食べる、と云う事は大変なんですね。劉備様・・・。




ある晴れた昼下がり。
蜀の女官、名無しさんは劉備を捜し回っていた。
執務室、書簡庫、食堂、自室、ありとあらゆる場所を捜したが見当たらない。
「劉備様～。何処にいらっしゃるんですか～？」
関羽、張飛、趙雲に尋ねるが知らないと云われ、もう諦めようかと溜息を吐いた時・・・
「もしかしたら・・・」
ハッと思い付く。
劉備は時々、こっそりと城下へ出掛ける（らしい）。と聞いた覚えがある名無しさんは城下へと足を向けた。





「あの、劉備様、見掛けませんでしたか？」
城下と云っても広い。名無しさんは手当たり次第、声を掛け、劉備の居所を捜した。
そしてとんでもない情報に出くわす。
「劉備様なら畑だよ」
「は・・・畑？」
思わぬ村人の答えにポカンとする名無しさん。
その村人の云われるまま、とある畑に向かった・・・。



「劉備様―――！？」
畑の中で泥だらけになり、鍬を持ち、何やら良い汗をかいている劉備を見付けた。
「な、な、何やってらっしゃるんですか！？」
名無しさんはズカズカと畑に踏み入り、劉備へと近付く。
が、
「名無しさん！！動くな！！」
怒鳴られた。