戦国bsr読み切り短編集
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
立春を過ぎる頃、旧暦の暦とは裏腹に現実では厳冬の底とも言える厳しい気候が待ち受けている。
あくまで旧暦に合わせた節季名だから仕方ないのだが、新暦の今にあてはめると皮肉としか思えない。
「そうか?ワシはそうは思わんがな」
幼馴染の家康は、雪のちらつく今日もあっけらかんとしている。
鼻が赤く白い息を吐いているのに、とても寒そうには見えないし寒いそぶりもしない。
「少しずつ、暖かくなってきてるじゃないか」
「どこがよ!今だって雪降ってて寒いじゃない!家康は筋肉に覆われてるから、寒さに鈍感なんだよ」
唇をとがらせれば、違いないとまたもやからからと笑った。
「だが、さすがのワシも寒いものは寒い」
「ウソ、手こすったり腕さすったりしないじゃない」
「そういうのをしないだけだ。今も寒がってるのだが、分からんか?」
「全っ然、分かんない!」
はぁと手に息をかける。かじかんだ手が少しだけ温まるが、すぐに熱は外気に奪われていく。
「ワシの手も温めてくれ」
「え?」
怪訝な顔で隣を見やれば、差し出されたのは彼の左手。
「繋いだ上でコートのポケットに入れれば、完璧だろう?」
「……バカップルみたいでヤダ」
「バカップルもなにも、ワシらはそういう間柄だ」
有無を言わさず家康は手を繋ぎ、自身のコートに二人分の手を突っ込んだ。
「……あったかい」
「だろう?」
ニッと笑う彼の笑顔に、心も少し暖かくなった。
身も心も、そして気候も暖かくなっていくのを楽しみながら春を待つのが“立春”なら悪くない。
そう思った、立春過ぎの冬の日。
あくまで旧暦に合わせた節季名だから仕方ないのだが、新暦の今にあてはめると皮肉としか思えない。
「そうか?ワシはそうは思わんがな」
幼馴染の家康は、雪のちらつく今日もあっけらかんとしている。
鼻が赤く白い息を吐いているのに、とても寒そうには見えないし寒いそぶりもしない。
「少しずつ、暖かくなってきてるじゃないか」
「どこがよ!今だって雪降ってて寒いじゃない!家康は筋肉に覆われてるから、寒さに鈍感なんだよ」
唇をとがらせれば、違いないとまたもやからからと笑った。
「だが、さすがのワシも寒いものは寒い」
「ウソ、手こすったり腕さすったりしないじゃない」
「そういうのをしないだけだ。今も寒がってるのだが、分からんか?」
「全っ然、分かんない!」
はぁと手に息をかける。かじかんだ手が少しだけ温まるが、すぐに熱は外気に奪われていく。
「ワシの手も温めてくれ」
「え?」
怪訝な顔で隣を見やれば、差し出されたのは彼の左手。
「繋いだ上でコートのポケットに入れれば、完璧だろう?」
「……バカップルみたいでヤダ」
「バカップルもなにも、ワシらはそういう間柄だ」
有無を言わさず家康は手を繋ぎ、自身のコートに二人分の手を突っ込んだ。
「……あったかい」
「だろう?」
ニッと笑う彼の笑顔に、心も少し暖かくなった。
身も心も、そして気候も暖かくなっていくのを楽しみながら春を待つのが“立春”なら悪くない。
そう思った、立春過ぎの冬の日。