閑話・八

朝。
関平から。
姜維から。
馬超から。
恐らく、ホワイトデー。
そして。
想いを伝える言葉。
それを端から見ていた私は。
(やはり、諦めていないのか・・・)
貴女に何かを投げて、呟いた馬超。立ち去る所を捕まえた。
「・・・諦めたのではないのか?」
「何がだ?」
と、しれっと馬超は云う。
はぐらかされているようで。
私はつい、きつい口調になってしまう。
「彼女の事だ。何故、渡した?」
「・・・バレンタインに貰ったんだ。礼位、するだろう?」
「そうではない」
馬超の言葉に苛々とする私。
あまりに大きな声を上げてしまったからか、営業部に居る人の視線を集めてしまった。
私は慌てて声を潜めると、
「・・・そうではない」
馬超を睨んで云った。
「何故、あんな事を・・・?」
何故、云ったのか。
あの時。
バレンタインのあの夜。
馬超は諦めた筈だ。
・・・いや。
関平も、姜維も。
諦めた筈だ。
なのに・・・何故。
そう云った私に、馬超は溜息を吐いた。
「・・・諦めたさ」
チラ・・・と、貴女の背中を見る馬超。
諦め切れない、熱を帯びた視線で。
呟くように云う。
「だから・・・一度位、云っても良いだろう?」
ふっ、と貴女から視線を外し、私を見て。
「趙雲」
続けて云った。
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