七夕に願いを
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出社すると、社内は短冊に何を書くかで盛り上がっていた。
(くだらない)
フンと一蹴したが、ふいに小学生の頃の出来事が頭をよぎった。
彼女と同じクラスだった小学一年の時のこと。
「明日は七夕です。今配った短冊に、願い事を書いて飾りましょうね」
クラス担任の言葉に皆楽しそうに短冊を手にする中、三成は一人短冊を手にしていなかった。
「どうしたの、三成くん?」
隣の席の幼馴染が顔をのぞいてきた。
「どうしたもなにもない、くだらないから書かないだけだ」
「くだらなくなんかないよ」
少女はむっとして言い返してきた。
「いちねんにいちど会うために、ひこぼしさまとおりひめさまは一生けんめいいいつけまもってるんだよ?」
「それこそ、じごうじとくというものだ」
「じごうじとく?」
意味が分からないと首をかしげる幼馴染に説明するのも面倒で、短冊を彼女に差し出した。
「やる」
「え、いいの?」
「どうせめいしんだ。わたしにはふようのちょうぶつだ」
「三成くんのいってること、むずかしいからよくわかんない」
「わからなくていい」
むーとうなったものの、少女は短冊を受け取った。
やがて、笹は短冊でいっぱいになり、担任が一人一人の願いを読み上げていった。
「次は石田くんね。なになに…、“みんなとすこしでもなかよくなれますように”。あら、すてきな願いね!」
「なっ!」
書いた覚えのない願い事。
「石田くんは少し恥ずかしがり屋さんだけど、みんなと仲良くしたいって思ってくれてたんだね。先生、なんだか嬉しいな」
自分が書いたのではないと叫びたかったが、それを聞いたクラスメイトたちの眼差しがおっかないものを見るそれから興味津々に変わっていて言えなくなってしまった。
「きさまっ……!」
怒りと恥ずかしさの代わりに隣の幼馴染を睨みつければ、少女は悪びれるどころかVサインをしてみせた。
「三成くん、いい子なんだもん。みんなにもっと三成くんのことしってもらいたから、わたしのお願いごと書いちゃった」
口をパクパクさせている間にホームルームは終わり、その直後三成はクラスメイトたちに囲まれたのだった。
あの出来事がきっかけで、三成は小学時代に得難い友人たちと出会うことが出来た。
彼女がああやって短冊を書いてくれなければ、そこから連なる中・高校時代も楽しめたかどうか定かではない。
(あの時の礼でもしてやるか)
デスクに配られていた短冊を拾う。
何を書いてやろうかと彼女を見ると、今日も家康と仲よさそうに話をしている。
嫉妬を隠しもせず家康をにらみつけ、三成は配られた短冊にある願い事をしたためた。
『あいつが家康の魔の手から守られますように』
礼ではなく自分の願い事をしたためたと、書いた後で気付いたが気にしないことにした。
(くだらない)
フンと一蹴したが、ふいに小学生の頃の出来事が頭をよぎった。
彼女と同じクラスだった小学一年の時のこと。
「明日は七夕です。今配った短冊に、願い事を書いて飾りましょうね」
クラス担任の言葉に皆楽しそうに短冊を手にする中、三成は一人短冊を手にしていなかった。
「どうしたの、三成くん?」
隣の席の幼馴染が顔をのぞいてきた。
「どうしたもなにもない、くだらないから書かないだけだ」
「くだらなくなんかないよ」
少女はむっとして言い返してきた。
「いちねんにいちど会うために、ひこぼしさまとおりひめさまは一生けんめいいいつけまもってるんだよ?」
「それこそ、じごうじとくというものだ」
「じごうじとく?」
意味が分からないと首をかしげる幼馴染に説明するのも面倒で、短冊を彼女に差し出した。
「やる」
「え、いいの?」
「どうせめいしんだ。わたしにはふようのちょうぶつだ」
「三成くんのいってること、むずかしいからよくわかんない」
「わからなくていい」
むーとうなったものの、少女は短冊を受け取った。
やがて、笹は短冊でいっぱいになり、担任が一人一人の願いを読み上げていった。
「次は石田くんね。なになに…、“みんなとすこしでもなかよくなれますように”。あら、すてきな願いね!」
「なっ!」
書いた覚えのない願い事。
「石田くんは少し恥ずかしがり屋さんだけど、みんなと仲良くしたいって思ってくれてたんだね。先生、なんだか嬉しいな」
自分が書いたのではないと叫びたかったが、それを聞いたクラスメイトたちの眼差しがおっかないものを見るそれから興味津々に変わっていて言えなくなってしまった。
「きさまっ……!」
怒りと恥ずかしさの代わりに隣の幼馴染を睨みつければ、少女は悪びれるどころかVサインをしてみせた。
「三成くん、いい子なんだもん。みんなにもっと三成くんのことしってもらいたから、わたしのお願いごと書いちゃった」
口をパクパクさせている間にホームルームは終わり、その直後三成はクラスメイトたちに囲まれたのだった。
あの出来事がきっかけで、三成は小学時代に得難い友人たちと出会うことが出来た。
彼女がああやって短冊を書いてくれなければ、そこから連なる中・高校時代も楽しめたかどうか定かではない。
(あの時の礼でもしてやるか)
デスクに配られていた短冊を拾う。
何を書いてやろうかと彼女を見ると、今日も家康と仲よさそうに話をしている。
嫉妬を隠しもせず家康をにらみつけ、三成は配られた短冊にある願い事をしたためた。
『あいつが家康の魔の手から守られますように』
礼ではなく自分の願い事をしたためたと、書いた後で気付いたが気にしないことにした。