに細く、頼りない。
「・・・怖くはないか?」
名無しさんは頷いて、少しだけ指先を動かし、彼の指先に応えた。
その仕草に、呂蒙の頬が緩む。
「甘寧にはおっさんと呼ばれるがな」
と、息を吐くように言った。
「自分では未だ若いつもりだ」
それでも名無しさんとは一回り程、離れている。
少女の域を僅かに出たばかりの、初恋を実らせたばかりの彼女に迫るのは気が引けたが、
「余り、俺を煽るな。・・・抑えられん」
こんな風に触れ合ってしまっては、我慢が利かなくなる。
そう言ったかと思えば、名無しさんは呂蒙に腕を引かれ、彼の胸元へと寄せられていた。
強くはない、振り払おうとすればできた筈だが、名無しさんにはできなかった。
「・・・済まん」
呂蒙は謝りながら彼女の背中に腕を回す。
「嫌でないなら、怖くないのなら・・・暫くこのままで居させてくれ」
いつもよりずっと近くで聞こえた呂蒙の低い声。
何だか、胸が苦しいわ。
でも・・・嫌じゃない。
名無しさんはそっと「恋人の胸に」頬を寄せた。
呂蒙の腕に僅かに力が籠る。
「名無しさん」
呼ばれた名前は、いつもよりずっと近くで、いつもよりずっと甘く名無しさんの耳に届いた。
→あとがき
ちょんと軽く触れただけの筈の感触に、呂蒙の肩が大きく跳ねる。
「・・・っ!」
息を飲み、顔を強張らせる呂蒙の様子に名無しさんは慌てて手を引っ込めた。
「嫌・・・でしたか?」
問い掛けて来る声は小さく、呂蒙は追い掛けるように言う。
「嫌ではない!」
と、大声を出してから、しまったと言うような顔をした。
名無しさんがどうしたら良いのか分からない様子で、胸の前で手を重ねている。
その指先に名残惜しさを覚え、触れたいと思うよりも先に手が動かした呂蒙の指先が名無しさんの指先に触れた。
「あ・・・」
今度は名無しさんが体を強張らせる。
しかし、彼女がそうしたように手を引っ込める事はなかった。
そろりと動かして指先をなぞる。
少しでも加減を間違えてしまったら壊してしまいそうに細く、頼りない。
「・・・怖くはないか?」
名無しさんは頷いて、少しだけ指先を動かし、彼の指先に応えた。
その仕草に、呂蒙の頬が緩む。
「甘寧にはおっさんと呼ばれるがな」
と、息を吐くように言った。
「自分では未だ若いつもりだ」
それでも名無しさんとは一回り程、離れている。
少女の域を僅かに出たばかりの、初恋を実らせたばかりの彼女に迫るのは気が引けたが、
「余り、俺を煽るな。・・・抑えられん」
こんな風に触れ合ってしまっては、我慢が利かなくなる。
そう言ったかと思えば、名無しさんは呂蒙に腕を引かれ、彼の胸元へと寄せられていた。
強くはない、振り払おうとすればできた筈だが、名無しさんにはできなかった。
「・・・済まん」
呂蒙は謝りながら彼女の背中に腕を回す。
「嫌でないなら、怖くないのなら・・・暫くこのままで居させてくれ」
いつもよりずっと近くで聞こえた呂蒙の低い声。
何だか、胸が苦しいわ。
でも・・・嫌じゃない。
名無しさんはそっと「恋人の胸に」頬を寄せた。
呂蒙の腕に僅かに力が籠る。
「名無しさん」
呼ばれた名前は、いつもよりずっと近くで、いつもよりずっと甘く名無しさんの耳に届いた。
→あとがき