無邪気な子供
貴女のお名前
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もう、戻れなくなるけれど。
名無しさんにとって、何も、今回が初陣と云う訳でもなかった。
これ迄にも、蜀を代表する五虎将軍には未だ未だ及ばないものの、それなりに活躍し、武勲だって立てて来ている。
既に、一人前の武将だと云っても過言ではない筈だ。
それだと云うのに・・・。
いざ出陣、と気合いの一つも入れた所で、いつもの様に、幼馴染みの張苞が彼女の元にやって来て、ぴしりと云った。
「名無しさん、危ねぇから、俺の傍を絶対離れるんじゃねぇぞ」
出陣する度に云われ続けた台詞を、今回も云われ、名無しさんはうんざりと肩を落とす。
女性とは云え、一人の武将に対して、それも毎回、向ける台詞にしては、些か失礼だと思うのだが、いい加減、聞き飽きた、と云うのが本音だった。
そんな彼女の気持ちを知ってか、知らずか。
張苞はそれだけを云うと、名無しさんに背を向けて、すたすたと先へと行ってしまう。
まるで、後ろについて来いと云う様に。
或いは、彼女を守る様に、庇う様に。
行く道の少し前を進んで行く背中を、名無しさんは唇を尖らせながら追い掛けた。
「危ないって・・・戦場なんだから当たり前じゃないの」
危ないとか、守ってもらうとか、そんな風に考えていないから、未だ幼馴染みの感覚で、そうしようとする張苞に少し腹が立つ。
幼い頃は、面倒見が良くて、時々、ちょっとお節介が過ぎる事もあるけれど、そんな彼が頼もしかった。
しかし、武将として生きる事を決めた以上、覚悟なんて、とっくに出来ている。
今回こそ、一人前だって認めさせてやるんだから。
名無しさんはそう思いながら、やがて聞こえて来た閧の声に、武器を強く握り締めた。
血で霞む戦場へと踏み込む事に、今更躊躇いはない。
その日、戦が決着するまで、名無しさんは縦横無尽に戦場を駆け続けた。
名無しさんにとって、何も、今回が初陣と云う訳でもなかった。
これ迄にも、蜀を代表する五虎将軍には未だ未だ及ばないものの、それなりに活躍し、武勲だって立てて来ている。
既に、一人前の武将だと云っても過言ではない筈だ。
それだと云うのに・・・。
いざ出陣、と気合いの一つも入れた所で、いつもの様に、幼馴染みの張苞が彼女の元にやって来て、ぴしりと云った。
「名無しさん、危ねぇから、俺の傍を絶対離れるんじゃねぇぞ」
出陣する度に云われ続けた台詞を、今回も云われ、名無しさんはうんざりと肩を落とす。
女性とは云え、一人の武将に対して、それも毎回、向ける台詞にしては、些か失礼だと思うのだが、いい加減、聞き飽きた、と云うのが本音だった。
そんな彼女の気持ちを知ってか、知らずか。
張苞はそれだけを云うと、名無しさんに背を向けて、すたすたと先へと行ってしまう。
まるで、後ろについて来いと云う様に。
或いは、彼女を守る様に、庇う様に。
行く道の少し前を進んで行く背中を、名無しさんは唇を尖らせながら追い掛けた。
「危ないって・・・戦場なんだから当たり前じゃないの」
危ないとか、守ってもらうとか、そんな風に考えていないから、未だ幼馴染みの感覚で、そうしようとする張苞に少し腹が立つ。
幼い頃は、面倒見が良くて、時々、ちょっとお節介が過ぎる事もあるけれど、そんな彼が頼もしかった。
しかし、武将として生きる事を決めた以上、覚悟なんて、とっくに出来ている。
今回こそ、一人前だって認めさせてやるんだから。
名無しさんはそう思いながら、やがて聞こえて来た閧の声に、武器を強く握り締めた。
血で霞む戦場へと踏み込む事に、今更躊躇いはない。
その日、戦が決着するまで、名無しさんは縦横無尽に戦場を駆け続けた。