戦国bsr読み切り短編集
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夜九時を過ぎた頃、今日が付き合い始めてちょうど一年の記念日だったことを思い出した。
「……なーんか、いつもと変わんないよね」
「そうだな。それがどうした?」
「ううん、何でもない」
仕事終わりに、いつも通り小十郎の家に立ち寄ったヒロイン名前。
一緒に夕飯を作り、たわいもない話をし、まったりとした時間帯になった時、ふと今日が記念日だったことを思い出した。
忘れていた訳ではなく、単に今日がその日であると頭の中でイコールになっていなかっただけで。
「あたしって、淡白なのかも」
「……さっきからどうした?」
「ううん、何でもない」
経済書を読む小十郎の背中に寄りかかり、自分が読んでいたファッション雑誌をフローリングに置いた。
何かしたい訳じゃない。
何かして欲しい訳じゃない。
ただ、“記念日”という言葉が非日常を意識させただけだ。
なのに、そう思えば思うほどに、日常で終わらす“今日”がむなしく感じられた。
「そういや、今日だったか」
小十郎の背中が動いたので、全体重をかけていたヒロイン名前は頭からフローリングに落ちそうになった。寸前で小十郎がキャッチしてくれたので、頭を打つことはなかった。
「悪いな。大丈夫だったか?」
そのまま膝の上に乗せられ、上から覗かれる。
「……ずるい」
「何がだ?」
「今のは、あたしが勝手に寄りかかってたのよ?頭打ってたら次から気を付けようってなるかもしれないのに……」
これでは、守ってもらうのが当たり前になってしまう。
言いかけて言葉を飲み込んだ。
次の瞬間だった。
小十郎の顔が近付いたかと思ったら、唇を塞がれていた。
「なっ……!」
「お前を守るのが、俺の役目だろ?」
ニヤリと笑う恋人に、ヒロイン名前は前触れなく触れ合った唇をわなわなさせた。
「あ、あの、何、なっ……!?」
「一年経ったな」
「っ、覚えて……」
「当たり前だろ。キスの日にちなんで、お前を守るってその唇に約束したじゃねえか」
覚えてないのかと、逆に呆れられた。
「淡白なのは当たってるかもな」
「うっ、ごめん……」
「構わねえよ」
前髪を撫で、額にも唇を落とす。
「これからの一年も、またお前を守る」
また触れた優しい唇に、ヒロイン名前の涙腺は止まらなかった。
(了)
「……なーんか、いつもと変わんないよね」
「そうだな。それがどうした?」
「ううん、何でもない」
仕事終わりに、いつも通り小十郎の家に立ち寄ったヒロイン名前。
一緒に夕飯を作り、たわいもない話をし、まったりとした時間帯になった時、ふと今日が記念日だったことを思い出した。
忘れていた訳ではなく、単に今日がその日であると頭の中でイコールになっていなかっただけで。
「あたしって、淡白なのかも」
「……さっきからどうした?」
「ううん、何でもない」
経済書を読む小十郎の背中に寄りかかり、自分が読んでいたファッション雑誌をフローリングに置いた。
何かしたい訳じゃない。
何かして欲しい訳じゃない。
ただ、“記念日”という言葉が非日常を意識させただけだ。
なのに、そう思えば思うほどに、日常で終わらす“今日”がむなしく感じられた。
「そういや、今日だったか」
小十郎の背中が動いたので、全体重をかけていたヒロイン名前は頭からフローリングに落ちそうになった。寸前で小十郎がキャッチしてくれたので、頭を打つことはなかった。
「悪いな。大丈夫だったか?」
そのまま膝の上に乗せられ、上から覗かれる。
「……ずるい」
「何がだ?」
「今のは、あたしが勝手に寄りかかってたのよ?頭打ってたら次から気を付けようってなるかもしれないのに……」
これでは、守ってもらうのが当たり前になってしまう。
言いかけて言葉を飲み込んだ。
次の瞬間だった。
小十郎の顔が近付いたかと思ったら、唇を塞がれていた。
「なっ……!」
「お前を守るのが、俺の役目だろ?」
ニヤリと笑う恋人に、ヒロイン名前は前触れなく触れ合った唇をわなわなさせた。
「あ、あの、何、なっ……!?」
「一年経ったな」
「っ、覚えて……」
「当たり前だろ。キスの日にちなんで、お前を守るってその唇に約束したじゃねえか」
覚えてないのかと、逆に呆れられた。
「淡白なのは当たってるかもな」
「うっ、ごめん……」
「構わねえよ」
前髪を撫で、額にも唇を落とす。
「これからの一年も、またお前を守る」
また触れた優しい唇に、ヒロイン名前の涙腺は止まらなかった。
(了)