誰が何と言ったって
貴女のお名前
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名無しさんの太腿は俺のもんだ。
広大な城内には、大なり小なり、幾つかの庭園があり、またそれぞれに四阿が設えられている。
それらの内の一つ、人が滅多に来ない四阿を偶然にも発見した司馬昭は、良い場所を見付けたと昼寝の度に訪れていた。
今日も、執務を抜け出して、その場所へと足を運ぶ。
「何回来ても良い場所だよな」
見上げれば、天蓋のように広がった枝葉が、穏やかに吹く風に揺れてさわさわと心地良い音を立てていた。
小さく、幾つも落ちて来る木漏れ日は、閉じた瞼に眩し過ぎず、丁度良い。
四阿に設えられた長椅子にだらしなく背中を預け、襲って来た睡魔に身を委ねようとした、その時、押し殺したような声が聞こえ、司馬昭は閉じ掛けた瞼を開いた。
げっ・・・先客が居たのかよ。
余りにも静かなので失念していたが、ここは城内なのだ、人が滅多に来ないと云っても、全くではない。
司馬昭は、のそりと体を起こすと静かにその場を去ろうと動き出した。
先客が誰かは分からないが、誰であれ、自分がこんな時分にここに居る事を両親や兄に報告されては困る。
折角、見付けた安息の場所を取り上げられては堪らない。
そろりそろりと足を運んで立ち去る、つもりの司馬昭だったが、ふと、押し殺したように聞こえた声が、泣き声である事に気付いて歩みを止めた。
誰か泣いてるのか。
無意識に首を伸ばし、声の方向へ視線を巡らせると、一人の女性が木の根元で踞っているのが目に映る。
うわ、めんどくせ。
いつもの怠け心が顔を出し、一瞬、その言葉が頭を過ってしまったが、次には司馬昭は頭を掻き、どうしたものかと考え始めていた。
このまま、何も見なかった振りをして立ち去ろうか。
人気のない所で泣いている位だ、誰にも知られたくないのだろう。
いや、それこそ、泣いている女性を放っておくのも如何なものか。
話を聞いてやるだけでも、女性はすっきりすると耳に挟んだ事もある。
放っておいたが為に、思い詰めて何かを仕出かされても後味が悪い。
などと色々と考えた結果、司馬昭はよし、と腹を括ると見なかった事にして立ち去る事にした。
面倒事に関わるのはごめんだ。
しかし、踵を返した瞬間、ぱきりと足元で大きな音がして、
「誰っ!?」
背中に飛んで来た鋭く問い掛ける声に足を止めた。
こんな時に枝を踏んじまうとか、ついてない。
「あー、いや、別に怪しいもんじゃないんで・・・」
司馬昭は諦め、そう云いながら、女性の前に姿を見せた。
突然現れた司馬昭に、泣いていた筈の女性はすっかり泣き止み、立ち上がって訝しげな視線を向けて来る。
彼女は不躾な程、司馬昭を上から下まで何度も視線を走らせてから云った。
「・・・どなたですか?」
司馬昭の身形から判断したのだろう、やや丁寧な云い方だったが、探るような視線は変わらない。
司馬昭もまた、誰何にどう答えたものかと迷いながら、同時に女性に視線を走らせ、彼女が真新しい女官服に身を包んでいる事から新人だろうと推測する。
「俺は・・・子上ってんだ。まあ、一応、将の一人になるか」
と、司馬昭は答えて云った。
嘘は云ってない、本当の事を云ってないだけだ。
新人が子上と聞いて、司馬家の次男、司馬昭と結び付ける事は先ずないだろう。
実際、彼女は名前よりも肩書きに反応して、慌てて頭を下げ、礼を執った。
「し、失礼しました。私は女官の名無しさんと申します」
「そんなに畏まらないでくれ。将って云っても下っ端みたいなもんだし、むず痒い」
そう云ってやれば、彼女が、名無しさんがそろそろと顔を上げる。
改めて、名無しさんと名乗った女官と対峙した司馬昭は、泣いた跡が残る彼女の顔を見て、自分の鼓動が大きく跳ねるのを感じた。
結構、可愛いんじゃないか?
