改めて気付かされた。



見慣れた景色が視界に入る。
何故か体がふと、疲れを増した。
「帰ったぞ！」
屋敷の門で声を張り上げる政宗。
パタパタと駆けて来る足音に顔を緩ませてしまう。
「お帰りなさい！政宗様！」
と、笑顔で迎える名無しさんに、
「名無しさん！！」
「・・・きゃっ！」
政宗はいきなり強く抱き締めた。
その行動に、名無しさんが真っ赤になる。
まだ玄関先、しかも付き人の目があるのに強く抱き締める政宗に名無しさんはやんわりと体を離そうとした。
「・・・名無しさん」
が、腕の中で動く名無しさんを政宗は更に強く抱き締める。
「ちょっ・・・政宗様・・・」
離して下さい・・・そう云おうとした瞬間。
―チュ
唇を重ねられた。
軽く触れるだけの口付け。
それでも名無しさんは益々、真っ赤になってしまう。
「帰ったぞ、名無しさん」
しかし政宗は気にする事なく笑っていた。
政宗様ったら・・・と、笑顔の政宗に名無しさんは苦笑いをして、
「お帰りなさい」
もう一度、云った。