お弁当と告白
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プロポーズまがいの告白を受けたのは昨年のこと。
まずは、友達からというお決まり文句を、徳川くんは爽やかに受けてくれた。
“おかず交換ランチ”だけはしたいと言われ、年が明けてからもそれは続いている。
でも、このランチがきっかけで、人生初の“モテ期”とやらを体験することになるなんて、この時は思いもしなかった。
「やはりうまいな」
今日も、徳川くんはわたしのおかずを食べるなりそう呟いた。
「煮物なんて、誰でも出来るよ」
「いや、ワシはお前の味が好きなんだ」
さらりと殺し文句。
どれだけ恥ずかしいセリフ言ってるか、分かってるのかなこの人……!
「早く、この箱にお前のおかずが並んで欲しいものだ」
徳川くんが差し出したお弁当箱は、いつぞや一緒に買いに行ったもの。
二段重ねの細長いタイプで、和風な色合いが徳川くんらしい。
お弁当箱にあったきんぴらごぼうを遠慮なくつまめば、何だかわたしが作ったものに味が似てる気が。
「気付いたか?お前の味を再現してみたんだ」
あやうく、きんぴらが喉につまるとこだった。
「大丈夫か?」
差し出された番茶も、わたしが好んで使ってる銘柄で。
「……なんか、今日はもうお腹いっぱい」
顔が赤くなるのを止められなかった。
「なんだ、体調でも悪いのか?顔が赤いぞ」
「そうじゃなくてね。はぁ……」
ズズズとお茶をすすると、事務所のドアが開いた。
徳川くんにつられてドアの方を見れば、そこにいたのは幼なじみの三成だった。
「三成、お帰り」
「……ああ」
ちらとわたしを見て、三成はデスクにどかりと座った。
彼とは中学まで一緒で、彼が親の転勤で県外に行ってしまいそれ以来の再会だったから、まさか同じ会社だったなんて、彼が先月異動してきて初めて知った事実だった。
ちなみに、徳川くんは三成と旧知の仲らしく、三成の異動を心から喜んでいた。
三成は嫌そうにしてたけど、まんざらじゃなさそうだったから、二人は仲がいいのだろう。
「今日も飯を食わないのか?」
異動してきたばかりで色々大変なのか、三成は昼休憩もずっと仕事をしている。
「食わなければ倒れるぞ、三成」
「黙れ、貴様に構っている暇はない」
そうは言っても、昨日も食べてなかったし。
まあ、食べないとか、三成は昔っからだけど。
「はい、これなら食べながら仕事でしょ」
だから、ラップにくるんだおにぎりを渡した。
「……感謝する」
小さく言われた言葉に、片手をあげて答えた。
「妬けるな」
席に戻れば、徳川くんが何故か不機嫌な様子。
「ワシも、握り飯が欲しいぞ」
「おかず、散々食べたじゃない」
言い終えるや、三成が派手に立ち上がった。
「……やはり、そうか!」
え、何で三成怒ってるの?
「家康ぅ!貴様、どんな姑息な手を使った!しかも、私の気持ちを知りながら彼女に近付くとは!」
「三成、ワシは姑息な手など使っていない。お前がずっと想っていた女(ひと)だと知っていたが、彼女だから惚れたんだ。だから、真正面から堂々と言った。おかずを交換したいとな」
あのー……、話が見えないんですけど……。
ぽかんとするわたしを放って、徳川くんと三成は対峙した。
「私が彼女をずっと想ってきたのを知りながら、何故彼女に手を出した!」
「仕方ない。それだけ、彼女が魅力的だったからだ。それに、まだ手は出していない」
「同じことだ!……社内に幼なじみがいるなどと、貴様になど話さなければ良かった!」
「生憎だが、お前から聞いていなくても、ワシは間違いなく彼女に惚れていた」
……………………一体全体何が起きてるの??
すると、二人が同時にこちらに振り向いた。
「こちらに来い。今後、家康に昼げを渡すことを一切許可しない!貴様を幸せにするのはこの私だ!」
「昼飯の続きとしよう。お前との昼げは、ワシの癒しなんだ。だから、1日も早くワシの隣にいて欲しい」
「どさくさに紛れて求婚すりな、家康!」
「求婚なら、既に一度しているぞ?」
「い、家康ぅぅう!!」
……えっと、わたし、今二人から「付き合って下さい」って言われたのかな??
頭がチカチカして、全くもって正常な判断が出来かねてるんですが。
「どちらを選ぶんだ!」
ずいと詰め寄る三成。
「それでは、彼女が怯えてしまう」
さりげなく、三成の前に立つ徳川くん。
さあ、どっちだ?と迫られ、わたしはあたふたしながら一つの答えを出した。
「あ、あの……、今はお昼食べな、きゃ……。ね?」
お弁当箱を持てば、徳川くんは笑いだし、三成はショックな顔をして後ずさった。
「最もだ!今は昼飯が一番だ。三成、これから正々堂々勝負しよう」
「……貴様が私に勝つ見込みなど、万に一つもない」
そう言い終えた二人は、わたしを挟む格好で昼ご飯を食べ始めた。
わたしのお弁当箱はあっという間に空になったのは言うまでもない。
まずは、友達からというお決まり文句を、徳川くんは爽やかに受けてくれた。
“おかず交換ランチ”だけはしたいと言われ、年が明けてからもそれは続いている。
でも、このランチがきっかけで、人生初の“モテ期”とやらを体験することになるなんて、この時は思いもしなかった。
「やはりうまいな」
今日も、徳川くんはわたしのおかずを食べるなりそう呟いた。
「煮物なんて、誰でも出来るよ」
「いや、ワシはお前の味が好きなんだ」
さらりと殺し文句。
どれだけ恥ずかしいセリフ言ってるか、分かってるのかなこの人……!