泣いてる女は割増で可愛く見えるって云うが、それを差し引いても可愛いと思う。
だからと云う訳ではないが、いや、多少の下心はあっただろう、
「その、何だ・・・大丈夫か?」
司馬昭は心配するように、彼女に尋ねて云った。
司馬昭の心の内など知らない名無しさんは自分が泣いていた事を思い出し、さっと頬に朱を走らせる。
「お恥ずかしい所を・・・」
加えて、消え入りそうな小さな声で答える様子が何とも可愛い。
普段、女性に限らず、気の強い連中に囲まれている司馬昭は、名無しさんの可愛らしい様子に、目眩を覚えた。
何だ、この可愛いのは、本当に同じ人間かよ。
司馬昭は、今度は確かな下心を持って云う。
「あーいや、あれだ。俺で良かったら、話してみないか?」
「いえ、そんな・・・」
「どうせ昼寝しかしてないんだ、話を聞く位、どうって事ないぜ」
名無しさんは司馬昭の云い方に、くすりと笑った。
司馬昭の、将らしからぬ雰囲気と、自ら下っ端と云った事が効いたのだろう、ぽつりぽつりと話し始める。
「私、最近女官になったばかりで・・・」
と、彼女が話し出した内容を要約すると、失敗を繰り返してばかりいる自分を情けなく思って泣いていたようで、新人にはよくある話だった。
「そんなに落ち込まなくても、その内慣れるだろ。あんまり気にすんな」
「それはそうですけど・・・」
「俺なんか、今でも失敗ばっかりで、毎日怒られてるぜ?」
司馬昭がそう云って自分の失敗談を話して聞かせると、名無しさんが口元を隠して、くすくすと声を上げて笑う。
「ふふっ・・・嫌だ、子上様って可笑しい」
自分で名乗っておきながら、そうと知らない名無しさんに、字で呼ばれて司馬昭は思わず、どきりとした。
字で呼ばれる事は初めてではないのに、彼女に呼ばれると、どうしてこうも嬉しいと云う感情が沸き上がるのか。
「子上様は楽しい方ですね。何だか、気持ちが楽になりました」
それに、そう云って浮かべた名無しさんの笑顔と云ったら、咲き始めた花のような可憐さがあって、否応なく自分の胸の鼓動が速まるのが分かる。
「そりゃあ良かった。・・・あー、所で、名無しさんって云ったよな・・・その、良かったらなんだが」
もっと彼女の笑顔が見たい、もっと彼女の事が知りたいと求めて、欲が顔を出し、司馬昭は提案して云った。
「毎日って訳じゃないけど、俺、ちょくちょくここで昼寝してたりするから、また話したい事があったらいつでも来いよ」
「はい、ありがとうございます」
笑顔のまま、ぺこりと頭を下げ、礼を云って立ち去る名無しさんを、司馬昭は見えなくなるまで見送ってから、ぽつりと呟く。
「名無しさん、か・・・」
明日も会えないかな、なんて。
その願いは、いとも簡単に叶い、後々、二人は恋人と云って差し支えない関係になるのだが、未だ知らない司馬昭は、今は胸の高鳴りに耳を傾けていた。
それから、毎日とまでは行かないものの、司馬昭と名無しさんは人気のない四阿で、二人で多くの時を過ごした。
その多くの時間の中で、司馬昭は名無しさんの様々な事を知る。
田舎の小さな村の出身である事、そこで暮らす家族の生活費の足しになればと思って女官になった事、それから、
「ちょっと泣き虫だよな」
「そっ、そんな事ありません!」
「この前、家に帰りたいって泣いてただろ」
時々、故郷を思い出して泣いてしまうような、少し幼い所がある事など、彼女を知れば知る程、司馬昭は名無しさんに惹かれて行った。
いつの間にか、名無しさんの膝枕がなければ昼寝をする気にもなれなくなっていて、今日も会うなり、彼女の太腿に頭を預けている。
柔らかくて、温かくて、良い匂いのする名無しさんに、優しく微笑まれ、髪を撫でられて昼寝するなんて最高だ。
これから先も、ずっと一緒に居られたらと、そう願うのが自分だけでなければ良いと思いながら、司馬昭は名無しさんを見上げて云った。
「・・・今も、家に帰りたいか?」
名無しさんは分からないと云って首を振る。
「家族には会いたいけど・・・でも、子上様と離ればなれになるのも嫌だもの」
頬を染めて、答えて云う彼女に、司馬昭は口元を緩めた。
俺と離ればなれになるのが嫌って、嬉しい事を云ってくれるぜ。
そろそろ、名無しさんに洗いざらい全部話して、それから、ちゃんと好きって云っても良いかもな。
