私を喜ばせたいとお望みなら
貴女のお名前
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徐晃が取っていたと云う席は、確かに端の方だったが、名無しさんは十分に出し物を楽しんだ様子だった。
「あのお皿を回すの、凄かったですね!あんなに細い棒で、それも同時に沢山回すんだもの、凄いわ」
催しが終わった後も、凄い凄いと感想を語る名無しさんを、徐晃は微笑ましい思いで耳を傾ける。
興奮気味に頬を上気させた名無しさんが可愛らしい。
「徐晃様、私、凄く楽しかったです」
こんなに喜んでもらえたなら、端の方とは云え、席を用意した甲斐があったと云うものだ。
「それは何よりでござる」
徐晃は笑顔で応え、真上に近い場所にある太陽に、間もなく昼時と知る。
「名無しさん、そろそろ・・・」
食事に行こうと声を掛ける途中で、名無しさんのお腹がぐぅぅと小さな悲鳴を上げた。
名無しさんは恥ずかしそうに頬を染めたが、それも一瞬の事で、直ぐにぺろりと舌を出して云う。
「嫌だ、私ったら・・・はしゃぎ過ぎちゃったのかしら」
その仕草は大変愛らしいが、それよりも彼女の正直な腹の音が痛快で、徐晃は声を上げて笑った。
「いや、実に良い音でござった。これは急ぎ、宥めてやらねばならぬな」
と、食事処が並ぶ通りへと二人で足を運ぶ。
時刻は昼食時、どの店も混んでいる事だろう。
しかし、名無しさんはそれを気にするでもなく、
「今日はどのお店にします?」
あのお店は点心が美味しい、あっちは麺類が美味しい、こっちは揚物が美味しい、と店選びに余念がない。
「徐晃様は何が食べたいですか?」
「うむ、実は店も既に予約してあるのだ」
徐晃のその言葉に、名無しさんは再び、珍しいと目を丸くした。
いつもなら、混んでいるこの時間帯、店先に並んであれを食べよう、これを食べようと話しながら順番を待っている。
それを、今日は待たずに入れるのだから、ありがたい話だ。
しかし、そう思いつつも、名無しさんは少しだけ表情を曇らせた。
徐晃はその様子に気付かず、彼女を予約した店へと連れて行く。
店では待つと云う程もなく席に通され、その上、料理までもが手配されていた。
徐晃様ったら、本当にどうしちゃったのかしらと、名無しさんは心底、不思議に思う。
流行りの服を来たり、催しの席を取っていたり、食事の店を予約していたり、大体、この店も女性に人気と噂の店で、どうしてそんな事を知っているのかしら。
嬉しく思う気持ちはあったが、そればかりが気になって、正直、料理の味は殆ど分かっていなかった。
会計も知らぬ内に済まされ、いつも折半してるのだからと云っても徐晃は頑として譲らず、
「拙者が名無しさんをここに連れて来たかったのだから」
と、受け取ろうとしない。
更に、名無しさんが、と云うより、女性が喜びそうな所に誘っては、徐晃は彼女をそこへと連れて行った。
そんな一日の、終わりが近付く頃にもなると、名無しさんは流石に、今日の彼は何かおかしいと気付く。
こんなに至れり尽くせり、それなりに楽しませて貰っておいて失礼だが、徐晃はそれができる男ではないと名無しさんは思っていたし、期待もしていない。
けれど、そんな徐晃が大好きなのだ。
だからこそ、却って不安になり、何か、隠し事や後ろめたい事があるのではないかと、良からぬ想像をしてしまう。
「名無しさん、今日は楽しかっただろうか?」
別れ際、部屋まで送ってくれた徐晃に、そう尋ねられた時、名無しさんは上手く答える事ができなかった。
「あのお皿を回すの、凄かったですね!あんなに細い棒で、それも同時に沢山回すんだもの、凄いわ」
催しが終わった後も、凄い凄いと感想を語る名無しさんを、徐晃は微笑ましい思いで耳を傾ける。
興奮気味に頬を上気させた名無しさんが可愛らしい。
「徐晃様、私、凄く楽しかったです」
こんなに喜んでもらえたなら、端の方とは云え、席を用意した甲斐があったと云うものだ。
「それは何よりでござる」
徐晃は笑顔で応え、真上に近い場所にある太陽に、間もなく昼時と知る。
「名無しさん、そろそろ・・・」
食事に行こうと声を掛ける途中で、名無しさんのお腹がぐぅぅと小さな悲鳴を上げた。
名無しさんは恥ずかしそうに頬を染めたが、それも一瞬の事で、直ぐにぺろりと舌を出して云う。
「嫌だ、私ったら・・・はしゃぎ過ぎちゃったのかしら」
その仕草は大変愛らしいが、それよりも彼女の正直な腹の音が痛快で、徐晃は声を上げて笑った。
「いや、実に良い音でござった。これは急ぎ、宥めてやらねばならぬな」
と、食事処が並ぶ通りへと二人で足を運ぶ。
時刻は昼食時、どの店も混んでいる事だろう。
しかし、名無しさんはそれを気にするでもなく、
「今日はどのお店にします?」
あのお店は点心が美味しい、あっちは麺類が美味しい、こっちは揚物が美味しい、と店選びに余念がない。
「徐晃様は何が食べたいですか?」
「うむ、実は店も既に予約してあるのだ」
徐晃のその言葉に、名無しさんは再び、珍しいと目を丸くした。
いつもなら、混んでいるこの時間帯、店先に並んであれを食べよう、これを食べようと話しながら順番を待っている。
それを、今日は待たずに入れるのだから、ありがたい話だ。
しかし、そう思いつつも、名無しさんは少しだけ表情を曇らせた。
徐晃はその様子に気付かず、彼女を予約した店へと連れて行く。
店では待つと云う程もなく席に通され、その上、料理までもが手配されていた。
徐晃様ったら、本当にどうしちゃったのかしらと、名無しさんは心底、不思議に思う。
流行りの服を来たり、催しの席を取っていたり、食事の店を予約していたり、大体、この店も女性に人気と噂の店で、どうしてそんな事を知っているのかしら。
嬉しく思う気持ちはあったが、そればかりが気になって、正直、料理の味は殆ど分かっていなかった。
会計も知らぬ内に済まされ、いつも折半してるのだからと云っても徐晃は頑として譲らず、
「拙者が名無しさんをここに連れて来たかったのだから」
と、受け取ろうとしない。
更に、名無しさんが、と云うより、女性が喜びそうな所に誘っては、徐晃は彼女をそこへと連れて行った。
そんな一日の、終わりが近付く頃にもなると、名無しさんは流石に、今日の彼は何かおかしいと気付く。
こんなに至れり尽くせり、それなりに楽しませて貰っておいて失礼だが、徐晃はそれができる男ではないと名無しさんは思っていたし、期待もしていない。
けれど、そんな徐晃が大好きなのだ。
だからこそ、却って不安になり、何か、隠し事や後ろめたい事があるのではないかと、良からぬ想像をしてしまう。
「名無しさん、今日は楽しかっただろうか?」
別れ際、部屋まで送ってくれた徐晃に、そう尋ねられた時、名無しさんは上手く答える事ができなかった。