キミとの再会
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「やはり、とはどういうことだ」
忍田が訝しんだ。
「集合意識に、兄がいませんから」
「集合意識? 全員の意識が繋がっていると言う例のアレのことか?」
「はい」
勇は、淡々と答えた。
「生きていれば、人はどこにいても意識がそこで繋がっています。でも、兄も、……両親も、祖父母も、そこに意識が存在しなかった。私があちらにいる間に意識が消えてしまった」
だから死んだと分かったと、ぽつり呟いた。
「今言った、“あちら”というのはどういうことかな」
唐沢がすかさず核心に触れる。
「私は、ネイバーに攫われました。そこからは、望む望まざるに関わらず、そこで生きるしかなかった」
「それはつまり、君はしばらくの間ネイバーフッドの住人だったということか」
忍田は表情を変えず、勇を注意深く観察し続けた。
「はい。私がいたのは、フローティングという名前の国でした」
「フローティング? 聞いたとねえな」
尋問室の外にいる諏訪が一人ごちた。
早朝に行われた隊長会議で、ネイバーフッド、そして乱星国家について各隊長経由で隊員たちに通達が出されていた。
「向こうから帰って来るなんて、本当に出来るのかよ」
柿崎が、信じられないとばかりの表情を浮かべた。
「帰ってきた理由が気になるところだがな」
諏訪が、マジックミラー越しに再び勇を見やった。
「ここからの話は、きっとボーダーに、……いえ、この国に、地球に関わることになる。だから、願わくば上の方にもお知らせください」
勇の表情が厳しくなる。
「どうか、私を解放してください。でなければ、地球が滅んでしまうかもしれない」
「……それで、逃がせとはどういうことだ」
城戸が険しい表情を浮かべた。
「自分がここにいると、地球の存続自体が危ういと言っていました」
そう言って、忍田は唐沢に取り寄せてもらった戸籍を覗き込んだ。
相馬勇。年齢は今年で20歳。
中学生の時ネイバーに攫われ、以降消息不明となっていた。
失踪宣告が終了する前なので、戸籍上ではまだ生存していることになっている。
「自分がここにいると地球が滅ぶとはどういうことだ」
「なんでも、彼女がいた国のマザートリガーが暴走し、そいつが星で最後に生き残った自分を追ってきているんだそうです」
「マザートリガーの暴走だと!?」
鬼怒田が色めき立った。
「捕虜いわく、誘拐後はフローティングとかいう乱星国家にいたそうだ。その国はマザートリガーと、それを制御する王が疑似夫婦のような形で治めていたらしい」
「人とトリガーが夫婦? なんとも奇天烈なところですな」
根付は、理解できないとばかりに素っ頓狂な声をあげた。
「……私は、本来ならアフトクラトルとか言うところに拉致されるはずでした」
勇の話は、尚も淡々と続いていた。
「ところが、フローティングがアフトの軌道近くを通りかかり、フローとアフトを繋ぐゲートに偶然吸い込まれたんです」
「それで、君はその乱星国家で暮らしていたのか」
「暮らす、だったかは分かりません」
淡々とした語り口調が、初めて揺らいだ。
「フローは、“人間”を忌み嫌う星でした。人間ほど下等で汚いくせに、思い通りに生き死にできる存在はいない、と。だから、星に人が流れ着いた場合、即処刑していたそうです」
だが、勇は生かされた。
「トリオンが理由か」
迅が言うと、勇は静かに頷いた。
忍田が訝しんだ。
「集合意識に、兄がいませんから」
「集合意識? 全員の意識が繋がっていると言う例のアレのことか?」
「はい」
勇は、淡々と答えた。
「生きていれば、人はどこにいても意識がそこで繋がっています。でも、兄も、……両親も、祖父母も、そこに意識が存在しなかった。私があちらにいる間に意識が消えてしまった」
だから死んだと分かったと、ぽつり呟いた。
「今言った、“あちら”というのはどういうことかな」
唐沢がすかさず核心に触れる。
「私は、ネイバーに攫われました。そこからは、望む望まざるに関わらず、そこで生きるしかなかった」
「それはつまり、君はしばらくの間ネイバーフッドの住人だったということか」
忍田は表情を変えず、勇を注意深く観察し続けた。
「はい。私がいたのは、フローティングという名前の国でした」
「フローティング? 聞いたとねえな」
尋問室の外にいる諏訪が一人ごちた。
早朝に行われた隊長会議で、ネイバーフッド、そして乱星国家について各隊長経由で隊員たちに通達が出されていた。
「向こうから帰って来るなんて、本当に出来るのかよ」
柿崎が、信じられないとばかりの表情を浮かべた。
「帰ってきた理由が気になるところだがな」
諏訪が、マジックミラー越しに再び勇を見やった。
「ここからの話は、きっとボーダーに、……いえ、この国に、地球に関わることになる。だから、願わくば上の方にもお知らせください」
勇の表情が厳しくなる。
「どうか、私を解放してください。でなければ、地球が滅んでしまうかもしれない」
「……それで、逃がせとはどういうことだ」
城戸が険しい表情を浮かべた。
「自分がここにいると、地球の存続自体が危ういと言っていました」
そう言って、忍田は唐沢に取り寄せてもらった戸籍を覗き込んだ。
相馬勇。年齢は今年で20歳。
中学生の時ネイバーに攫われ、以降消息不明となっていた。
失踪宣告が終了する前なので、戸籍上ではまだ生存していることになっている。
「自分がここにいると地球が滅ぶとはどういうことだ」
「なんでも、彼女がいた国のマザートリガーが暴走し、そいつが星で最後に生き残った自分を追ってきているんだそうです」
「マザートリガーの暴走だと!?」
鬼怒田が色めき立った。
「捕虜いわく、誘拐後はフローティングとかいう乱星国家にいたそうだ。その国はマザートリガーと、それを制御する王が疑似夫婦のような形で治めていたらしい」
「人とトリガーが夫婦? なんとも奇天烈なところですな」
根付は、理解できないとばかりに素っ頓狂な声をあげた。
「……私は、本来ならアフトクラトルとか言うところに拉致されるはずでした」
勇の話は、尚も淡々と続いていた。
「ところが、フローティングがアフトの軌道近くを通りかかり、フローとアフトを繋ぐゲートに偶然吸い込まれたんです」
「それで、君はその乱星国家で暮らしていたのか」
「暮らす、だったかは分かりません」
淡々とした語り口調が、初めて揺らいだ。
「フローは、“人間”を忌み嫌う星でした。人間ほど下等で汚いくせに、思い通りに生き死にできる存在はいない、と。だから、星に人が流れ着いた場合、即処刑していたそうです」
だが、勇は生かされた。
「トリオンが理由か」
迅が言うと、勇は静かに頷いた。