戦国bsr読み切り短編集
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奥州の春は遅い。
暦こそ既に春だが、吹く風は冷たく降る雨は身を凍らせる。
「急ぎ出陣なされずとも、よろしゅうございましょうに」
私は、旦那さまである伊達政宗さまの背中に向かって言った。
「相手も同じこと考えてんだ。先手打たねえと、攻めこまれたらこっちがやられちまう」
旦那さまは家臣に甲冑をつけさせ、終わったところで私と二人きりになった。
「今回の戦は長引くかもしれねえ。だが、必ず生きて帰る。だから、それまで城と城の者、民百姓のことは任せたぜ」
大好きな隻眼に見つめられれば、頷くしかない。
ずるい、と思う。
自分の美貌すら計算ずくで利用して、何をやったら相手が頷くか分かってやっているのだ。
(人たらし……)
「あ?何か言ったか?」
口にしてないのに、彼には聞こえたらしい。再び覗きこまれ困惑していると、唇を重ねられた。
「Honey、お前だから頼むんだ、you see?」
「あ、あいしー……」
こう言えと言われた回答をすれば、ご褒美とまた軽く唇が触れた。
「頼んだぜ。オレの帰る場所を守ってくれよ」
片手をひらりと上げて、旦那さまは行ってしまわれた。
残されたのは春雨とそれがもたらす寒さと、唇の温もり――。
暦こそ既に春だが、吹く風は冷たく降る雨は身を凍らせる。
「急ぎ出陣なされずとも、よろしゅうございましょうに」
私は、旦那さまである伊達政宗さまの背中に向かって言った。
「相手も同じこと考えてんだ。先手打たねえと、攻めこまれたらこっちがやられちまう」
旦那さまは家臣に甲冑をつけさせ、終わったところで私と二人きりになった。
「今回の戦は長引くかもしれねえ。だが、必ず生きて帰る。だから、それまで城と城の者、民百姓のことは任せたぜ」
大好きな隻眼に見つめられれば、頷くしかない。
ずるい、と思う。
自分の美貌すら計算ずくで利用して、何をやったら相手が頷くか分かってやっているのだ。
(人たらし……)
「あ?何か言ったか?」
口にしてないのに、彼には聞こえたらしい。再び覗きこまれ困惑していると、唇を重ねられた。
「Honey、お前だから頼むんだ、you see?」
「あ、あいしー……」
こう言えと言われた回答をすれば、ご褒美とまた軽く唇が触れた。
「頼んだぜ。オレの帰る場所を守ってくれよ」
片手をひらりと上げて、旦那さまは行ってしまわれた。
残されたのは春雨とそれがもたらす寒さと、唇の温もり――。