拾七

待ちに待ったホワイトデー!
バレンタインのお返しを楽しみにしてる私は。
「曹丕!おっは~!!」
一人目のターゲットロック。
三倍返しを期待して、挨拶するなり手を出した。
「・・・何だ。朝っぱらから騒々しい」
何だ、じゃないよ。
お返しくれ。
なんて云うのはあまりに図々しいから。
私はずいずいと曹丕に迫る。
「今日はホワイトデーじゃん!曹丕から可愛い私に何か無いのかなぁ~?」
「・・・お前が可愛い?頭は確かか?」
曹丕はそう云って私を鼻で笑った。
ムカッ。
「それとも目が悪いのか・・・一度眼科に行って来い」
ムカムカッ。
高いチョコレートを貰っておいてこの仕打ち。
許せん。
「くすん・・・曹丕ってば、私に散々貢がせて・・・飽きたら捨てるのねっ!」
私は泣きまねをして、ちょっと大きな声。
因みにここは会社の玄関先。
勿論、出勤時間だから。
通る人が私たちをジロジロと見ていく。
曹丕に泣きまねって事はバレてるだろうけど。
「誤解を受けるような事をするな」
やっぱりバレてたか。
だって曹丕が悪いんじゃん。
チョコレートのお返しをくれないから。
私が勝手にあげただけ・・・って云われたらそれまでだけど。
でもバレンタインの時、ホワイトデーにくれるって云ってたもん。
「さっさと出しなよ」
「とうとう恐喝か・・・」
とか云いながら。
「ほれ」
可愛い包みを差し出した。
何だ。
ちゃんと用意してくれてんじゃん。
「やった!ありがと~」
私は直ぐに包みを開けた。
中にはマシュマロと・・・。
「Jeg elsker du」
と書かれたカード。
何これ。
何語?
曹丕に聞いても。
「・・・さぁな」
はぐらかされるだけ。
ま、いっか。
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