戦国bsr読み切り短編集
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ちらつく雪が、ただでさえ寒い外気をさらに寒く感じさせる。
かじかむ手に息を吹きかけるも、かけた瞬間に温もりは外気に奪われていく。
「寒いなぁ」
ベランダから空を見上げれば、雲一つない夜明けの空。
放射冷却が酷そうな快晴っぷりにふっと息を吐き出せば、
「何、空を睨んでやがる」
盆に揃いの保温グラスを乗せ、夫の小十郎もベランダに出てきた。
「だって見てよ、あの晴天っぷり!地球の温もりを根こそぎ持っていきます的なあの空!」
「根こそぎ持っていかれたら、氷河期になっちまうな」
そう言いながら、小十郎はグラスを渡してくれた。
中は、お湯割りの自家製梅酒。
礼もそこそこに奪い取れば、ようやくしっかりした温もりが手を通じて伝わってきた。
「そうなったら死んじゃう」
「すぐにゃ死なねえだろ」
小さく笑い、小十郎は片割れのグラスを口にした。
中は、石巻の日本酒。
震災で生き残った奇跡のもろみを使ってるらしく、以来小十郎はずっとこれを愛飲してる。
「分かんないわよ。だって、私冬苦手だし、冷え性だし、少なくとも小十郎より長生き出来る自信はないわね」
「どういう自信だ」
「代わりに、マンモスみたいに凍って発見される自信ならあるわ」
相変わらず変な発想する奴だなと笑い、小十郎はまたグラスを口にした。ふっと吐き出された湯気が白く具現化して、より寒さを助長させる。
「なら、俺が解かしてやるよ」
「え?」
「あるいは、お前が凍らねえように温めてやる」
空いている手で妻の肩を掴み、抱き寄せた。
「死なせねえよ。俺にゃ、お前とやりてえことが山ほどあるんだ」
「例えば?」
「子作りだな」
「バカ」
鳩尾に肘を叩き込む。ただ、いつかはという思いは自分にもあって、それほど強くは叩けなかった。
「この酒のもろみみてえに、どこまでも生きようぜ」
小十郎の言葉を肯定するように、世界は急激に明るくなっていく。
「……そうね。とりあえず、このまま温めてよ。御来光間近とは言え、やっぱ寒いもの」
言われずとも、と、肩の手に力が入る。
「これからもよろしく」
「こっちもな」
グラスを合わせる。カチンという軽やかな音と共に、やがて朝日が顔を出した。
かじかむ手に息を吹きかけるも、かけた瞬間に温もりは外気に奪われていく。
「寒いなぁ」
ベランダから空を見上げれば、雲一つない夜明けの空。
放射冷却が酷そうな快晴っぷりにふっと息を吐き出せば、
「何、空を睨んでやがる」
盆に揃いの保温グラスを乗せ、夫の小十郎もベランダに出てきた。
「だって見てよ、あの晴天っぷり!地球の温もりを根こそぎ持っていきます的なあの空!」
「根こそぎ持っていかれたら、氷河期になっちまうな」
そう言いながら、小十郎はグラスを渡してくれた。
中は、お湯割りの自家製梅酒。
礼もそこそこに奪い取れば、ようやくしっかりした温もりが手を通じて伝わってきた。
「そうなったら死んじゃう」
「すぐにゃ死なねえだろ」
小さく笑い、小十郎は片割れのグラスを口にした。
中は、石巻の日本酒。
震災で生き残った奇跡のもろみを使ってるらしく、以来小十郎はずっとこれを愛飲してる。
「分かんないわよ。だって、私冬苦手だし、冷え性だし、少なくとも小十郎より長生き出来る自信はないわね」
「どういう自信だ」
「代わりに、マンモスみたいに凍って発見される自信ならあるわ」
相変わらず変な発想する奴だなと笑い、小十郎はまたグラスを口にした。ふっと吐き出された湯気が白く具現化して、より寒さを助長させる。
「なら、俺が解かしてやるよ」
「え?」
「あるいは、お前が凍らねえように温めてやる」
空いている手で妻の肩を掴み、抱き寄せた。
「死なせねえよ。俺にゃ、お前とやりてえことが山ほどあるんだ」
「例えば?」
「子作りだな」
「バカ」
鳩尾に肘を叩き込む。ただ、いつかはという思いは自分にもあって、それほど強くは叩けなかった。
「この酒のもろみみてえに、どこまでも生きようぜ」
小十郎の言葉を肯定するように、世界は急激に明るくなっていく。
「……そうね。とりあえず、このまま温めてよ。御来光間近とは言え、やっぱ寒いもの」
言われずとも、と、肩の手に力が入る。
「これからもよろしく」
「こっちもな」
グラスを合わせる。カチンという軽やかな音と共に、やがて朝日が顔を出した。