今日は、付き合い始めたばかりの彼女がうちに遊びにきてるんだが……



「……どうした？」
「べつにぃ」
彼女に問えば、何でもないという声色。
俺にとっちゃ、何でもなくねえ。
何故なら、さっきから、料理最中の俺の背に彼女がくっついてるからだ。
くっつかれるのは大歓迎なんだが、その、くっついてる向きが、なぁ……。
「……背中に、当たってるぜ」
「何が？」
分かってんだろうが。

胸だ、胸！

眉間に皺を寄せ、ため息をつく。
密着されて、ときめかねえ野郎はいねえぜ。
分かってんのか？
……分かってる訳ねえよな。



仕方なく料理を再開すれば、今度は背中に顔を埋める感触が。
「好き、小十郎さん」
思わず、飯よりお前を食ってもいいんだな？って言いかけて飲み込んだ。
理性がぶっ飛ぶ五秒前ってやつだが、大事にしてえんだ。
彼女は俺の葛藤も知らず、一人俺の背中に顔をすりつけて楽しんでる。



……悪いが、飯食ったら覚悟しとけよ？