戦国bsr読み切り短編集
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ヒロイン名前は、ベッドサイドに置いている目覚まし時計の秒針音で目を覚ました。
妙に暑い。そして、息苦しい。
みじろぐと、全く身動き出来ない。夫の小十郎に、抱き枕よろしく抱き締められているせいだと分かり苦笑した。
(小十郎ったら……)
腕の力はとても強く、どうにも離してくれそうにない。それどころか、腰にまわった手に力が込められ、身体はますます密着した。
(また、例の甘えたモードに入っちゃってるのね)
ちなみにこの行為、無意識らしい。いつ聞いても、
「記憶にねえ」
の一点張りだ。
初めて抱き付いた体勢で目覚めた時、さすがの小十郎も顔を真っ赤にしたが、最近は内なる欲求を隠すのを止めたらしい。
「まわりは年下ばかりだからな。“年下”の立場で甘えられるのはヒロイン名前の前だけだ。俺も甘えてえ」
そう言う割に、意識のあるうちはあまり甘えてこない。沽券に関わるからか矜持が許さないからか。
なので、必然的に無意識下で甘える術を身に付けたらしく、それがこの行為なのだ。
腰にまわった手がまた強くなる。意地でも離さないつもりのようだ。
(もう、甘えん坊!)
身をよじり何とか腕から脱出すると、ちょうど彼を胸に抱き留める姿勢になった。
身長差で彼の胸に顔を埋めることが多いが、今は真逆だ。何だか、新鮮な気分になった。
いつもパジャマの第一ボタンを外していて、そのせいではだけた肌に夫の規則正しい吐息がかかる。
くすぐったくて甘い感情が湧き、髪の毛を撫でてやると頬擦りしてきた。
(小十郎、かわいい……)
とく、とく、と、体温と共に伝わる鼓動が気持ちいい。
時計を見れば、起床時間までまだある。
ヒロイン名前は、いつしかうたた寝を始めていた。
息苦しさと暑さから小十郎が目を覚ますと、すぐ近くでヒロイン名前の鼓動が聞こえてきた。
いつものように抱き付いているせいだと思ったが、どうも様子が違う。
目の前が、幾何学模様でいっぱいなのだ。
よく見れば、それは見慣れたヒロイン名前のパジャマ模様。
瞬時に目が覚めた。
(まさかっ……)
頬に当たる柔らかな感触が妻の胸だと分かり、小十郎は悟った。
(今、俺はヒロイン名前の胸に抱き付いてんのか……!)
慌てて逃れようとしたが、ヒロイン名前の腕にがっちり捕らわれていて身動き出来ない。
「お、おい、ヒロイン名前……!」
背中を揺するが、一向に気付く気配はない。
「ん~……」
むしろ、自分を抱くことで安眠を得ているのか、むにゃむにゃ言いながら更に小十郎の頭を胸に押し当ててきた。
(柔らけえ……、じゃねえ!俺は、何やってんだ!)
起こさないよう何とか胸元から脱出してみると、妻の頭は枕より上の位置にあった。もしかすると、ヒロイン名前が自分を抱き締めたのかもしれない。
無意識下で赤ん坊のような行為をしたのだとすれば、自分はもう終わったと思うところだが、慌てるには早いのかもしれない。
小十郎は、安堵ともため息ともつかない吐息をついた。
すやすやと眠るヒロイン名前の胸元は、相変わらず規則正しく動いている。形のよいそれは小十郎のお気に入りで、いつかはその胸に抱かれて眠ってみたいと思っていた。
(思わぬ形で叶っちまったけどな)
腕の力が緩まったところで彼女を抱き寄せ、腕に収める。
「……じゅ、ろぉ?」
その時、ヒロイン名前が目を覚ました。
「悪い、起こしたか?」
「ううん、一度目覚ましてたから……」
胸に頬擦りする彼女に小さく笑い、額にキスした。
「ちっと早いが、先に起きるぜ。今夜は遅くなるから、ホワイトデーの返しは朝食でさせてもらう」
どこか慌てている風の小十郎。
ヒロイン名前は待ってと手を掴んだ。
「お返しなら、これがいい」
「ああ?って、おい!」
再び布団に引きずり込まれ、胸に抱き留められた。
頬に当たる柔らかな感触に、小十郎は赤面せずにはいられなかった。
「は、離せっ……!」
「やだ。何で、そんなに恥ずかしがるの?夜はあんなにがっつくくせに」
「そ、それとこれとは話がっ……!」
「一緒だよ。だから、いつでも全開で甘えてくれていいのよ?」
よしよしと頭を撫でられ背中をあやされるうち、遂に観念したのか小十郎は大人しくなった。
「……いいのか?こんな風に甘える俺でも。その……、幻滅したりしねえか?」
「しないよ」
ヒロイン名前は笑った。
「だって、どの小十郎も小十郎だもん」
髪を透く指が気持ちいい。
「……じゃあ、遠慮なく甘えさせてもらう」
頬擦りし、ヒロイン名前の匂いを吸い込む。
「いつもいつも、お疲れさま。甘えるかわいい小十郎が見れて、お腹いっぱい」
「何だそりゃ」
苦笑したが、悪い気はしない小十郎であった。
(了)
妙に暑い。そして、息苦しい。
みじろぐと、全く身動き出来ない。夫の小十郎に、抱き枕よろしく抱き締められているせいだと分かり苦笑した。
(小十郎ったら……)
腕の力はとても強く、どうにも離してくれそうにない。それどころか、腰にまわった手に力が込められ、身体はますます密着した。
(また、例の甘えたモードに入っちゃってるのね)
ちなみにこの行為、無意識らしい。いつ聞いても、
「記憶にねえ」
の一点張りだ。
初めて抱き付いた体勢で目覚めた時、さすがの小十郎も顔を真っ赤にしたが、最近は内なる欲求を隠すのを止めたらしい。
「まわりは年下ばかりだからな。“年下”の立場で甘えられるのはヒロイン名前の前だけだ。俺も甘えてえ」
そう言う割に、意識のあるうちはあまり甘えてこない。沽券に関わるからか矜持が許さないからか。
なので、必然的に無意識下で甘える術を身に付けたらしく、それがこの行為なのだ。
腰にまわった手がまた強くなる。意地でも離さないつもりのようだ。
(もう、甘えん坊!)