「早く、この箱にお前のおかずが並んで欲しいものだ」
徳川くんが差し出したお弁当箱は、いつぞや一緒に買いに行ったもの。
二段重ねの細長いタイプで、和風な色合いが徳川くんらしい。
お弁当箱にあったきんぴらごぼうを遠慮なくつまめば、何だかわたしが作ったものに味が似てる気が。
「気付いたか?お前の味を再現してみたんだ」
あやうく、きんぴらが喉につまるとこだった。
「大丈夫か?」
差し出された番茶も、わたしが好んで使ってる銘柄で。
「……なんか、今日はもうお腹いっぱい」
顔が赤くなるのを止められなかった。
「なんだ、体調でも悪いのか?顔が赤いぞ」
「そうじゃなくてね。はぁ……」
ズズズとお茶をすすると、事務所のドアが開いた。
徳川くんにつられてドアの方を見れば、そこにいたのは幼なじみの三成だった。
「三成、お帰り」
「……ああ」
ちらとわたしを見て、三成はデスクにどかりと座った。
彼とは中学まで一緒で、彼が親の転勤で県外に行ってしまいそれ以来の再会だったから、まさか同じ会社だったなんて、彼が先月異動してきて初めて知った事実だった。
ちなみに、徳川くんは三成と旧知の仲らしく、三成の異動を心から喜んでいた。
三成は嫌そうにしてたけど、まんざらじゃなさそうだったから、二人は仲がいいのだろう。
「今日も飯を食わないのか?」
異動してきたばかりで色々大変なのか、三成は昼休憩もずっと仕事をしている。
「食わなければ倒れるぞ、三成」
「黙れ、貴様に構っている暇はない」
そうは言っても、昨日も食べてなかったし。
まあ、食べないとか、三成は昔っからだけど。
「はい、これなら食べながら仕事でしょ」
だから、ラップにくるんだおにぎりを渡した。
「……感謝する」
小さく言われた言葉に、片手をあげて答えた。
「妬けるな」
席に戻れば、徳川くんが何故か不機嫌な様子。
「ワシも、握り飯が欲しいぞ」
「おかず、散々食べたじゃない」
言い終えるや、三成が派手に立ち上がった。
「……やはり、そうか!」
え、何で三成怒ってるの?
「家康ぅ!貴様、どんな姑息な手を使った!しかも、私の気持ちを知りながら彼女に近付くとは!」
「三成、ワシは姑息な手など使っていない。お前がずっと想っていた女(ひと)だと知っていたが、彼女だから惚れたんだ。だから、真正面から堂々と言った。おかずを交換したいとな」
あのー……、話が見えないんですけど……。
ぽかんとするわたしを放って、徳川くんと三成は対峙した。
「私が彼女をずっと想ってきたのを知りながら、何故彼女に手を出した!」
「仕方ない。それだけ、彼女が魅力的だったからだ。それに、まだ手は出していない」
「同じことだ!……社内に幼なじみがいるなどと、貴様になど話さなければ良かった!」
「生憎だが、お前から聞いていなくても、ワシは間違いなく彼女に惚れていた」
……………………一体全体何が起きてるの??
すると、二人が同時にこちらに振り向いた。
「こちらに来い。今後、家康に昼げを渡すことを一切許可しない!貴様を幸せにするのはこの私だ!」
「昼飯の続きとしよう。お前との昼げは、ワシの癒しなんだ。だから、1日も早くワシの隣にいて欲しい」
「どさくさに紛れて求婚すりな、家康!」
「求婚なら、既に一度しているぞ?」
「い、家康ぅぅう!!」
……えっと、わたし、今二人から「付き合って下さい」って言われたのかな??
頭がチカチカして、全くもって正常な判断が出来かねてるんですが。
「どちらを選ぶんだ!」
ずいと詰め寄る三成。
「それでは、彼女が怯えてしまう」
さりげなく、三成の前に立つ徳川くん。
さあ、どっちだ?と迫られ、わたしはあたふたしながら一つの答えを出した。
「あ、あの……、今はお昼食べな、きゃ……。ね?」
お弁当箱を持てば、徳川くんは笑いだし、三成はショックな顔をして後ずさった。
「最もだ!今は昼飯が一番だ。三成、これから正々堂々勝負しよう」
「……貴様が私に勝つ見込みなど、万に一つもない」
そう言い終えた二人は、わたしを挟む格好で昼ご飯を食べ始めた。
わたしのお弁当箱はあっという間に空になったのは言うまでもない。