キミとの再会
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やはり、勇はネイバーに狙われていることが判明し、健悟はすぐにボーダーに入隊を決めた。
そして、勇もまたボーダーに入隊する予定だった。
“予定”で終わったのは、彼女がほどなくして行方不明になったからだ。おそらくネイバーにさらわれたものと見られている。今までの行方不明者同様、最後にいたと思われる場所に彼女の私物と見られるものが落ちていたことから推察された。
皮肉なことに、その私物を最初に見つけたのは健悟と、その日彼とペアを組んで街を巡回していた迅であった。
妹を守るためにボーダーに入隊したのに、妹はネイバーに連れ去られてしまった。このことが、健悟の思想を大きく変えてしまった。ネイバーは“完全に排除する対象”としてとらえるようになったのである。
そして、その後起こったアリステラ攻防戦において、健悟のその考えはある形で具現化する。
自身のブラックトリガー化だ。
彼は、攻防戦で己の命が持たないことを知るや、躊躇なく自身をブラックトリガーにした。
『俺が死んでも、あいつらをみんな殺してくれよ』
健悟は、よくそんな話をしていた。
その結果がブラックトリガーであることに、生き残った者たちはやるせなさを隠せなかった。
悲しみに暮れる暇なく、その半年後には第一次近界民侵攻が起こった。死者、行方不明者合わせて1,600人以上。旧東三門は壊滅に追いやられ、健悟と勇の両親、祖父母も犠牲となった。
「……なるほど、では彼女が相馬勇であることを証明できる人間はこの世に誰もいないと言うことですね」
本部会議。唐沢が言った。
「ああ。相馬の三門に住む家族は、先の第一次近界民侵攻で全員犠牲となっている。親類はいるだろうが、現段階では見つかっていない」
「つまり、偽装することは十分可能ですね。そういった人間の情報を利用するのは、潜入捜査の基本です」
手を当て、たばこの煙を下に吐いた。
「だが、はなから否定するのもよくないと思うがね。本当だった場合、得られるはずだったうまみをみすみす取り逃がすことになるのだから」
「おや、慎重派の根付さんにしては珍しいですね」
「迅の予知では、彼女はシロだ。だが、私も偽装の線は十分考え得ることだと思う」
「本部長の意見は分かった。では、こうしよう。相馬健悟のことを伝える体で彼女を尋問し真意を問いただす。尋問は、本部長、唐沢くん両名で行え」
「顔見知りがいた方が話がしやすいでしょうから、迅を同席させましょう」
「いいだろう。忍田くん、迅に通達しておくように」
かくして、勇の回復を待って尋問が行われることとなった。
尋問が行われたのは、それから一週間後のことであった。
「名前は?」
「相馬勇です」
勇は、聞かれたことに間髪入れずに答えていった。
尋問室の外には、万が一にそなえ非番の諏訪、堤、柿崎の3名が武装状態で待機している。
ちなみに、この3名は“幹部候補生”であり、のちに幹部としてボーダーを下支えしていくことになる。今回招集されたのも、こういった事情があるからなのだが、本人たちは幹部候補生であることさえ知らないまま事に当たっているとは余談である。
「ところで、これを覚えているか」
忍田が取り出したものを見て、勇は顔色を変えた。
「これっ……!」
「失踪当時、君が持っていたという私物だ。覚えているか?」
「はい。これ、中学の入学祝に兄がくれたペンケースです! あの、兄は、兄は今どこにいますか?」
忍田は、ほんの少し間を置き静かに言った。
「……お兄さんは、亡くなった」
「……やはり、そうでしたか」
居合わせた3人は、勇の言葉に驚いた。
そして、勇もまたボーダーに入隊する予定だった。
“予定”で終わったのは、彼女がほどなくして行方不明になったからだ。おそらくネイバーにさらわれたものと見られている。今までの行方不明者同様、最後にいたと思われる場所に彼女の私物と見られるものが落ちていたことから推察された。
皮肉なことに、その私物を最初に見つけたのは健悟と、その日彼とペアを組んで街を巡回していた迅であった。
妹を守るためにボーダーに入隊したのに、妹はネイバーに連れ去られてしまった。このことが、健悟の思想を大きく変えてしまった。ネイバーは“完全に排除する対象”としてとらえるようになったのである。
そして、その後起こったアリステラ攻防戦において、健悟のその考えはある形で具現化する。
自身のブラックトリガー化だ。
彼は、攻防戦で己の命が持たないことを知るや、躊躇なく自身をブラックトリガーにした。
『俺が死んでも、あいつらをみんな殺してくれよ』
健悟は、よくそんな話をしていた。
その結果がブラックトリガーであることに、生き残った者たちはやるせなさを隠せなかった。
悲しみに暮れる暇なく、その半年後には第一次近界民侵攻が起こった。死者、行方不明者合わせて1,600人以上。旧東三門は壊滅に追いやられ、健悟と勇の両親、祖父母も犠牲となった。
「……なるほど、では彼女が相馬勇であることを証明できる人間はこの世に誰もいないと言うことですね」
本部会議。唐沢が言った。
「ああ。相馬の三門に住む家族は、先の第一次近界民侵攻で全員犠牲となっている。親類はいるだろうが、現段階では見つかっていない」
「つまり、偽装することは十分可能ですね。そういった人間の情報を利用するのは、潜入捜査の基本です」
手を当て、たばこの煙を下に吐いた。
「だが、はなから否定するのもよくないと思うがね。本当だった場合、得られるはずだったうまみをみすみす取り逃がすことになるのだから」
「おや、慎重派の根付さんにしては珍しいですね」
「迅の予知では、彼女はシロだ。だが、私も偽装の線は十分考え得ることだと思う」
「本部長の意見は分かった。では、こうしよう。相馬健悟のことを伝える体で彼女を尋問し真意を問いただす。尋問は、本部長、唐沢くん両名で行え」
「顔見知りがいた方が話がしやすいでしょうから、迅を同席させましょう」
「いいだろう。忍田くん、迅に通達しておくように」
かくして、勇の回復を待って尋問が行われることとなった。
尋問が行われたのは、それから一週間後のことであった。
「名前は?」
「相馬勇です」
勇は、聞かれたことに間髪入れずに答えていった。
尋問室の外には、万が一にそなえ非番の諏訪、堤、柿崎の3名が武装状態で待機している。
ちなみに、この3名は“幹部候補生”であり、のちに幹部としてボーダーを下支えしていくことになる。今回招集されたのも、こういった事情があるからなのだが、本人たちは幹部候補生であることさえ知らないまま事に当たっているとは余談である。
「ところで、これを覚えているか」
忍田が取り出したものを見て、勇は顔色を変えた。
「これっ……!」
「失踪当時、君が持っていたという私物だ。覚えているか?」
「はい。これ、中学の入学祝に兄がくれたペンケースです! あの、兄は、兄は今どこにいますか?」
忍田は、ほんの少し間を置き静かに言った。
「……お兄さんは、亡くなった」
「……やはり、そうでしたか」
居合わせた3人は、勇の言葉に驚いた。