身をよじり何とか腕から脱出すると、ちょうど彼を胸に抱き留める姿勢になった。
身長差で彼の胸に顔を埋めることが多いが、今は真逆だ。何だか、新鮮な気分になった。
いつもパジャマの第一ボタンを外していて、そのせいではだけた肌に夫の規則正しい吐息がかかる。
くすぐったくて甘い感情が湧き、髪の毛を撫でてやると頬擦りしてきた。
(小十郎、かわいい……)
とく、とく、と、体温と共に伝わる鼓動が気持ちいい。
時計を見れば、起床時間までまだある。
ヒロイン名前は、いつしかうたた寝を始めていた。
息苦しさと暑さから小十郎が目を覚ますと、すぐ近くでヒロイン名前の鼓動が聞こえてきた。
いつものように抱き付いているせいだと思ったが、どうも様子が違う。
目の前が、幾何学模様でいっぱいなのだ。
よく見れば、それは見慣れたヒロイン名前のパジャマ模様。
瞬時に目が覚めた。
(まさかっ……)
頬に当たる柔らかな感触が妻の胸だと分かり、小十郎は悟った。
(今、俺はヒロイン名前の胸に抱き付いてんのか……!)
慌てて逃れようとしたが、ヒロイン名前の腕にがっちり捕らわれていて身動き出来ない。
「お、おい、ヒロイン名前……!」
背中を揺するが、一向に気付く気配はない。
「ん~……」
むしろ、自分を抱くことで安眠を得ているのか、むにゃむにゃ言いながら更に小十郎の頭を胸に押し当ててきた。
(柔らけえ……、じゃねえ!俺は、何やってんだ!)
起こさないよう何とか胸元から脱出してみると、妻の頭は枕より上の位置にあった。もしかすると、ヒロイン名前が自分を抱き締めたのかもしれない。
無意識下で赤ん坊のような行為をしたのだとすれば、自分はもう終わったと思うところだが、慌てるには早いのかもしれない。
小十郎は、安堵ともため息ともつかない吐息をついた。
すやすやと眠るヒロイン名前の胸元は、相変わらず規則正しく動いている。形のよいそれは小十郎のお気に入りで、いつかはその胸に抱かれて眠ってみたいと思っていた。
(思わぬ形で叶っちまったけどな)
腕の力が緩まったところで彼女を抱き寄せ、腕に収める。
「……じゅ、ろぉ?」
その時、ヒロイン名前が目を覚ました。
「悪い、起こしたか?」
「ううん、一度目覚ましてたから……」
胸に頬擦りする彼女に小さく笑い、額にキスした。
「ちっと早いが、先に起きるぜ。今夜は遅くなるから、ホワイトデーの返しは朝食でさせてもらう」
どこか慌てている風の小十郎。
ヒロイン名前は待ってと手を掴んだ。
「お返しなら、これがいい」
「ああ?って、おい!」
再び布団に引きずり込まれ、胸に抱き留められた。
頬に当たる柔らかな感触に、小十郎は赤面せずにはいられなかった。
「は、離せっ……!」
「やだ。何で、そんなに恥ずかしがるの?夜はあんなにがっつくくせに」
「そ、それとこれとは話がっ……!」
「一緒だよ。だから、いつでも全開で甘えてくれていいのよ?」
よしよしと頭を撫でられ背中をあやされるうち、遂に観念したのか小十郎は大人しくなった。
「……いいのか?こんな風に甘える俺でも。その……、幻滅したりしねえか?」
「しないよ」
ヒロイン名前は笑った。
「だって、どの小十郎も小十郎だもん」
髪を透く指が気持ちいい。
「……じゃあ、遠慮なく甘えさせてもらう」
頬擦りし、ヒロイン名前の匂いを吸い込む。
「いつもいつも、お疲れさま。甘えるかわいい小十郎が見れて、お腹いっぱい」
「何だそりゃ」
苦笑したが、悪い気はしない小十郎であった。
(了)