戦国bsr読み切り短編集
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ここ奥州には、よその国にはない行事がある。その名を、“ほわいとでー”と言う。
先月の2月14日に行われた“ばれんたいんでー”のお礼行事にあたり、先月とは逆にこの日は男性が女性に尽くすものだと政宗が言っていた。
ちなみに、先月のばれんたいんでーの日、小十郎は妻であるヒロイン名前から新しい陣羽織と着物を贈られた。
「何にしようか迷ったのですが、使える物が一番よろしいかと思いまして」
目の下にくまを作ってまでこの日に間に合わせてくれた彼女の気持ちが嬉しくて、この日年下の彼女にずっと甘えていたのは内緒の話である。
そして、ほわいとでー当日。
小十郎は政宗の許可を得、3月14日から三日間、ヒロイン名前と共に白石蔵王の温泉へ旅行に来ていた。
己が陣地で旅行かと政宗は肩をすくませたが、蔵王連峰を越えた先は敵国である。視察を兼ねてこその蔵王という背景に政宗は更に呆れたのだが、
「それでも嬉しいです。旅行、初めてですし。それに、旦那さまからのお返しには違いないですもの」
蔵王行きの理由を知っても、ヒロイン名前はにこにこ笑っていた。
「済まねえな。完全な休みじゃなくて」
「それは、こちらの言葉です。常に、わたしたち民のことを思って行動して下さるあなたさまや伊達の殿さまがいらっしゃるおかけで、わたしたちは安心して暮らせるのですから」
浮かれた色を引込め、武家の出らしい顔つきになる。
両親に大事に育てられたため若干世間体に疎いところはあるものの、心根は最初から伊達の気概を叩き込まれていて、見合いだったがこういうところに惚れたのだと小十郎は思った。
「ありがとうよ。そう言ってもらえると、気が楽になる。だが、お前まで気構えなくていいんだぜ?」
「……では、お言葉に甘えてゆっくりさせて頂きます」
はにかむ姿は、雪の下から春を告げる椿のようだ。
我が妻ながら美しいと、いつも惚れ惚れしてしまう。
「ヒロイン名前」
手を差し出す。
恥ずかしがりながらも、ヒロイン名前は小十郎の手を取り腕の中に収まった。
「……温かい。旦那さまの腕の中は、いつも温こうございます」
「お前もな」
甘えるように、ヒロイン名前は頬擦りした。
少しきつく抱き締めれば、ヒロイン名前の匂いが鼻をかすめ理性を揺り動かした。
「んっ……」
口付けを落とす。
鼻にかかった甘え声がたまらず、もっと啼かせたいと身体が疼く。
「あっ…!」
前触れなく着物の合わせを剥ぎ、白いうなじに軽く歯を立てる。ヒロイン名前の身体がびくりと震えるのを見て、小十郎は口角を上げた。
「ひ、人が来ますっ……!」
「安心しろ、三日間人払いしてある」
「だからって、急に御手を出されるなんてっ……」
「不意打ちでもしなけりゃ、お前啼かねえだろ?ここにいる間は、遠慮せず声出せよ」
尚も首を攻めれば、腕の中でヒロイン名前が更に身悶える。
「あんっ、跡がっ……」
「甘噛みだ、安心しろ」
「で、でも……」
涙目で恥じらう姿は、煽っているとしか思えない。
(まあ、まだついたばっかりだしな。楽しみは後に取っとくか)
首筋手前で唇を止めると、ヒロイン名前は小さく息をついた。
「……旦那さまは意地悪です」
「そうか?」
「攻めたかと思えば、……急に止めてしまわれるし」
「そうでもねえぜ」
ぺろ、と首筋を舐めれば、小さな悲鳴が上がった。
「じわじわいたぶるのが好きなだけだ」
後頭部に手を回し、強制的に視線を合わせる。
あと少しで唇が触れる直前で止め、ヒロイン名前の反応を楽しもうとした時。
「……やっぱり、意地悪です」
寸止めの唇が気に入らないのか、ヒロイン名前も小十郎の後頭部に腕を回し唇を押し当てた。