快く膝枕をしてもらっているが、司馬昭が名無しさんに募る思いを告白した事はなく、況してや自分が司馬家の次男である事すら未だ彼女に話していなかった。
いつかは云わないとな、と思ってはいたが、司馬昭が今日まで先延ばしにしていたのは、司馬家の次男だと知った名無しさんがどんな反応をするのか、それを知るのが怖かったからだ。
次男とは云え、司馬家の男と田舎の小さな村から来た女では余りにも身分が違い過ぎる。
司馬昭本人は気にしなくても、周りがとやかく云うだろうし、名無しさんも気にするだろう。
でも、もう恋人未満なんて中途半端な関係は今日で終わりにしたい。
「なあ、名無しさん。もし、俺が・・・」
と、司馬昭は真剣な眼差しを向けた。
広大な城内には、大なり小なり、幾つかの庭園があり、またそれぞれに四阿が設えられている。
それらの内の一つ、人が滅多に来ない四阿を偶然にも発見した司馬昭は、良い場所を見付けたと昼寝の度に訪れていた。
今日も、執務を抜け出して、その場所へと足を運ぶ。
「何回来ても良い場所だよな」
見上げれば、天蓋のように広がった枝葉が、穏やかに吹く風に揺れてさわさわと心地良い音を立てていた。
小さく、幾つも落ちて来る木漏れ日は、閉じた瞼に眩し過ぎず、丁度良い。
四阿に設えられた長椅子にだらしなく背中を預け、襲って来た睡魔に身を委ねようとした、その時、押し殺したような声が聞こえ、司馬昭は閉じ掛けた瞼を開いた。
げっ・・・先客が居たのかよ。
余りにも静かなので失念していたが、ここは城内なのだ、人が滅多に来ないと云っても、全くではない。
司馬昭は、のそりと体を起こすと静かにその場を去ろうと動き出した。
先客が誰かは分からないが、誰であれ、自分がこんな時分にここに居る事を両親や兄に報告されては困る。
折角、見付けた安息の場所を取り上げられては堪らない。
そろりそろりと足を運んで立ち去る、つもりの司馬昭だったが、ふと、押し殺したように聞こえた声が、泣き声である事に気付いて歩みを止めた。
誰か泣いてるのか。
無意識に首を伸ばし、声の方向へ視線を巡らせると、一人の女性が木の根元で踞っているのが目に映る。
うわ、めんどくせ。
いつもの怠け心が顔を出し、一瞬、その言葉が頭を過ってしまったが、次には司馬昭は頭を掻き、どうしたものかと考え始めていた。
このまま、何も見なかった振りをして立ち去ろうか。
人気のない所で泣いている位だ、誰にも知られたくないのだろう。
いや、それこそ、泣いている女性を放っておくのも如何なものか。
話を聞いてやるだけでも、女性はすっきりすると耳に挟んだ事もある。
放っておいたが為に、思い詰めて何かを仕出かされても後味が悪い。
などと色々と考えた結果、司馬昭はよし、と腹を括ると見なかった事にして立ち去る事にした。
面倒事に関わるのはごめんだ。
しかし、踵を返した瞬間、ぱきりと足元で大きな音がして、
「誰っ!?」
背中に飛んで来た鋭く問い掛ける声に足を止めた。
こんな時に枝を踏んじまうとか、ついてない。
「あー、いや、別に怪しいもんじゃないんで・・・」
司馬昭は諦め、そう云いながら、女性の前に姿を見せた。
突然現れた司馬昭に、泣いていた筈の女性はすっかり泣き止み、立ち上がって訝しげな視線を向けて来る。
彼女は不躾な程、司馬昭を上から下まで何度も視線を走らせてから云った。
「・・・どなたですか?」
司馬昭の身形から判断したのだろう、やや丁寧な云い方だったが、探るような視線は変わらない。
司馬昭もまた、誰何にどう答えたものかと迷いながら、同時に女性に視線を走らせ、彼女が真新しい女官服に身を包んでいる事から新人だろうと推測する。
「俺は・・・子上ってんだ。まあ、一応、将の一人になるか」
と、司馬昭は答えて云った。
嘘は云ってない、本当の事を云ってないだけだ。
新人が子上と聞いて、司馬家の次男、司馬昭と結び付ける事は先ずないだろう。
実際、彼女は名前よりも肩書きに反応して、慌てて頭を下げ、礼を執った。
「し、失礼しました。私は女官の名無しさんと申します」
「そんなに畏まらないでくれ。将って云っても下っ端みたいなもんだし、むず痒い」
そう云ってやれば、彼女が、名無しさんがそろそろと顔を上げる。
改めて、名無しさんと名乗った女官と対峙した司馬昭は、泣いた跡が残る彼女の顔を見て、自分の鼓動が大きく跳ねるのを感じた。
結構、可愛いんじゃないか?
