夜毎君の夢を
貴女のお名前
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君に夢中なんだ。
襖を勢い良く開けて、男は云った。
「やぁ、久し振りだね!」
心から歓迎している様子で、満面の笑顔を向けられたら、誰だって普通は悪い気はしないだろう。
しかし、名無しさんはあからさまに不愉快を顔に表した。
僅かに目の下をひくつかせ、小さく舌を打つ。
何が、久し振りだね!だ!
こっちは好きで来てるんじゃないわよ!
仕事じゃなきゃ、来るもんですか!
と、幸い、口に出さない程度の礼儀はわきまえている。
代わりに、いっそ他人行儀に過ぎる程に深々と頭を下げた。
「お忙しい所恐れ入ります。主、立花の命により、参上いたしました」
「堅苦しい挨拶だね。立花らしい。部下は上司に似るのかな?」
一体、何が楽しいのか。
声音は少々・・・いや、かなり浮ついている。
これが、あの毛利元就だと云うのだから、世の中は分からないものだ。
ちょっとぼんやりしている癖に、時々、掴み所がなくて、今だって訳もなく、にこにこしてて、未だ数える程しか会っていないし、悪い人ではないとは思うのだけれど、何となく、名無しさんは苦手だった。
その元就が腰を下ろす気配がして、
「取り敢えず、顔を上げてくれないか?話がしにくいったらないよ」
云われるまま、顔を上げた名無しさんは思わず、後退った。
殆ど、突き付ける様に、目の前に元就の笑顔がある。
何で、こんなに近いのよ!
膝は今にも、ぶつかりそうで、名無しさんは離れ様と、ずずっと下がるが、それに合わせて元就が前進した。
結局の所、距離は変わってない。
「離れていては、話が出来ないよ」
相変わらずの笑顔で云う元就に、名無しさんは軽く殺意を覚えた。
あの世へ送ってやろうか。
一瞬、そんな考えも浮かんだが、名無しさんは慌てて、それを打ち消す。
いけない、仕事だ。
そう、私は仕事で来てるんだから!
主を失望させる様な真似はしたくない。
名無しさんは、一つ、咳払いをして、
「元就公」
「元就公、だって?君と私の仲じゃないか!呼び捨ててくれて構わないよ!何なら夫婦の様に、あなた、でも構わないさ!」
勝手に親しい仲にするな!
何て図々しいのかしら!
死んでも云ってやるもんか!!
キッ、と彼を睨み付けると、
「元・就・公!」
一つ一つを強く、半ばやけくそ気味に云った。
「ご・用・件・を!伺います!」
「用件?・・・ああ、そうだね」
元就は思い出した様に頷く。
そして、
「用件と云う程でもないんだけれどね。君に会いたいから、来てもらっても良いかなって、誾千代に云ってみたんだ」
何でもない様に、さらりと云った。
襖を勢い良く開けて、男は云った。
「やぁ、久し振りだね!」
心から歓迎している様子で、満面の笑顔を向けられたら、誰だって普通は悪い気はしないだろう。
しかし、名無しさんはあからさまに不愉快を顔に表した。
僅かに目の下をひくつかせ、小さく舌を打つ。
何が、久し振りだね!だ!
こっちは好きで来てるんじゃないわよ!
仕事じゃなきゃ、来るもんですか!
と、幸い、口に出さない程度の礼儀はわきまえている。
代わりに、いっそ他人行儀に過ぎる程に深々と頭を下げた。
「お忙しい所恐れ入ります。主、立花の命により、参上いたしました」
「堅苦しい挨拶だね。立花らしい。部下は上司に似るのかな?」
一体、何が楽しいのか。
声音は少々・・・いや、かなり浮ついている。
これが、あの毛利元就だと云うのだから、世の中は分からないものだ。
ちょっとぼんやりしている癖に、時々、掴み所がなくて、今だって訳もなく、にこにこしてて、未だ数える程しか会っていないし、悪い人ではないとは思うのだけれど、何となく、名無しさんは苦手だった。
その元就が腰を下ろす気配がして、
「取り敢えず、顔を上げてくれないか?話がしにくいったらないよ」
云われるまま、顔を上げた名無しさんは思わず、後退った。
殆ど、突き付ける様に、目の前に元就の笑顔がある。
何で、こんなに近いのよ!
膝は今にも、ぶつかりそうで、名無しさんは離れ様と、ずずっと下がるが、それに合わせて元就が前進した。
結局の所、距離は変わってない。
「離れていては、話が出来ないよ」
相変わらずの笑顔で云う元就に、名無しさんは軽く殺意を覚えた。
あの世へ送ってやろうか。
一瞬、そんな考えも浮かんだが、名無しさんは慌てて、それを打ち消す。
いけない、仕事だ。
そう、私は仕事で来てるんだから!
主を失望させる様な真似はしたくない。
名無しさんは、一つ、咳払いをして、
「元就公」
「元就公、だって?君と私の仲じゃないか!呼び捨ててくれて構わないよ!何なら夫婦の様に、あなた、でも構わないさ!」
勝手に親しい仲にするな!
何て図々しいのかしら!
死んでも云ってやるもんか!!
キッ、と彼を睨み付けると、
「元・就・公!」
一つ一つを強く、半ばやけくそ気味に云った。
「ご・用・件・を!伺います!」
「用件?・・・ああ、そうだね」
元就は思い出した様に頷く。
そして、
「用件と云う程でもないんだけれどね。君に会いたいから、来てもらっても良いかなって、誾千代に云ってみたんだ」
何でもない様に、さらりと云った。