「……不意打ちは、どっちだ」
妻の珍しい積極的な態度に、耳まで赤くなるのを止められなかった。
(了)
先月の2月14日に行われた“ばれんたいんでー”のお礼行事にあたり、先月とは逆にこの日は男性が女性に尽くすものだと政宗が言っていた。
ちなみに、先月のばれんたいんでーの日、小十郎は妻であるヒロイン名前から新しい陣羽織と着物を贈られた。
「何にしようか迷ったのですが、使える物が一番よろしいかと思いまして」
目の下にくまを作ってまでこの日に間に合わせてくれた彼女の気持ちが嬉しくて、この日年下の彼女にずっと甘えていたのは内緒の話である。
そして、ほわいとでー当日。
小十郎は政宗の許可を得、3月14日から三日間、ヒロイン名前と共に白石蔵王の温泉へ旅行に来ていた。
己が陣地で旅行かと政宗は肩をすくませたが、蔵王連峰を越えた先は敵国である。視察を兼ねてこその蔵王という背景に政宗は更に呆れたのだが、
「それでも嬉しいです。旅行、初めてですし。それに、旦那さまからのお返しには違いないですもの」
蔵王行きの理由を知っても、ヒロイン名前はにこにこ笑っていた。
「済まねえな。完全な休みじゃなくて」
「それは、こちらの言葉です。常に、わたしたち民のことを思って行動して下さるあなたさまや伊達の殿さまがいらっしゃるおかけで、わたしたちは安心して暮らせるのですから」
浮かれた色を引込め、武家の出らしい顔つきになる。
両親に大事に育てられたため若干世間体に疎いところはあるものの、心根は最初から伊達の気概を叩き込まれていて、見合いだったがこういうところに惚れたのだと小十郎は思った。
「ありがとうよ。そう言ってもらえると、気が楽になる。だが、お前まで気構えなくていいんだぜ?」
「……では、お言葉に甘えてゆっくりさせて頂きます」
はにかむ姿は、雪の下から春を告げる椿のようだ。
我が妻ながら美しいと、いつも惚れ惚れしてしまう。
「ヒロイン名前」
手を差し出す。
恥ずかしがりながらも、ヒロイン名前は小十郎の手を取り腕の中に収まった。
「……温かい。旦那さまの腕の中は、いつも温こうございます」
「お前もな」
甘えるように、ヒロイン名前は頬擦りした。
少しきつく抱き締めれば、ヒロイン名前の匂いが鼻をかすめ理性を揺り動かした。
「んっ……」
口付けを落とす。
鼻にかかった甘え声がたまらず、もっと啼かせたいと身体が疼く。
「あっ…!」
前触れなく着物の合わせを剥ぎ、白いうなじに軽く歯を立てる。ヒロイン名前の身体がびくりと震えるのを見て、小十郎は口角を上げた。
「ひ、人が来ますっ……!」
「安心しろ、三日間人払いしてある」
「だからって、急に御手を出されるなんてっ……」
「不意打ちでもしなけりゃ、お前啼かねえだろ?ここにいる間は、遠慮せず声出せよ」
尚も首を攻めれば、腕の中でヒロイン名前が更に身悶える。
「あんっ、跡がっ……」
「甘噛みだ、安心しろ」
「で、でも……」
涙目で恥じらう姿は、煽っているとしか思えない。
(まあ、まだついたばっかりだしな。楽しみは後に取っとくか)
首筋手前で唇を止めると、ヒロイン名前は小さく息をついた。
「……旦那さまは意地悪です」
「そうか?」
「攻めたかと思えば、……急に止めてしまわれるし」
「そうでもねえぜ」
ぺろ、と首筋を舐めれば、小さな悲鳴が上がった。
「じわじわいたぶるのが好きなだけだ」
後頭部に手を回し、強制的に視線を合わせる。
あと少しで唇が触れる直前で止め、ヒロイン名前の反応を楽しもうとした時。
「……やっぱり、意地悪です」
寸止めの唇が気に入らないのか、ヒロイン名前も小十郎の後頭部に腕を回し唇を押し当てた。
「……不意打ちは、どっちだ」
妻の珍しい積極的な態度に、耳まで赤くなるのを止められなかった。
(了)