泣いてる女は割増で可愛く見えるって云うが、それを差し引いても可愛いと思う。
だからと云う訳ではないが、いや、多少の下心はあっただろう、
「その、何だ・・・大丈夫か?」
司馬昭は心配するように、彼女に尋ねて云った。
司馬昭の心の内など知らない名無しさんは自分が泣いていた事を思い出し、さっと頬に朱を走らせる。
「お恥ずかしい所を・・・」
加えて、消え入りそうな小さな声で答える様子が何とも可愛い。
普段、女性に限らず、気の強い連中に囲まれている司馬昭は、名無しさんの可愛らしい様子に、目眩を覚えた。
何だ、この可愛いのは、本当に同じ人間かよ。
司馬昭は、今度は確かな下心を持って云う。
「あーいや、あれだ。俺で良かったら、話してみないか?」
「いえ、そんな・・・」
「どうせ昼寝しかしてないんだ、話を聞く位、どうって事ないぜ」
名無しさんは司馬昭の云い方に、くすりと笑った。
司馬昭の、将らしからぬ雰囲気と、自ら下っ端と云った事が効いたのだろう、ぽつりぽつりと話し始める。
「私、最近女官になったばかりで・・・」
と、彼女が話し出した内容を要約すると、失敗を繰り返してばかりいる自分を情けなく思って泣いていたようで、新人にはよくある話だった。
「そんなに落ち込まなくても、その内慣れるだろ。あんまり気にすんな」
「それはそうですけど・・・」
「俺なんか、今でも失敗ばっかりで、毎日怒られてるぜ?」
司馬昭がそう云って自分の失敗談を話して聞かせると、名無しさんが口元を隠して、くすくすと声を上げて笑う。
「ふふっ・・・嫌だ、子上様って可笑しい」
自分で名乗っておきながら、そうと知らない名無しさんに、字で呼ばれて司馬昭は思わず、どきりとした。
字で呼ばれる事は初めてではないのに、彼女に呼ばれると、どうしてこうも嬉しいと云う感情が沸き上がるのか。
「子上様は楽しい方ですね。何だか、気持ちが楽になりました」
それに、そう云って浮かべた名無しさんの笑顔と云ったら、咲き始めた花のような可憐さがあって、否応なく自分の胸の鼓動が速まるのが分かる。
「そりゃあ良かった。・・・あー、所で、名無しさんって云ったよな・・・その、良かったらなんだが」
もっと彼女の笑顔が見たい、もっと彼女の事が知りたいと求めて、欲が顔を出し、司馬昭は提案して云った。
「毎日って訳じゃないけど、俺、ちょくちょくここで昼寝してたりするから、また話したい事があったらいつでも来いよ」
「はい、ありがとうございます」
笑顔のまま、ぺこりと頭を下げ、礼を云って立ち去る名無しさんを、司馬昭は見えなくなるまで見送ってから、ぽつりと呟く。
「名無しさん、か・・・」
明日も会えないかな、なんて。
その願いは、いとも簡単に叶い、後々、二人は恋人と云って差し支えない関係になるのだが、未だ知らない司馬昭は、今は胸の高鳴りに耳を傾けていた。
それから、毎日とまでは行かないものの、司馬昭と名無しさんは人気のない四阿で、二人で多くの時を過ごした。
その多くの時間の中で、司馬昭は名無しさんの様々な事を知る。
田舎の小さな村の出身である事、そこで暮らす家族の生活費の足しになればと思って女官になった事、それから、
「ちょっと泣き虫だよな」
「そっ、そんな事ありません!」
「この前、家に帰りたいって泣いてただろ」
時々、故郷を思い出して泣いてしまうような、少し幼い所がある事など、彼女を知れば知る程、司馬昭は名無しさんに惹かれて行った。
いつの間にか、名無しさんの膝枕がなければ昼寝をする気にもなれなくなっていて、今日も会うなり、彼女の太腿に頭を預けている。
柔らかくて、温かくて、良い匂いのする名無しさんに、優しく微笑まれ、髪を撫でられて昼寝するなんて最高だ。
これから先も、ずっと一緒に居られたらと、そう願うのが自分だけでなければ良いと思いながら、司馬昭は名無しさんを見上げて云った。
「・・・今も、家に帰りたいか?」
名無しさんは分からないと云って首を振る。
「家族には会いたいけど・・・でも、子上様と離ればなれになるのも嫌だもの」
頬を染めて、答えて云う彼女に、司馬昭は口元を緩めた。
俺と離ればなれになるのが嫌って、嬉しい事を云ってくれるぜ。
そろそろ、名無しさんに洗いざらい全部話して、それから、ちゃんと好きって云っても良いかもな。
快く膝枕をしてもらっているが、司馬昭が名無しさんに募る思いを告白した事はなく、況してや自分が司馬家の次男である事すら未だ彼女に話していなかった。
いつかは云わないとな、と思ってはいたが、司馬昭が今日まで先延ばしにしていたのは、司馬家の次男だと知った名無しさんがどんな反応をするのか、それを知るのが怖かったからだ。
次男とは云え、司馬家の男と田舎の小さな村から来た女では余りにも身分が違い過ぎる。
司馬昭本人は気にしなくても、周りがとやかく云うだろうし、名無しさんも気にするだろう。
でも、もう恋人未満なんて中途半端な関係は今日で終わりにしたい。
「なあ、名無しさん。もし、俺が・・・」
と、司馬昭は真剣な眼差しを向けた。