情熱的に
貴女のお名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
俺の所に来て下さいとは、彼の腕の中に収まると言う事だろうか。
まさか、人前でと思いながら、傍に寄った名無しさんは矢張と言うべきか、荀攸に強引に手を引かれ、体を支えられ、彼の膝の間に座らされる。
「もう、荀攸様・・・!」
窘める言葉の一つでも言って遣ろうと首を捻って見上げる彼は、嬉しそうに口元を緩めていた。
「やっと俺の所に来てくれましたね」
と、言う声にも甘さが滲んでいて、名無しさんは出そうとしていた言葉を引っ込める。
そんな顔で言うなんて、狡い。
「・・・少しだけですからね」
何とか、そう言って顔を元の位置に戻す名無しさんの頬はほんのりと赤く染まっていた。
そうなれば、待っているのは周囲の好奇に満ちた視線だ。
「ははっ、荀攸殿は名無しさんの事が好きで好きで堪らないようだね」
「はい、大好きです」
満寵の言葉に、荀攸は彼女の細い腰を抱き締めて言う。
「名無しさんは、俺の全てです。名無しさんの居ない人生は、投獄されるより辛いです」
耳元で聞こえる荀攸の声が、名無しさんの頬を更に染めた。
「もう・・・荀攸様ったら。皆さんの前で・・・」
「本当の事です」
荀攸は抱き締める手に力を込めると、彼女の首元に甘えるように顔を埋め、頬を擦り寄せる。
「んー、目の遣り場に困るね、これは」
「ふふ・・・仲が良いのは何よりじゃないか。ねえ、荀彧殿?」
「公達殿ぉ、末永くお幸せにぃぃ・・・」
「おっと、荀彧殿は泣き上戸だったか」
笑い声が上がり、名無しさんも彼らに釣られて微笑んだ。
どうせ酔っ払いの集まりだ、明日になったら今夜の事などすっかり忘れているだろうと、軽い気持ちで口を開く。
「荀攸様。私も荀攸様の事、大好きです」
それを聞いて、荀攸は心底、満面に笑顔を浮かべた。
その瞬間、周囲は勿論、名無しさんも驚いて目を丸くする。
泰然自若とした彼が、こんなに緩んだ表情を見せるとは思ってもみなかった。
それだけではない、荀攸はその笑顔のまま、首を伸ばすと、名無しさんの頬に自分の唇を触れさせた。
流石に、名無しさんは激しく狼狽え、身を捩る。
「じゅ、荀攸様!困ります!」
「どうしてですか?名無しさんも俺の事が大好きだと言ったでしょう?」
「でも、皆さんの前でなんて・・・恥ずかしいです!」
荀攸は不意に真顔になると、
「皆の前でなければ、良いんですね」
と、低い声で言った。
名無しさんを一度、退かせ、勢い良く椅子から立ち上がる。
「申し訳ありませんが、俺と名無しさんはこれで失礼します。後は皆で楽しんで下さい」
荀攸はぐるりと見回し、そう言って頭を下げ、彼女の手を引いた。
「え?え?荀攸様?」
訳が分からず、声を上げる名無しさんを半ば強引に連れ、部屋から出て行ってしまう。
その場に残された一同は、暫く、呆気に取られた後で、揃って大きな笑い声を上げた。
「あははあ!荀攸殿もああ見えて中々やるもんだ!」
「酔うと饒舌になるだけでなく、熱くなる性分でもあるようだね」
「あのような公達殿は初めて見ました・・・」
「それじゃあ、残りの酒は我々で楽しむとしようか」
四人は、再び杯に酒を満たしては、肴に箸を伸ばす。
さて、荀攸と名無しさんはどんな風に夜を過ごしているのか。
翌日、辛そうに腰を擦りながら、名無しさんは荀攸に反省を促して言った。
「当分の間、お酒は控えて下さい」
