戦国bsr読み切り短編集
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ヒロイン名前が、政宗のもとに嫁いだのは齢十二。
「ヒロイン名前と申します。どうぞ、よしなに」
四つ指をついて上げた顔に、家臣たちは愛くるしいだの美しいだのと称賛の声を上げた。
ヒロイン名前は、頬を染めながら内心では賛美を当たり前のように受け取った。
(当然よ。この美しさは、生まれ持った天性のものよ)
が、この自信は直後に崩壊する。
「げ」
初めて相対した夫・政宗の、男子とは思えぬ美貌への驚愕であった。
「……なんだ?」
「今、ヒロイン名前姫から蛙を潰したような声が……」
まずい、まずすぎる。
微笑んだまま、何とかせねばと頭を働かせていると。
「Sorry」
先に口を開いたのは、政宗であった。
「さっきまで小十郎と稽古してたんでな。ケツにのしガエルがついてやがった」
「な、なんと……」
「政宗さまは、まだまだやんちゃでござるな」
家臣たちは、皆笑いあった。
(助けて下さった……)
ヒロイン名前は、隣の夫をちらと見た。
目が合った瞬間、政宗は口の端を上げた。
「貸しにしといてやるぜ」
ぼそりと言われた言葉に、ヒロイン名前は唖然となった。
初夜。
寝床につく前に、ヒロイン名前はしおらしく四つ指をついてみせた。
「いい加減、しおらしいフリは止めな」
言葉を発するより先に、またしても政宗から先制攻撃を喰らった。
「……ふりだなんて、どういうことにございましょう?」
「そのまんまの意味だ」
ヒロイン名前は、顔で笑い心で舌打ちした。
先ほど以外で、自分の本性をさらけだす危険は犯していない。なのに、何故政宗はしおらしさが演技だと分かったのだろう。
「何で分かったかってツラしてるな」
鼻で笑うしぐさですら、十三とは思えぬ色っぽさだ。
(わたしより美しいなんて!)
ヒロイン名前の嫉妬心はますます燃え上がった。
「何でか教えてやるよ」
政宗がにじり寄ってきた。
「ち、近うございます!」
「オレたちは夫婦じゃねぇか、you see?」
後退りしたが、もはや背後には襖しかなかった。
「オレが、アンタを事前に調べさせたんだよ」
「何のためでございますか?」
一瞬の沈黙後、政宗はこう言った。
「アンタの顔が、オレのtypeだったんでな」
少しためらいがちな艶声に、ヒロイン名前は目をしばたかせた。
「ようは、アンタに惚れてるってこった。だからアンタのことが知りたくて、調べさせた」
自分より美しい政宗が、自分に惚れているとは。敗北感にさいなまれていた自尊心が、急激に満たされていくのを感じた。
「あ、あの……、でも、性格は……」
「ああ、おとなしいヤツだったら嫌だったんでな。オレは、気の強い女が好きなんだ」
つまりは、全てが合格点ということになる。
口が緩みそうになるのを何とか抑え、ヒロイン名前は再び四つ指をついた。
「改めて、よろしゅうお願いしますわ。喧嘩もたくさんいたしましょう。私、取っ組み合いの喧嘩では誰にも負けたことありませんの」
そして、不敵に笑ってみせた。
「……いい度胸だ。天下を狙うこの独眼竜のwifeにふさわしいcharacterだぜ」
そして二人は、どちらからともなく口付けを交わし夫婦の第一歩を踏み出したのだった。
口付けしたまま、政宗が夜着を脱がし始めた。
「ま、政宗さ……っ」
「ちゃんとリードしてやるから、安心しな。独眼竜の手練手管、堪能しな」
「……お待ち下さいまし」
はしと手を掴んだ。
「政宗さま、初めてではないのですか?」
すると、政宗は当たり前と言わんばかりに頷いた。
「破廉恥!!」
ヒロイン名前は、政宗の胸ぐらを掴み大外刈りで夫を投げ飛ばした。
「しばらく、夜は別にさせて頂きます!」
