戦国bsr読み切り短編集
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引き戸を開け外に出れば、昨日からの降雪で辺りは更に雪で覆われていた。
「寒いなぁ……」
かじかむ手に一度息を吹き掛け、夕飯用の野菜を穫りに畑へ向かった。
雪は深いけど、ざくざくと、まだ音を立てて歩ける深さだ。
奥州の冬は、長く厳しく、そして当たり前だけど寒い。
けれど、それがもたらすものは決して悪いことばかりではない。
まず、戦がなくなる(ここ、超重要!)。
次に、皆が囲炉裏を囲んで団らんがしやすくなる。
それから。
「この寒さが、お野菜を美味しくしてくれるのよね」
中々進まない歩にそれでも頑張って前進していたら、
「一人で行くなって、毎回言ってんだろうが。雪に埋もれたらどうすんだ」
後ろから声が。
隣に住む、小十郎さんだった。
「さすがに埋もれないですよ。もう、大人だし」
「その身長でか?」
あっという間に追い付き、小十郎さんは意地悪な顔をしてまた私を見下げてきた。
「私がちびって言うより、小十郎さんがでっかいんです!」
握りこぶしを彼の胸めがけて打ち込めば、彼の左手にいとも簡単に受け止められてしまった。
「……相変わらず、冷てえな」
「え?」
あたりを見回した後、小十郎さんは私の手を握りしめこすり始めた。
「あかぎれが出来てんな」
「毎年のことです」
「忙しいのは分かるが、ちっとは自分を労ったらどうだ?」
「ありがとうございます。まだ、しもやけになってないだけましだと思ってたから、そんな風に言ってもらえてありがたいです」
そう答えたら、小十郎さんは私の手をじっと見つめ、ゆっくりと唇を落とした。
「小、小十郎さん!?」
びっくりして手を引っ込めようとしたが、小十郎さんは離してくれなかった。
それどころか、逆に私を引っ張って抱き締めてきたのだ。
小さな私は、大きな小十郎さんの腕の中にすっぽり覆われてしまった。
離して欲しくてわたわたしたが、小十郎さんは更にきつく抱いてきて動けなくなった。
「いいじゃねえか。お前、子供みてえに温けえからちょうどいいんだよ」
「わ、私で暖を取らないで下さいよ!」
自分だけどきどきしたのかと思って悔しくなった。
小十郎さんは喉で笑い、なだめるように反対の手が頭を軽く撫で、髪の毛をすいてくれた。
「……さっさと嫁に来いよ。一日も早く、こうしていてえ」
小十郎さんの胸の鼓動も早くなっていく。
「小十郎さん……」
「戦のねえうちに、お前の温もりを味わいてえからな」
「……なんか、いやらしいです」
男だからなとあっさりと肯定する小十郎さん。
「それに、一緒になりゃこの働き者の手を労ってやれる」
繋がったままの手がじんじんと熱く脈打つ。
かじかんでたのは、いつの話か。
互いの体温に触れ合える心地よさは、寒さがもたらすもう一つの幸福。
「寒いなぁ……」
かじかむ手に一度息を吹き掛け、夕飯用の野菜を穫りに畑へ向かった。
雪は深いけど、ざくざくと、まだ音を立てて歩ける深さだ。
奥州の冬は、長く厳しく、そして当たり前だけど寒い。
けれど、それがもたらすものは決して悪いことばかりではない。
まず、戦がなくなる(ここ、超重要!)。
次に、皆が囲炉裏を囲んで団らんがしやすくなる。
それから。
「この寒さが、お野菜を美味しくしてくれるのよね」
中々進まない歩にそれでも頑張って前進していたら、
「一人で行くなって、毎回言ってんだろうが。雪に埋もれたらどうすんだ」
後ろから声が。
隣に住む、小十郎さんだった。
「さすがに埋もれないですよ。もう、大人だし」
「その身長でか?」
あっという間に追い付き、小十郎さんは意地悪な顔をしてまた私を見下げてきた。
「私がちびって言うより、小十郎さんがでっかいんです!」
握りこぶしを彼の胸めがけて打ち込めば、彼の左手にいとも簡単に受け止められてしまった。
「……相変わらず、冷てえな」
「え?」
あたりを見回した後、小十郎さんは私の手を握りしめこすり始めた。
「あかぎれが出来てんな」
「毎年のことです」
「忙しいのは分かるが、ちっとは自分を労ったらどうだ?」
「ありがとうございます。まだ、しもやけになってないだけましだと思ってたから、そんな風に言ってもらえてありがたいです」
そう答えたら、小十郎さんは私の手をじっと見つめ、ゆっくりと唇を落とした。
「小、小十郎さん!?」
びっくりして手を引っ込めようとしたが、小十郎さんは離してくれなかった。
それどころか、逆に私を引っ張って抱き締めてきたのだ。
小さな私は、大きな小十郎さんの腕の中にすっぽり覆われてしまった。
離して欲しくてわたわたしたが、小十郎さんは更にきつく抱いてきて動けなくなった。
「いいじゃねえか。お前、子供みてえに温けえからちょうどいいんだよ」
「わ、私で暖を取らないで下さいよ!」
自分だけどきどきしたのかと思って悔しくなった。
小十郎さんは喉で笑い、なだめるように反対の手が頭を軽く撫で、髪の毛をすいてくれた。
「……さっさと嫁に来いよ。一日も早く、こうしていてえ」
小十郎さんの胸の鼓動も早くなっていく。
「小十郎さん……」
「戦のねえうちに、お前の温もりを味わいてえからな」
「……なんか、いやらしいです」
男だからなとあっさりと肯定する小十郎さん。
「それに、一緒になりゃこの働き者の手を労ってやれる」
繋がったままの手がじんじんと熱く脈打つ。
かじかんでたのは、いつの話か。
互いの体温に触れ合える心地よさは、寒さがもたらすもう一つの幸福。