同時に、昨夜のように、「情熱的に」求めて来る荀攸も悪くないと思っていた事は、誰にも秘密だ。
→あとがき
まさか、人前でと思いながら、傍に寄った名無しさんは矢張と言うべきか、荀攸に強引に手を引かれ、体を支えられ、彼の膝の間に座らされる。
「もう、荀攸様・・・!」
窘める言葉の一つでも言って遣ろうと首を捻って見上げる彼は、嬉しそうに口元を緩めていた。
「やっと俺の所に来てくれましたね」
と、言う声にも甘さが滲んでいて、名無しさんは出そうとしていた言葉を引っ込める。
そんな顔で言うなんて、狡い。
「・・・少しだけですからね」
何とか、そう言って顔を元の位置に戻す名無しさんの頬はほんのりと赤く染まっていた。
そうなれば、待っているのは周囲の好奇に満ちた視線だ。
「ははっ、荀攸殿は名無しさんの事が好きで好きで堪らないようだね」
「はい、大好きです」
満寵の言葉に、荀攸は彼女の細い腰を抱き締めて言う。
「名無しさんは、俺の全てです。名無しさんの居ない人生は、投獄されるより辛いです」
耳元で聞こえる荀攸の声が、名無しさんの頬を更に染めた。
「もう・・・荀攸様ったら。皆さんの前で・・・」
「本当の事です」
荀攸は抱き締める手に力を込めると、彼女の首元に甘えるように顔を埋め、頬を擦り寄せる。
「んー、目の遣り場に困るね、これは」
「ふふ・・・仲が良いのは何よりじゃないか。ねえ、荀彧殿?」
「公達殿ぉ、末永くお幸せにぃぃ・・・」
「おっと、荀彧殿は泣き上戸だったか」
笑い声が上がり、名無しさんも彼らに釣られて微笑んだ。
どうせ酔っ払いの集まりだ、明日になったら今夜の事などすっかり忘れているだろうと、軽い気持ちで口を開く。
「荀攸様。私も荀攸様の事、大好きです」
それを聞いて、荀攸は心底、満面に笑顔を浮かべた。
その瞬間、周囲は勿論、名無しさんも驚いて目を丸くする。
泰然自若とした彼が、こんなに緩んだ表情を見せるとは思ってもみなかった。
それだけではない、荀攸はその笑顔のまま、首を伸ばすと、名無しさんの頬に自分の唇を触れさせた。
流石に、名無しさんは激しく狼狽え、身を捩る。
「じゅ、荀攸様!困ります!」
「どうしてですか?名無しさんも俺の事が大好きだと言ったでしょう?」
「でも、皆さんの前でなんて・・・恥ずかしいです!」
荀攸は不意に真顔になると、
「皆の前でなければ、良いんですね」
と、低い声で言った。
名無しさんを一度、退かせ、勢い良く椅子から立ち上がる。
「申し訳ありませんが、俺と名無しさんはこれで失礼します。後は皆で楽しんで下さい」
荀攸はぐるりと見回し、そう言って頭を下げ、彼女の手を引いた。
「え?え?荀攸様?」
訳が分からず、声を上げる名無しさんを半ば強引に連れ、部屋から出て行ってしまう。
その場に残された一同は、暫く、呆気に取られた後で、揃って大きな笑い声を上げた。
「あははあ!荀攸殿もああ見えて中々やるもんだ!」
「酔うと饒舌になるだけでなく、熱くなる性分でもあるようだね」
「あのような公達殿は初めて見ました・・・」
「それじゃあ、残りの酒は我々で楽しむとしようか」
四人は、再び杯に酒を満たしては、肴に箸を伸ばす。
さて、荀攸と名無しさんはどんな風に夜を過ごしているのか。
翌日、辛そうに腰を擦りながら、名無しさんは荀攸に反省を促して言った。
「当分の間、お酒は控えて下さい」
同時に、昨夜のように、「情熱的に」求めて来る荀攸も悪くないと思っていた事は、誰にも秘密だ。
→あとがき