足早に出ていく妻を、政宗はひっくり返ったまま呆然と見送った。
「……どうりで、ケンカが強ぇハズだぜ」
(了)
「ヒロイン名前と申します。どうぞ、よしなに」
四つ指をついて上げた顔に、家臣たちは愛くるしいだの美しいだのと称賛の声を上げた。
ヒロイン名前は、頬を染めながら内心では賛美を当たり前のように受け取った。
(当然よ。この美しさは、生まれ持った天性のものよ)
が、この自信は直後に崩壊する。
「げ」
初めて相対した夫・政宗の、男子とは思えぬ美貌への驚愕であった。
「……なんだ?」
「今、ヒロイン名前姫から蛙を潰したような声が……」
まずい、まずすぎる。
微笑んだまま、何とかせねばと頭を働かせていると。
「Sorry」
先に口を開いたのは、政宗であった。
「さっきまで小十郎と稽古してたんでな。ケツにのしガエルがついてやがった」
「な、なんと……」
「政宗さまは、まだまだやんちゃでござるな」
家臣たちは、皆笑いあった。
(助けて下さった……)
ヒロイン名前は、隣の夫をちらと見た。
目が合った瞬間、政宗は口の端を上げた。
「貸しにしといてやるぜ」
ぼそりと言われた言葉に、ヒロイン名前は唖然となった。
初夜。
寝床につく前に、ヒロイン名前はしおらしく四つ指をついてみせた。
「いい加減、しおらしいフリは止めな」
言葉を発するより先に、またしても政宗から先制攻撃を喰らった。
「……ふりだなんて、どういうことにございましょう?」
「そのまんまの意味だ」
ヒロイン名前は、顔で笑い心で舌打ちした。
先ほど以外で、自分の本性をさらけだす危険は犯していない。なのに、何故政宗はしおらしさが演技だと分かったのだろう。
「何で分かったかってツラしてるな」
鼻で笑うしぐさですら、十三とは思えぬ色っぽさだ。
(わたしより美しいなんて!)
ヒロイン名前の嫉妬心はますます燃え上がった。
「何でか教えてやるよ」
政宗がにじり寄ってきた。
「ち、近うございます!」
「オレたちは夫婦じゃねぇか、you see?」
後退りしたが、もはや背後には襖しかなかった。
「オレが、アンタを事前に調べさせたんだよ」
「何のためでございますか?」
一瞬の沈黙後、政宗はこう言った。
「アンタの顔が、オレのtypeだったんでな」
少しためらいがちな艶声に、ヒロイン名前は目をしばたかせた。
「ようは、アンタに惚れてるってこった。だからアンタのことが知りたくて、調べさせた」
自分より美しい政宗が、自分に惚れているとは。敗北感にさいなまれていた自尊心が、急激に満たされていくのを感じた。
「あ、あの……、でも、性格は……」
「ああ、おとなしいヤツだったら嫌だったんでな。オレは、気の強い女が好きなんだ」
つまりは、全てが合格点ということになる。
口が緩みそうになるのを何とか抑え、ヒロイン名前は再び四つ指をついた。
「改めて、よろしゅうお願いしますわ。喧嘩もたくさんいたしましょう。私、取っ組み合いの喧嘩では誰にも負けたことありませんの」
そして、不敵に笑ってみせた。
「……いい度胸だ。天下を狙うこの独眼竜のwifeにふさわしいcharacterだぜ」
そして二人は、どちらからともなく口付けを交わし夫婦の第一歩を踏み出したのだった。
口付けしたまま、政宗が夜着を脱がし始めた。
「ま、政宗さ……っ」
「ちゃんとリードしてやるから、安心しな。独眼竜の手練手管、堪能しな」
「……お待ち下さいまし」
はしと手を掴んだ。
「政宗さま、初めてではないのですか?」
すると、政宗は当たり前と言わんばかりに頷いた。
「破廉恥!!」
ヒロイン名前は、政宗の胸ぐらを掴み大外刈りで夫を投げ飛ばした。
「しばらく、夜は別にさせて頂きます!」
足早に出ていく妻を、政宗はひっくり返ったまま呆然と見送った。
「……どうりで、ケンカが強ぇハズだぜ」
(了)