キミとの再会
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トリオン量が原因でネイバーフッドに攫われた人間は数多くいる。勇もその一人ということなのだろう。
「フローで、私はトリオンを酷使される日々を送りました。生かしてやったのだから、せめて星の役に立て、と」
このまま酷使され続ければ、自分はいずれ死ぬだろうと思った。だが、こんなところで死にたくない、地球に帰りたい。その思いだけが、勇の生きるよすがだった。
「あの苦しい日々で、私を助けてくれたのはお兄が教えてくれた瞑想でした」
心をフラットにしてくれる瞑想。何かあるたび、勇は瞑想をした。すると、心が凪のように落ち着いていったのだという。
「それを繰り返しているうち、自分の中にあるいらないものがそぎ落とされていって、自然と集合意識に繋がれるようになったんです」
その領域があらゆる人の意識が繋がっていることを知り、勇はすぐに家族を探した。けれど、どんなに探しても誰も見つからなかった。
そして、生きているのは自分だけと知った時、勇はあるサイドエフェクトを開花させた。
「フローの者たちは、それを“神の力”などと言っていました」
「サイドエフェクト? 人が簡単に開花できるものなのか」
「ああ、何かで聞いたことがある。自分が持っている本来の力は、常識とか価値観とか不要な知識、意識が邪魔をしてるせいで使えないそうですよ。それで?」
唐沢が、やや前のめりになった。
「君があっちの生活でいらない自我を削ぎ落としたことで使えるようになった、その“神の力”というのはどういうものなのかな」
「トリオンの、自動回復です」
「……そんなことが可能なのか」
本部・司令部。
集まった上層部は、にわかに信じがたいという表情を浮かべていた。
「どうなの、鬼怒田さん」
「トリオンは日本で言う“気”と同じようなものだ。そう考えれば、理論上は可能だ。スポーツで、応援1つで急激に身体能力を上げる者がいるようにな」
「火事場の馬鹿力みたいなもんですかね」
「まあ、そういうことだ」
「しかし、それと地球が危機というのと、何が関係しているのだ」
城戸が訝しんだ。
「暴走したマザーが彼女を捕まえたら、無限にトリオンを吸収し続けながら暴れられるということです」
「なるほど……」
唐沢が、新しい煙草に火をつけた。
「つまり、彼女を地球から逃すか、狂ったマザートリガーを破壊するか選ばないと我々が危ないということです。……あるいは、」
ふっと煙を吐いた。
「彼女を殺すか」
「こ、殺……」
「ああ、言い方が剣呑でしたね。ですが、逃したところでまた地球に戻られては面倒だ。面倒ごとの芽は、早めに摘んでおくに限る」
「迅、お前の視る未来ではどうなっている」
唐沢の言葉を聞いて、城戸が尋ねた。
「残念ながら、地球防衛戦の未来一択だよ」
「やはり、そうか……」
鬼怒田は頭を抱えた。
「どのみち、彼女が来ても来なくても、ガロプラと同盟を結んだ時点でアフト絡みの何かとドンパチする未来は視えていた。彼女が現れたことで、襲ってくる敵がはっきりしたってだけ。本来、遠征に同行するはずだった忍田さんに残ってもらったのも、これが原因ってことだよ」
ちなみに、遠征の引率は玉狛支部長・林藤が代わって同行している。
「だが、捕虜の話ではフローティングという国とアフトクラトルとは関係がないように聞こえるが」
「戦争する側の口実など、いくらでもこじつけられますよ」
唐沢の冷静な声に、唐沢以外の全員が頷いた。
「始末するかどうかは、一旦保留だ。トリオン量が多い者は、こちらとしても手駒として欲しい。迅、捕虜が使える者かどうか確認しろ」
こうして、勇は自身の意志とは関係なくボーダーお預かりの身となることが決まった。
「フローで、私はトリオンを酷使される日々を送りました。生かしてやったのだから、せめて星の役に立て、と」
このまま酷使され続ければ、自分はいずれ死ぬだろうと思った。だが、こんなところで死にたくない、地球に帰りたい。その思いだけが、勇の生きるよすがだった。
「あの苦しい日々で、私を助けてくれたのはお兄が教えてくれた瞑想でした」
心をフラットにしてくれる瞑想。何かあるたび、勇は瞑想をした。すると、心が凪のように落ち着いていったのだという。
「それを繰り返しているうち、自分の中にあるいらないものがそぎ落とされていって、自然と集合意識に繋がれるようになったんです」
その領域があらゆる人の意識が繋がっていることを知り、勇はすぐに家族を探した。けれど、どんなに探しても誰も見つからなかった。
そして、生きているのは自分だけと知った時、勇はあるサイドエフェクトを開花させた。
「フローの者たちは、それを“神の力”などと言っていました」
「サイドエフェクト? 人が簡単に開花できるものなのか」
「ああ、何かで聞いたことがある。自分が持っている本来の力は、常識とか価値観とか不要な知識、意識が邪魔をしてるせいで使えないそうですよ。それで?」
唐沢が、やや前のめりになった。
「君があっちの生活でいらない自我を削ぎ落としたことで使えるようになった、その“神の力”というのはどういうものなのかな」
「トリオンの、自動回復です」
「……そんなことが可能なのか」
本部・司令部。
集まった上層部は、にわかに信じがたいという表情を浮かべていた。
「どうなの、鬼怒田さん」
「トリオンは日本で言う“気”と同じようなものだ。そう考えれば、理論上は可能だ。スポーツで、応援1つで急激に身体能力を上げる者がいるようにな」
「火事場の馬鹿力みたいなもんですかね」
「まあ、そういうことだ」
「しかし、それと地球が危機というのと、何が関係しているのだ」
城戸が訝しんだ。
「暴走したマザーが彼女を捕まえたら、無限にトリオンを吸収し続けながら暴れられるということです」
「なるほど……」
唐沢が、新しい煙草に火をつけた。
「つまり、彼女を地球から逃すか、狂ったマザートリガーを破壊するか選ばないと我々が危ないということです。……あるいは、」
ふっと煙を吐いた。
「彼女を殺すか」
「こ、殺……」
「ああ、言い方が剣呑でしたね。ですが、逃したところでまた地球に戻られては面倒だ。面倒ごとの芽は、早めに摘んでおくに限る」
「迅、お前の視る未来ではどうなっている」
唐沢の言葉を聞いて、城戸が尋ねた。
「残念ながら、地球防衛戦の未来一択だよ」
「やはり、そうか……」
鬼怒田は頭を抱えた。
「どのみち、彼女が来ても来なくても、ガロプラと同盟を結んだ時点でアフト絡みの何かとドンパチする未来は視えていた。彼女が現れたことで、襲ってくる敵がはっきりしたってだけ。本来、遠征に同行するはずだった忍田さんに残ってもらったのも、これが原因ってことだよ」
ちなみに、遠征の引率は玉狛支部長・林藤が代わって同行している。
「だが、捕虜の話ではフローティングという国とアフトクラトルとは関係がないように聞こえるが」
「戦争する側の口実など、いくらでもこじつけられますよ」
唐沢の冷静な声に、唐沢以外の全員が頷いた。
「始末するかどうかは、一旦保留だ。トリオン量が多い者は、こちらとしても手駒として欲しい。迅、捕虜が使える者かどうか確認しろ」
こうして、勇は自身の意志とは関係なくボーダーお預かりの身となることが決まった。