戦国bsr読み切り短編集
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駅の構内に、いつの間にか笹の葉と短冊が飾られていた。
毎日通勤で使うから気付きそうなものの、足早に過ぎ去ってしまうせいか、今日になってようやく気が付いた。
「七夕か。もう、そんな季節か」
電車の時間までしばらくあったので、飾られた短冊を何とはなしに見つめていた。
七夕は、苦い記憶とリンクしている。仕事が過渡期だった頃、当時付き合っていた彼女と別れたのが七夕だったのだ。
「仕事って名前の天の川に、わたしたちはずっと離され続けるの?」
七夕の日に約束したデートをまた仕事で断ってしまった際、涙を我慢した声でこう言われた。
(あれが最後の連絡になると思ってなかったあたり、身勝手だよな、俺は)
彼女は、何があっても自分から離れない。この思いが身勝手なものだと思い知ったのは、彼女の連絡先が変わり音信不通となったことだった。
どうにかして連絡を取りたいと方々にあたり、最近になってようやく居場所が分かったのだが、彼女の隣にはもう新しいパートナーがいた。
(女々しいよな、俺も)
まだ待っていてくれるなどと、どうして思ったのだろう。
失恋して、初めて自分の想いの深さを知り、そして少しだけ泣けた。
「……ん?」
ふと目に留まった短冊には“あの人が幸せでありますように”と書いてあった。
(あいつの幸せを、願うとするか)
机の上にあった短冊を手に取り、ありったけの想いを込めてペンを走らせた。
毎日通勤で使うから気付きそうなものの、足早に過ぎ去ってしまうせいか、今日になってようやく気が付いた。
「七夕か。もう、そんな季節か」
電車の時間までしばらくあったので、飾られた短冊を何とはなしに見つめていた。
七夕は、苦い記憶とリンクしている。仕事が過渡期だった頃、当時付き合っていた彼女と別れたのが七夕だったのだ。
「仕事って名前の天の川に、わたしたちはずっと離され続けるの?」
七夕の日に約束したデートをまた仕事で断ってしまった際、涙を我慢した声でこう言われた。
(あれが最後の連絡になると思ってなかったあたり、身勝手だよな、俺は)
彼女は、何があっても自分から離れない。この思いが身勝手なものだと思い知ったのは、彼女の連絡先が変わり音信不通となったことだった。
どうにかして連絡を取りたいと方々にあたり、最近になってようやく居場所が分かったのだが、彼女の隣にはもう新しいパートナーがいた。
(女々しいよな、俺も)
まだ待っていてくれるなどと、どうして思ったのだろう。
失恋して、初めて自分の想いの深さを知り、そして少しだけ泣けた。
「……ん?」
ふと目に留まった短冊には“あの人が幸せでありますように”と書いてあった。
(あいつの幸せを、願うとするか)
机の上にあった短冊を手に取り、ありったけの想いを込めてペンを走らせた。
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