戦国bsr読み切り短編集
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大雪でダイヤが乱れ、それは帰りも影響した。
一本でも早い電車に乗ろうとごった返す駅の構内を見、ヒロイン名前は残業で遅くなったこともあり、人の波が落ち着くまで映画でも観ようと映画館に足を向けた。
(っと、遅くなるってLINEいれとこ)
スマホを取り出し、自分より帰りが常に遅い夫に連絡する。
仕事中はスマホを触らないから、彼が内容に気付く頃には映画館を出ているだろう。心配性の彼に、心配かけることもないはずだ。
(よし、完璧。上映時間変わっちゃう前に観たかったのよね~。逆にラッキーだったかも!)
朝こそ遅刻の憂き目に遭ったが、今は映画を観るきっかけを作ってくれた雪に感謝したい気持ちになった。
「あー、面白かった。また、観に行こっと!」
映画後、ダイヤも人も落ち着いていて、地元駅は混乱していたことが嘘のような落ち着きを取り戻している。
どうせすぐには乗れないからと、早々と諦めて正解だったと思っていると。
「……あれ?」
まだちらつく雪が舞い込む駅出入口近くの柱に、見慣れた姿があった。
「小十郎?」
声をかけると、小十郎――ヒロイン名前の夫が振り向いた。
「遅かったんだな」
「え、LINE見てないの?」
「LINE?」
「電車すごかったから、映画観るって……」
「ああ、そうなのか。スマホ、家に忘れちまったんだよ。ついでに言や、お前も俺のメールに気付かなかったみてえだな」
慌てて電源を入れると、鑑賞真っ只中の時間にメールを受信していたことを知り、その内容を見て愕然とした。
『鍵とスマホを忘れた。多分、電車に乗れてねえだろうし、俺の方が万が一早かったら入れ違いになっちまうから、駅で落ち合おう』
「鍵を……」
会社用のアドレスで送られたメールが、今はむなしい
自分がぬくぬく楽しんでいる間に、小十郎はメールを見たものと信じ鼻も頬も耳も冷やしながらずっとここで待っていたのだから。
「ご、ごめん! なんか、ほんとごめん!!」
頭を抱えると、小十郎はふっと笑った。
「そも、鍵を忘れた俺が悪いんだ。……とは言え、さすがに冷えちまったからな。帰って飯作る元気ねえし、食って帰ろうぜ」
差し出された手は、心底冷えきっている。思い切り握りしめ自分のコートの中に押し込めると、小十郎はまた笑った。
「気にすんなよ。待ってる間、よくお前をこうして待ち伏せしてたことを思い出して、時間潰してたからな」
「あー、一歩間違ったらストーカー疑惑のあの待ち伏せね」
「お前だって俺に気があったんだから、ストーカーじゃねえだろ」
「そうだけど……。って、お店行けば良かったじゃん」
「一人じゃつまらねえ」
「もー、はいはい。今日はおごるから、好きなもの食べなっせ」
「鍋がいいな」
「鍋かあ。じゃあ、一駅先に行こう。駅前にあるお店が美味しいって評判らしいから」
ポケットに手がある分、いつもより距離が近い。
久しぶりに待ち伏せもされて、ときめいたのは内緒の話。
(やっぱり、雪に感謝しよう)
ヒロイン名前は、心の中でひそかに雪に感謝した。
一本でも早い電車に乗ろうとごった返す駅の構内を見、ヒロイン名前は残業で遅くなったこともあり、人の波が落ち着くまで映画でも観ようと映画館に足を向けた。
(っと、遅くなるってLINEいれとこ)
スマホを取り出し、自分より帰りが常に遅い夫に連絡する。
仕事中はスマホを触らないから、彼が内容に気付く頃には映画館を出ているだろう。心配性の彼に、心配かけることもないはずだ。
(よし、完璧。上映時間変わっちゃう前に観たかったのよね~。逆にラッキーだったかも!)
朝こそ遅刻の憂き目に遭ったが、今は映画を観るきっかけを作ってくれた雪に感謝したい気持ちになった。
「あー、面白かった。また、観に行こっと!」
映画後、ダイヤも人も落ち着いていて、地元駅は混乱していたことが嘘のような落ち着きを取り戻している。
どうせすぐには乗れないからと、早々と諦めて正解だったと思っていると。
「……あれ?」
まだちらつく雪が舞い込む駅出入口近くの柱に、見慣れた姿があった。
「小十郎?」
声をかけると、小十郎――ヒロイン名前の夫が振り向いた。
「遅かったんだな」
「え、LINE見てないの?」
「LINE?」
「電車すごかったから、映画観るって……」
「ああ、そうなのか。スマホ、家に忘れちまったんだよ。ついでに言や、お前も俺のメールに気付かなかったみてえだな」
慌てて電源を入れると、鑑賞真っ只中の時間にメールを受信していたことを知り、その内容を見て愕然とした。
『鍵とスマホを忘れた。多分、電車に乗れてねえだろうし、俺の方が万が一早かったら入れ違いになっちまうから、駅で落ち合おう』
「鍵を……」
会社用のアドレスで送られたメールが、今はむなしい
自分がぬくぬく楽しんでいる間に、小十郎はメールを見たものと信じ鼻も頬も耳も冷やしながらずっとここで待っていたのだから。
「ご、ごめん! なんか、ほんとごめん!!」
頭を抱えると、小十郎はふっと笑った。
「そも、鍵を忘れた俺が悪いんだ。……とは言え、さすがに冷えちまったからな。帰って飯作る元気ねえし、食って帰ろうぜ」
差し出された手は、心底冷えきっている。思い切り握りしめ自分のコートの中に押し込めると、小十郎はまた笑った。
「気にすんなよ。待ってる間、よくお前をこうして待ち伏せしてたことを思い出して、時間潰してたからな」
「あー、一歩間違ったらストーカー疑惑のあの待ち伏せね」
「お前だって俺に気があったんだから、ストーカーじゃねえだろ」
「そうだけど……。って、お店行けば良かったじゃん」
「一人じゃつまらねえ」
「もー、はいはい。今日はおごるから、好きなもの食べなっせ」
「鍋がいいな」
「鍋かあ。じゃあ、一駅先に行こう。駅前にあるお店が美味しいって評判らしいから」
ポケットに手がある分、いつもより距離が近い。
久しぶりに待ち伏せもされて、ときめいたのは内緒の話。
(やっぱり、雪に感謝しよう)
ヒロイン名前は、心の中でひそかに雪に感謝した。