戦国bsr読み切り短編集
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「つまんねぇな」
ごちた言葉が、誰もいない部屋に響いて消えた。
『急に急患が入ったの。夕飯一緒に食べる約束だったのに、ごめんね。行ってきます。』
仕事から帰った俺を待ってたのは、彼女ではなくラップがかかった夕飯と手書きのメモ。
携帯にも同様のメールが来ていて、律儀なあいつらしいと頬が緩んだ。
けれど、残業しないよう時間を工面してきた昼間の俺の楽しみは宙に浮いたまま。
まあ、でっかい病院の看護師してりゃ、こういうのは日常茶飯事なんだがな。
飯を食うより先に、ベランダで煙草をふかすことにした。
いつもなら見られない番組がテレビで流れている。
が、たいして興味はない。
あいつが見てるドラマも始まったが、何が面白いかよく分かんねえ。
「あいつがいなきゃ、何も面白くねえんだな……」
どんだけ惚れてんだ。
自嘲したが、心は軽くならない。
寂しい。
あいつがいないことが。
そして、気付く。
日勤で早く帰った時の、あいつの気持ち。
「……ちっと、仕事の段取りを見直してみるか」
この間の人事異動で、立場上、あまり残業するのもよくない位置になったしな。
そう言い訳して、寂しいという本音をオブラートに包んだ時だった。
『小十郎?帰ってたんだ。あのね、あと一時間したら帰れそうなの。急患の方、思ったより容体が安定してて』
携帯から聞こえる声に、心が弾んでいく。
「なら、時間見て迎えに行く。飯も、食わずに待ってる」
ありがとうと、向こう側で歓声があがった。
「……ありがとうは、こっちだぜ」
携帯を切って、自然と口から出た言葉に思わず苦笑した。
ぷかりと煙を吐き出せば、寒空になり始めた空が瞬いた気がした。
ごちた言葉が、誰もいない部屋に響いて消えた。
『急に急患が入ったの。夕飯一緒に食べる約束だったのに、ごめんね。行ってきます。』
仕事から帰った俺を待ってたのは、彼女ではなくラップがかかった夕飯と手書きのメモ。
携帯にも同様のメールが来ていて、律儀なあいつらしいと頬が緩んだ。
けれど、残業しないよう時間を工面してきた昼間の俺の楽しみは宙に浮いたまま。
まあ、でっかい病院の看護師してりゃ、こういうのは日常茶飯事なんだがな。
飯を食うより先に、ベランダで煙草をふかすことにした。
いつもなら見られない番組がテレビで流れている。
が、たいして興味はない。
あいつが見てるドラマも始まったが、何が面白いかよく分かんねえ。
「あいつがいなきゃ、何も面白くねえんだな……」
どんだけ惚れてんだ。
自嘲したが、心は軽くならない。
寂しい。
あいつがいないことが。
そして、気付く。
日勤で早く帰った時の、あいつの気持ち。
「……ちっと、仕事の段取りを見直してみるか」
この間の人事異動で、立場上、あまり残業するのもよくない位置になったしな。
そう言い訳して、寂しいという本音をオブラートに包んだ時だった。
『小十郎?帰ってたんだ。あのね、あと一時間したら帰れそうなの。急患の方、思ったより容体が安定してて』
携帯から聞こえる声に、心が弾んでいく。
「なら、時間見て迎えに行く。飯も、食わずに待ってる」
ありがとうと、向こう側で歓声があがった。
「……ありがとうは、こっちだぜ」
携帯を切って、自然と口から出た言葉に思わず苦笑した。
ぷかりと煙を吐き出せば、寒空になり始めた空が瞬いた気がした。