戦国bsr読み切り短編集
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立春というか、迎春を過ぎると空が春めいてくる。
そう感じたことがあったので、恋人の三成にそう話したのだが、
「どこがだ」
寒さに首を縮める彼から返ってきたのは否定的な返答だった。
「ホントだってば。みっつん、下向いてるから分かんないんだよ」
「みっつんと呼ぶな。上を見上げたところで、今日は曇天だ」
「じゃ、晴れるまで待とう」
「待つか。私は屋内へ戻る」
三成に空を見て欲しくて一度テナントから出たのだが、肝心の彼は晴れ間を待たずに踵を返してしまった。
「あ~、寒がりの彼にはちょっと難しいお願いだったかな。ま、いっか。もうちょっと暖かくなってから一緒に見てもらおうっと」
短気な彼の機嫌を損ねるとフォローが大変だからと、彼氏の背中を急ぎ追いかけた。
「遅い」
案の定、三成は不機嫌顔で窓べりの手すりに腕を組みすがっていた。
全面ガラス張りのそこからは、曇天のわずかな隙間を縫ってこぼれ落ちる光が射している。
それを背中に浴びる彼は神々しくて、思わず見とれてしまった。
「……」
「何だ?」
「いやぁ、わたしの彼氏さまってホント絵になるなぁって」
「……愚かな言動は慎め」
思ったことをストレートに言っただけなのだが、三成は少し頬を染めそっぽを向いた。
ストレートに褒められることへ免疫がないらしいその態度に、ひそかに口元を緩めていると。
「あ」
「今度は何だ」
「晴れ間が見えたよ」
待望の青空が見え、空を指差した。
だから何だと言わんばかりの顔で三成も、渋々と空を見上げた。
「……」
ふと気づけば、今度は三成が沈黙している。
「みっつん?」
「なるほどな、貴様の言うことにも一理ある」
見上げたままの彼の目線を追いかければ、雲間に見える青空が澄み切っている。
「空の青さが穏やかだ」
「! 分かってくれた!?」
「煩い、いちいち騒ぐな」
口調ほどには不機嫌ではない。立春過ぎの青空に、どうやら魅せられているようだ。
「貴様の言動も、たまには役に立つな」
微笑された。
「た、たまじゃないでしょ、みっつん!もう、照れ屋さんなんだからさぁ」
跳ね上がった心臓をごまかすために思わず三成の背中を叩いてしまった。
背中をバンバン叩き、気付くと三成は地べたに倒れていた。
「……だから、みっつんと呼ぶな、貴様あぁぁぁぁあああ!!」
先ほどの機嫌の良さはどこへやら、大勢の人が振り返るほどに三成の怒声がテナント内に響き渡った。
空と貴方に見とれる、それが立春の頃。
そう感じたことがあったので、恋人の三成にそう話したのだが、
「どこがだ」
寒さに首を縮める彼から返ってきたのは否定的な返答だった。
「ホントだってば。みっつん、下向いてるから分かんないんだよ」
「みっつんと呼ぶな。上を見上げたところで、今日は曇天だ」
「じゃ、晴れるまで待とう」
「待つか。私は屋内へ戻る」
三成に空を見て欲しくて一度テナントから出たのだが、肝心の彼は晴れ間を待たずに踵を返してしまった。
「あ~、寒がりの彼にはちょっと難しいお願いだったかな。ま、いっか。もうちょっと暖かくなってから一緒に見てもらおうっと」
短気な彼の機嫌を損ねるとフォローが大変だからと、彼氏の背中を急ぎ追いかけた。
「遅い」
案の定、三成は不機嫌顔で窓べりの手すりに腕を組みすがっていた。
全面ガラス張りのそこからは、曇天のわずかな隙間を縫ってこぼれ落ちる光が射している。
それを背中に浴びる彼は神々しくて、思わず見とれてしまった。
「……」
「何だ?」
「いやぁ、わたしの彼氏さまってホント絵になるなぁって」
「……愚かな言動は慎め」
思ったことをストレートに言っただけなのだが、三成は少し頬を染めそっぽを向いた。
ストレートに褒められることへ免疫がないらしいその態度に、ひそかに口元を緩めていると。
「あ」
「今度は何だ」
「晴れ間が見えたよ」
待望の青空が見え、空を指差した。
だから何だと言わんばかりの顔で三成も、渋々と空を見上げた。
「……」
ふと気づけば、今度は三成が沈黙している。
「みっつん?」
「なるほどな、貴様の言うことにも一理ある」
見上げたままの彼の目線を追いかければ、雲間に見える青空が澄み切っている。
「空の青さが穏やかだ」
「! 分かってくれた!?」
「煩い、いちいち騒ぐな」
口調ほどには不機嫌ではない。立春過ぎの青空に、どうやら魅せられているようだ。
「貴様の言動も、たまには役に立つな」
微笑された。
「た、たまじゃないでしょ、みっつん!もう、照れ屋さんなんだからさぁ」
跳ね上がった心臓をごまかすために思わず三成の背中を叩いてしまった。
背中をバンバン叩き、気付くと三成は地べたに倒れていた。
「……だから、みっつんと呼ぶな、貴様あぁぁぁぁあああ!!」
先ほどの機嫌の良さはどこへやら、大勢の人が振り返るほどに三成の怒声がテナント内に響き渡った。
空と貴方に見とれる、それが立春の頃。